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2023年Jリーグで最も出場時間が長かった育成年代チームはどこ?~1種&2種~

本文の前に

文量が多くなってしまったので結果だけを知りたい場合は目次の第2種(高校年代)から読んでください。


あいさつ

初めまして、kiMozzio_Miseiroと申します。主にJリーグ、たまに海外リーグを観戦しています。シーズンが終わってサッカー系のnoteを読んでいて、自分でも書いてみたいと思い今回筆を取りました。初投稿で読みにくいと思いますがお時間をいただければ嬉しいです。

一昨年までは、私が好きなクラブのトップチームの試合だけを見ていたのですが、昨シーズン推しクラブの成績低迷、監督交代、物価上昇で遠征費が跳ね上がるなどつらいニュースが多く、メンタルを保つためなんとか明るい話題を摂取しようとインターネットをDigった結果、育成年代にたどり着きました。

そんな後ろ向きな理由で見始めた育成年代ですが、トップチームとはまた違う魅力を感じ、今年いくつかのリーグを追いかけたり、そこから転じて現役プロ選手がどんなチームを通ってきたのかを漁るのが楽しみな1年でした。そうしてリーグが終了後、あることがふと疑問が思い浮かびました。

"Jリーグで1番ピッチにいる選手が育ったチームはどこだろう?"

例えば「〇〇高校から何人がプロになった」かはいくつかの媒体で公表されています。しかしそのチームから何人が、今年のJリーグで実際にプレーしたかについて情報が少ないと思いました
それならば自分が出身チームごとにプレー時間をまとめて、それをランキングしてみたら面白いかなと思い調べてみました。
今回の調査はJ1~J3にいる選手が所属していた1種(大学、社会人クラブ)、2種(高校、クラブユース)を対象としました。


注意)データについてお断り


伝統的手法である根性マイニングを用いて全選手の出身チームを目視で確認しスプレットシートに記載し、またチーム名の表記揺れの修正も同様に行いました。
ですので記入ミスが起こっている可能性が考えられ、完全に信用できるデータとは言い切れません。

移籍による被りも含めて2105人を今更チェックするのは時間的にしんどいので、今回の記事はあくまでも「数字あそび」ぐらいのゆる~い感覚でお願いします。
またこのデータを利用して熱く語るのはおすすめしないし責任は負いません。


ルール説明


1. 2023年にJ1、J2、J3各ディビジョンいずれかのリーグに1分でも出場している選手を対象

出場時間0分の選手の中にはJクラブの2種登録選手も多く選手数が実感と乖離すると考ました。
またカップ戦は対象外としリーグ戦のみ調査しました。


2. 第2種まではその年代で最後に所属していたチームをその選手の出身チームとする

4種や3種(たまに2種)では移籍が多く全てを記入する余裕がないので
最後に所属していたクラブのみに妥協しました。
開始1クラブ目で全部書くのを諦めた


3. 第1種は最初に所属したチームをその選手の出身チームとする

大学→社会人→プロルートはピンとこなかったので。


4. シーズン途中に違うディビジョンに移籍してどちらでも出場した場合、両方のディビジョンの出場人数に加算する

集計を簡単にする都合上のルール(主目的は出場時間なので)

例えば中原輝(セレッソ→ヴェルディ)の場合
J1、J2どちらでも出場しているのでJ1、J2どちらも+1人加算
ただし出場時間は各ディビジョンでそれぞれ分けて記録。
プレーオフでも活躍しJ1昇格に貢献


5. 第2種と第1種両方に所属したチームがある場合、両方のチームに出場時間を加算する

こちらも集計上の都合
ユース&高校での経験を無視できないと思いました。


6. 所属していた時とチーム名と変わった場合は把握できる限り現在の名前に統一する

集計上の理由その3。
ユース、U18、U-18の表記ゆれ修正。チーム名自体の変更。
確信が持てる限り修正したがわからないものはそのまま。
ヴェルディのチーム名変わりすぎ問題


データ作成方法

J. League Data SiteまたはJリーグ公式サイト(J.LEAGUE.jp)に記載されかつ背番号がある選手をスプレットシートに抽出する。
公式サイトに前所属チームが書いてある場合はそれを記載する。
前所属チームが書かれていない場合は所属チームのHPなどで確認し把握できる限り記載する。

以上で説明は終わりです。前提だけで長くなってしまいすみません。
当初はTOP10ぐらいやろうと考えていたのですが、この時点で長くなりすぎてしまったので今回は各年代のTOP3でまとめようと思います。



第2種(高校年代)


3位 

青森山田高校 53,423分 36人 ※移籍による重複含む

2023年Jリーグディビジョン別合計出場時間(青森山田高)

【注目選手】
J1 FC東京  MF 松木 玖生 1,802分
J2 群馬   GK 櫛引 政敏 3,780分 FULL!
J3 松本   DF 常田 克人 3,420分 FULL!


