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【2024年】Jリーグで最も出場時間が長かった育成(高校&大学)年代チームは?5月速報ver


はじめに

お久しぶりです。
今月もよろしくお願いします。

はじめましての方に説明すると本記事では
"Jリーグで1番ピッチにいる選手が育ったチームはどこか?"
を書いていく。
正確に言うと2024シーズンのJ1~J3各カテゴリーで出場した選手の出場時間をその選手が各年代で所属していたチームに加算して、その合計時間が一番多いチームを決める・・・という調査の5月時点での暫定順位を記載する。

4月までの順位を掲載した記事はこちら。


本編に入る前に、今回の記事で初めて見る方に向けて改めてルールを説明する。以前までの記事を見ている人は飛ばしてもらってかまわない。

ルール説明

今回の記事で初めて読んでくれる人のために改めてルールを確認する。
制定の経緯については2023年まとめの方に記載しているのでそちらを読んでいただければと思う。


1. 2024年4月29日までにJ1、J2、J3各ディビジョンいずれかのリーグに1分でも出場している選手を対象にする

2. 第2種まではその年代で最後に所属していたチームをその選手の出身チームとする

3. 第1種は最初に所属したチームをその選手の出身チームとする

4. シーズン途中に違うディビジョンに移籍してどちらでも出場した場合、両方のディビジョンの出場人数に加算する

例)髙橋利樹(浦和→横浜FC)の場合
J1、J2どちらでも出場しているのでJ1、J2どちらも+1人加算
ただし出場時間は各ディビジョンでそれぞれ分けて記録。
2024年Jリーグ出場時間4月29日時点

5. 選手が各年代で所属したすべてのチームに出場時間を加算する

6. 所属していた時とチーム名と変わった場合は把握できる限り現在の名前に統一する

データ作成方法

注意)データについて

伝統的手法である根性マイニングを用いて全選手の出身チームを目視で確認してスプレットシートに記載し、またチーム名の表記揺れの修正も同様に行ったため記入ミスが起こっている可能性が考えられる。

今回の記事はあくまでも「数字あそび」として見て欲しい。
またこれを利用して問題が起きても責任は負わない

第2種(高校年代)


2024年Jリーグ出場時間合計TOP10(第2種)5月30日時点

トップ5は先月と変わらず上位陣が安定してプレー時間を稼いだ。
上位チームは4月16日から5月3日まで開催されたU23アジアカップに選手を派遣しているので、全体的に差が詰まるかと思ったが実際は上位陣が安定して出場時間を積み重ねることに成功したようだ。

市立船橋高は先月から順位を3つ上げた。要因としてはJ1での出場時間を大きく伸ばしたことだろう。4月時点でプレー時間を稼いでいた高(FC東京)や柴戸(町田)が5月の連戦も長時間プレーし続け土台を固め、ここまでフル出場がなかった畑(湘南)が5月の全6試合フル出場するなど上積みに成功した。

渡邉(浦和)、秋山(新潟)、鈴木(ガンバ)、岡村(札幌)といった各チームで中心になっている選手を輩出した前橋育英高も順位を2つ上げた。
J1は変わらず好調だが、5月の前橋育英はJ2に変化があった。
外山(鹿児島)や山原(藤枝)がポジションを掴みプレー時間を大幅に稼いぎ、去年群馬で活躍し山形に移籍した岡本も出場機会を掴むなどポジティブな序列変更があった。

次に上位10チームのJ1~J3各カテゴリそれぞれの出場時間を下記グラフにまとめてみた。

2024Jリーグ出場時間2種(5月30日時点)
タップで拡大推奨

4位までが少し抜けているものの5位以下はほとんど差はない。また4位までのクラブは全体的にJ1~J3各カテゴリの出場時間が高水準でバランスが良いのに対して、5位以下のチームはどこかのカテゴリーで上位と比べプレー時間が低いことがわかる。

