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2021年3月の記事一覧
<連載小説>昨日のような、明日を生きよう<24>
逃げることを我慢しない『幼稚園はとっても楽しくって』
綾はそう考えていた。
『でも』
しかしそうも考える。
『チチやハハと一緒にいれないのは寂しいな』
今日もハハと手をつなぎながら幼稚園への道を歩む。
「今日は何して遊ぶの?」
宮子が綾に問いかける。
「んーとね、優吾くんと滑り台」
答える綾はにこやかだ。しかし、手には力がこもった。
離れたくない、と体の芯からムズムズとしたものがあふれ
<連載小説>昨日のような、明日を生きよう<23>
第三章 綾 入園式 暖かい空気に、綾は大きなあくびを一つ、した。
「眠い?」
問いかける母に、綾は首を振って返事をする。
「んーん、大丈夫」
お気に入りの黄色い登園帽に、紺色の制服、新品の一張羅がほのかに香り、誇らしい。
春の街路は色とりどりだ。桜のピンク、空の青、子供たちの黄色い声、それらが綾の心を浮き立たせていた。
「チチ、ハハ、早くいこーよ」
綾は両手を引っ張る。そこには大好きな父親
<連載小説>昨日のような、明日を生きよう<22>
閑話 僕と宮子が出会って、付き合い始めて13年が経ったんだな。
結婚からは6年。綾が生まれてからは2年半。
そして、晴太が今年生まれた。
来年には綾も幼稚園に入る。
夏には綾のおむつが取れた。順調順調。
宮子はまだパートの再開はしなくていいか、と言っている。綾が幼稚園に入園してから再開するのだそうだ。
僕はまだ育児休暇を終えて、在宅勤務と出勤を半々くらいで過ごしている。
近くに住む父