第2種年代最高峰のプレミアリーグに設立当初から居続けている強豪校が3位でした。

今期の青森山田の特徴はJ2です。GK櫛引(群馬)のフル出場を筆頭にMF山下(いわき)の3780分、昇格した2チームでプレーしたバスケスバイロン(町田)など7人以上が2000分以上するなどJ2の主役でした。

また意外にも青森山田出身で町田で出場したのは3人だけでした。
黒田監督就任後、青森山田OBを多く獲得した印象でしたが、インパクトの強い話題に引っ張られたみたいです。

J2、J3に比べるとJ1の成績が物足りないですが、今年はDF菊池(神戸)が3節で大怪我、DF三国(福岡)も18節に負傷し以降の出場時間が激減してしまいました。
さらにMF松木(FC東京)が代表選出なども重なり、今年の青森山田はかなり下ブレしたように感じました。


2位

東京ヴェルディユース 65,689分 47人 ※移籍による重複含む

2023年Jリーグディビジョン別合計出場時間(東京ヴェルディユース)

【注目選手】
J1 マリノス MF 渡辺 皓太 2,724分
J2 山形   MF 南 秀仁  3,546分
J3 沼津   DF 安在 達弥 3,397分


2位になったのはトップチームが16年ぶりにJ1に帰ってきた東京ヴェルディユースでした。

J1はMF渡辺(マリノス)がCHとして全試合したのを筆頭にDF安西(鹿島)MF井上(横浜FC)MF大久保(浦和)など5人が2000分以上プレーするなど活躍が目立ちました。

他のチームにはない特徴としてはトップがJ2にも関わらず、J1で活躍する選手が多いことです。
なんとヴェルディユースはJ1での出場時間合計が第2種の中では広島ユースについで2位でした。しかもJ1全18チーム中9チームで出場するなど多くのクラブから求められていることがわかります。

ちなみに自クラブでもユース出身選手5人が1000分以上プレーしていて層の厚さを感じました。


1位

FC東京U-18 72,030分 48人 ※移籍による重複含む

2023年Jリーグディビジョン別合計出場時間(FC東京U-18)

【注目選手】
J1 神戸   FW 武藤 嘉紀 2,913分
J2 山形   GK 波多野 豪 3,780分 FULL!
  清水   GK 権田 修一 3,780分 FULL!
J3 岐阜   MF 生地 慶充 3,397分


第2種で1位になったのはFC東京U-18でした。
J1では2000分を超えた選手はFW武藤(神戸)だけだったものの、DFバングーナガンデ(FC東京)、MF俵積田(FC東京)、GK野澤(FC東京)といった近年ユースから昇格した選手がプレー時間を稼いでいるのも特徴です。

実は今期のFC東京U‐18はJ2では2種年代トップのプレー時間でした(1種を合わせても2位)
この躍進の原動力となったのは、フル出場の権田(清水)波多野(長崎)に加えて29試合出場した三浦(磐田)の3人のキーパーがポジションを掴んだことです。
またMF平川(熊本)をはじめ各クラブで主力になった選手が2000分以上プレー時間を稼いで脇を固めたことも要因のひとつです。


第2種年代まとめ

2023年Jリーグ出場時間合計TOP3(第2種)

2023年シーズンの2種年代ではFC東京U-18出身選手が1番長い時間プレーしました。J2で他チームを圧倒したことが主な要因です。一度スタメンになると外されにくい特殊なポジションであるキーパーを、J2で3人(途中からポジションを掴んだJ1の野澤を入れると4人)輩出したことは素晴らしいと思います。

東京ヴェルディユースはJ1~3までバランスよくプレー時間を稼げました。J2のクラブがJ1でのプレー時間をこれほど稼いでいるのは特異で、同じぐらいJ1のプレー時間が長かった広島ユースや柏レイソルU-18はほとんどの選手が自クラブのトップチームでプレーしていました。

青森山田はJ2、J3では2種年代のトップ3に入っていて、上2クラブと争っていましたが、J1で不運も重なりプレー時間を稼げませんでした。しかし実はこの3位は高体連では圧倒的な成績で、次点の前橋育英と10,000分程差をつけていました。

全体的にJユースが優勢ではありましたが、プレミア所属の高体連(前橋育英、流経柏、東福岡、大津)もJユースに負けない成績を残しました。

2023年Jリーグ出場時間合計TOP10(第2種)



第1種(大学&社会人)


3位

法政大 59,365分 44人 ※移籍による重複含む

2023年Jリーグディビジョン別合計出場時間(法政大)

【注目選手】
J1 マリノス DF 永戸 勝也  2,315分
J2 甲府   MF 長谷川 元希 3,192分
J3 長野   MF 三田 尚希  2,754分


3位は法政大でした。

法政大はJ3でMF三田(長野)、DF蓑田(八戸)ら6人がプレー時間を2500分以上稼いだ結果、1種内1位になりました。
J2ではACLで活躍したMF長谷川(甲府)が3000分以上プレーし、他の上位大に食らいつきました。