例えば5位の青森山田高はJ2、J3では1位のセレッソとも互角の勝負ができているが、J1の出場時間が少ないため他のチームに抜かれてしまった。
ちなみに青森山田高は去年もJ1で苦戦しているが、この時点ですでに2023年シーズンのJ1記録を抜いており、今年は飛躍が期待できるのではと思っている。

またJクラブユースの特徴としてJ1でのプレータイム割合が高い事が挙げられる。
要因の1つとして柏や広島など、ユース選手を自クラブのトップチームで出場させることを運営戦略にしているようなチームが居ること。
もう1つはセレッソやヴェルディなど、自クラブ以外でも求められる人材を長年育成し続けたことで他のチームでプレー時間を稼ぐ選手が増えた結果、J1のプレータイムが増えたと思われる。

第1種(大学&社会人)


2024年Jリーグ出場時間合計TOP10(第1種)5月30日時点

1種において、4月の順位変動はほぼなく上位のチームが順調にプレー時間を伸ばし、結果として各チーム間の差が広がる1ヶ月になった。
特に明治大は集計した4月29日~5月30日間において、全てのカテゴリーのチームで唯一10,000分以上稼いでいる。そもそも今季出場した選手が全チームで一番多く、その出場した選手の約40%がここまでで半分以上の時間(J1:720分、J2:765分、J3:630分)プレーしている。

今月の変化として、先月12位だった福岡大がトップ10に戻ってきた。
上位にいる関東の大学と違い選手数はあまり多くないが、河原(鳥栖)と菅田(仙台)がここまでフル出場の活躍で引っ張っている。5位の大阪体育大もそうだが、人数が少ないチームでも鉄人のマンパワーで多少の人数差は埋められることを示している。
福岡大の話に戻ると、上記2人を除くと他の選手は出場数は多いもののあまりプレータイムが長くない。ベテランで90分出場しない永井(名古屋)は今後も1試合あたりの出場時間を伸ばすことは難しそうだが、連戦中のターンオーバーでプレー時間を他選手と共有した重見(福岡)などがここから伸びてくればもう一つ順位を上げそうだ。

1種も同様にJ1~J3各カテゴリの出場時間をグラフにまとめてみた。

2024Jリーグ出場時間1種(5月30日時点)
タップで拡大推奨

明治大の一強状態がより強くなった。離れて2位の流通経済大、少し下に法政大と国士舘大が3位争いを繰り広げ、5位以下は団子状態になっている。

グラフを見てみると、2位以下のチームはどこかのカテゴリで弱点を抱えているように見える。例えばJ2、J3では明治大といい勝負をしていた法政大と国士舘大はJ1で大差をつけらてしまう。これは単純に選手数の違いから来ていると思うが、それは長年プロで通用する選手を生み出した育成力が圧倒的な選手数に現れているように思う。

また2種年代のトップ10と比較すると、1種年代のトップ10はJ1の出場時間が少ないように思う。この傾向は2023年シーズンと変わっておらずここ最近の流れのようなものだろう。考えられる要因としてはJ1は大卒選手の割合が高卒でプロになった選手より低いこと、2種年代トップ10のチームに所属している力のある選手は大学に進学しない(流経大を除く)などが考えられるがはっきりしたことはわからない。今後深堀りできそうなテーマかもしれない。

TOPICS

前回は1種や2種のチーム単体を注目したが、今回は少し視点を変えて3種と4種をざっくり見ていこうと思う。

去年も調査自体はしていたが、この年代特有の問題のせいで時間がかかり公開できなかった。具体的にはチーム名の変更で、
・単純に名称が変わるもの(三井千葉SC→ヴィットーリアス FC)
・複数チームの合併(FC南浜+太夫浜ダッシャーズFC→南浜ダッシャーズ)
・業務提携の終了(レイソルS.S.青梅→AZ'86東京青梅)
などいくつかの理由で同じチームなのに名称が違うことで集計できない問題が起こる。

さらにJリーグに登録されている名前が表記揺れだったり略称だったりと、そもそも正式名称でない場合もありそれらを確認する作業に時間がかかった。ちなみにそのチームのHPに行っても複数の名称が使われていて正式なチーム名がわからない事もあった。

