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【ごはんのはなし。第2話】ガリバタびしゃがけ選手権

ガーリックバター、通称「ガリバタ」という単語からにじみ出る背徳感はなんなんだろうか。ニンニクは人間に必要な栄養素が詰まっているし、バターの栄養価も相当なものだ。栄養豊富で知られるアボカドが「森のバター」とよばれることからもそれは明白だろう。

しかし「ガリバタ」となると一転、堂々と食べすぎてはいけないような、でも隠れて舐めまわすほど食べたいような、そんな気持ちになるのは私だけだろうか。

とはいえ、日常生活でガリバタ料理を食べる機会は少ない。代表的なガリバタトーストも、外食先のカフェで食べるとか、そのくらいな気がする。少なくとも、ここ数年、わが家の食卓にガリバタ料理が登場したことはなかった。

だが、私の中でガリバタにおける大転換期がきた。「いろはに千鳥」というテレビ番組だ。ぼんやりと見ていると「ガリバタびしゃがけ選手権」なるものが急に始まった。千鳥のお二人が愛してやまない、「ガーリックバターソース(発売元:ケンコーマヨネーズ)」を、いろんな料理にびしゃがけするという、前代未聞の企画だ。

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業務用のため、あまりスーパーで見かけることはないが、そのストレートなネーミングで、間違いなく美味しいことがわかる。ホンモノほどシンプルである、というのは私の持論だ。

テレビでは、パンはもちろん、じゃがいもやコーン、イカなどにびしゃがけをして、そのたびに「濃いぃぃ!」という歓喜にも似た言葉が飛び出していた。

何度も飛び出す「濃いぃぃ!」はもちろん誉め言葉で、ガリバタというものの背徳感を、まっすぐに表しているように思えた。濃いから美味い。どうしようもなく美味い。それがとても伝わった。

私は番組の終了を待たずして、このガリバタソースを注文していた。業務用しかないということは気にならなかった。むしろ、これはすぐに使い切ってしまうのではないか、その心配の方が大きかった。

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つい2本頼んでしまっていた。

あの憧れの、ガリバタソースが目の前にある。その事実に私は震えていた。食べる前から期待値が上がり過ぎていたが、きっと裏切られることはない。なぜだかそれはわかっていた。

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びしゃがける。これでもかというぐらいに。

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普段よりも気合を入れて野菜を配置するあたり、せめてもの罪悪感を打ち消そうとしていることが伝わるだろう。しかし、私の罪はまだ終わらない。

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びしゃがけしたトーストに、さらにびしゃがけである。

執行猶予中に罪を重ねてしまったような、そんな気持ちになったが、この時の私はもう、ガリバタに無我夢中だった。こればかりは仕方がない。

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それ以降も、朝は「ガリバタびしゃがけトーストにガリバタをびしゃがけする」という生活は続いた。すぐに使い切ってしまうのでは、という心配は的中し、私は早々に業務用2本(そう、実に1リットル超)のガリバタソースを使い切った。

そしてガリバタソースを使い切った私の頭に思い浮かんだのは、懺悔の言葉でもなく、後悔の念でもなく、いたってシンプルなものだった。

次は2本で足りるかな。

(終)


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会社員兼 レシピ本制作者/絵描き/物書き/北海道うまれ函館育ち

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