またJ1ではDF永戸(マリノス)、MF紺野(福岡)、FW鈴木(新潟)など活躍を見せた選手はいましたが、他の上位チームに比べJ1に所属する選手が少ないことが痛手になり、プレー時間を稼げなかったことが上位大学との差になりました。


2位

流通経済大 77,158分 48人 ※移籍による重複含む

2023年Jリーグディビジョン別合計出場時間(流通経済大)

【注目選手】
J1 福岡   FW 山岸 祐也  2,890分
J2 徳島   MF 西谷 和希  3,642分
J3 今治   MF 三門 雄大  3,256分


全てのディビジョンで1種内トップ3に入る安定した成績で2位を獲得したのは流通経済大でした。

J1では前線で時間を作りゴールも取ったFW山岸(福岡)や日本代表になったMF伊藤(浦和)、序盤怪我をし離脱したものの復帰後ハイパフォーマンスを見せたMF満田(広島)らタレントが揃いました。

J2はMF西谷(徳島)やDF日高(千葉)ら5人が3000分以上、9ゴールのFWジャーメイン(磐田)も2000分以上プレーし大きく稼ぎました。
J3はMF三門(今治)やMF宇賀神(岐阜)などベテランが出場時間を稼ぎ、J3上位の中では人数が少ないながらも1種内で3位に入りました。

気になったのは付属校の流経大柏高出身選手が多かったことです(16人)。直接的なつながりがあるかは分かりませんが、クラブユースにはない2種→1種の継続的な育成ができているなら面白いと思いました。

福岡のヘアバンド率🤟🤟🤟


1位

明治大 99,217分 63人 ※移籍による重複含む

2023年Jリーグディビジョン別合計出場時間(明治大)

【注目選手】
J1 鹿島   GK 早川 友基  3,060分 FULL!
J2 山形   MF 小野 雅史  3,404分
J3 沼津   MF 持井 響太  3,046分


2023年シーズン最も長い時間ピッチに立っていたのは明治大でした。

J1、J2では出場選手数、出場時間ともに1位を獲得。特にJ1は2位の流経大に20,000分以上の大差をつけました。
GK早川(鹿島)、DF森下(名古屋)、DF鳥海(セレッソ)、DF長友(FC東京)といった各チームで確かな地位を築いた選手を何人も作れたことも要因の1つだと考えられます。

またJ2は、3000分以上がMF小野(山形)のみでしたが2000分台が11人、1000分代が9人と抜けた存在はいませんでしたが全体的に出身選手が活躍したシーズンでした。


第1種年代まとめ


2023年Jリーグ出場時間合計TOP3(第1種)

2023年シーズンは明治大が選手数、出場時間ともに2位以下を大きく離して1位になりました。

2種年代よりも各ディビジョンで上位の顔ぶれはこの3校で変わりませんでしたが、J1では日体大が選手数7人と少数ながら稲垣(名古屋)、岩尾(浦和)など個々が大きく稼いだため1種で3位に入っています。
J2でも国士舘大が田代(熊本)、宮本(いわき)らの活躍で3位に入るなど健闘を見せました。

また上位は関東の大学が多い中、地方では福岡大が5位(J1:5位、J3:2位)と存在感を見せました。

2023年Jリーグ出場時間合計TOP10(第1種)

感想

ランキングを作成する時に1番悩んだのはルール作りでした。
各ディビジョンで試合数が異なるためJ2に選手が多いチーム、一度定着すると試合でほぼ交代しないキーパーやセンターバックが多いチームが有利になると考えたからです。

平等な条件で比較するということならば、例えば平均出場時間にして試合数に補正をかけるとか、ポジションごとに係数をつけるとかいくつか考えられます。
しかし出発点である「Jリーグで最も長い時間立っていた育成クラブを見つける」を考えると、補正せずそのままのデータでまとめることが今回では適していると思い進めていきました。

結果としてJ2の出場時間や後ろのポジションが多いチームが比較的上位にきたので、傾向としてはある程度予想どおりの結果ではありましたが、

・自クラブのユースがトップチームでも活躍する広島や柏
・J1に選手を多く排出するヴェルディユース
・プレミア所属の高体連の健闘
・大卒選手の多さ

など今まで漠然と感じていたことを数値で認識できたことは良かったと思います。

調査開始前では、3種(4種は一部)のデータと生年月日で調べてみても面白いかなと思っていたんですが、作業量が思ったよりも膨大になり、記入ミスの不安も抱えながらこれ以上するのはかなりの負担になるので中止しました。(3種4種はチーム名が他の年代よりもよく変わるので追いきれないというのも理由にあります)

今回使用したデータは公開しておきますので間違い等ありましたら、コメントで指摘してください。

ここまで稚拙な長文をお読みいただきありがとうございました。
私が何か書くことはたぶんもうないと思いますが、今後も皆さんとJリーグや育成年代を楽しんでいきたいです。

参照