今回の調査では、チームの運営団体が変わらない場合は最新の名称に統一することにした。例えばジュビロと業務提携していたACNジュビロ沼津はアスルクラロ沼津に統一した。また合併したチームはチーム名や練習場所、指導者を確認して名称を統一するか判断した。

前置きが長くなってしまったが早速3種(中学生年代)から見ていこう。

2024年Jリーグ出場時間合計TOP30(第3種)5月30日時点

チーム名の背景が黄色がJクラブ、赤色がJクラブ以外のクラブチーム、緑色が中体連のサッカー部を示す。

上位30チームに中体連のチームは青森山田中しかなく、クラブチーム全盛時代になっている。上位には柏やヴェルディなど日本代表輩出経験を持つ、歴史と実績のあるクラブがずらりと並び、一つ下の集団に昨年度クラブユースで決勝に残ったFC多摩やソレッソ熊本など名門街クラブが入ってきている。

何チームか例外はあるが概ね自クラブのトップチームが所属しているカテゴリで出場している選手が多く出場時間も確保できているため育成はある程度上手くいっていると考えられる。ちなみにJ1に居る柏U-15出身選手は、全員柏U-18に昇格している。生存バイアスの可能性もあるが、クラブの選手の力量を見極める能力はかなり高そうだ。

続いて4種(小学生年代)を見ていこうと思う。

2024年Jリーグ出場時間合計TOP30(第4種)5月30日時点

やはり上位はヴェルディや柏、マリノスといった名門クラブが入ってきた。ただ3種ほど圧倒的Jクラブ!というわけではなく街クラブもランクインしている。ちなみに4種で所属していたチームを書かない選手も一定数いた。その場合はある程度こちらで探し、見つからない場合は空白にした。もし選手数が合わないチームで所属が書いていない選手がいた場合コメント等で教えて欲しい。

5位に入った江南南サッカー少年団は原口元気が所属していたときに全国優勝したこともある歴史ある少年団チームだ。データを作成していたときやたらと江南南→クマガヤSC→プレミア所属を入力していたので記憶に残っていたが、出場時間で見てもやはり目立つ存在だったようだ。

ただ課題も見えていて、全体的に他の年代に比べて上位チームの出場時間の少ないように思う。実情を知らないので実際のところはわからないが、本格的に体が成長する前の年代であるU-12は未来の体格を想像しながら選抜育成しなければならず、Jクラブチームであってもプロで出場できる選手を多数輩出できないのかなと想像した。

この結果から経済面でみると、現状のJクラブU-12は上の年代(U-15、U-18)に比べて費用対効果が悪いのではないかと考えられる。実際の財務はわからないのであくまでも仮定の話だが、ここ最近U-12のチームをなくしてスクールだけ運営するJクラブがいくつか出てきたことを加味すると、個人的にはある程度”真”だと思う。

話は変わるが14位のバディーSCについて話したい。
このチーム自体は全国大会で優勝するぐらい強いチームなのだが、面倒くさいことに似た名前のクラブが他のチームより多い。
例えば27位のバディSCは表記揺れかどうかわからなかったし他にも、バディFC、バディSC江東、バディー世田谷SC、etc.・・・
4種自体名前が変わりやすくHPもない(更新頻度が低い)チームが多く確認作業に苦労したがこのチームは一番時間がかかったし、結局放置して表記のまま集計した。

最後までこんな気持ち

あとがき

5月は水曜日の試合が多くターンオーバーするチーム、主力でゴリ押すチームと各チームの台所事情に合わせて選手を起用していた。また代表活動やルヴァン、天皇杯などリーグ戦以外の試合もありフル出場している選手もかなり減ってきた。
過密日程で選手のコンディションの心配はあるが、より多くの選手が出場機会を得られる5月でチャンスを掴んでいると嬉しいなと思う。

5月は全体的に上位の順位変動がなかったので、6月はどうなるか楽しみだ。
そろそろ移籍による選手のチーム移動も見え始める頃だと思うので、そのあたりにも思いを巡らせながらリーグ戦を観戦しようと思う。

参照


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