見出し画像

【2024年】Jリーグで最も出場時間が長かった育成(高校&大学)年代チームは? 4月速報ver


はじめに

先日Jリーグからホームグロウンに関するプレスリリースがあった
毎年このプレスリリースが出るたび、SNS上で毎年同じような意見が出てきて、2~3日立つと消えていくいわゆる春の風物詩みたいになっている。
これに関しては私も色々思うところはあるが、特別主張したこともない。

ただその話題の中で育成組織別でプロの人数と出場時間を知りたいという人を見つけてドキッとした。なぜなら去年私は下記のような記事を書いていたからだ。

ちなみにこの記事を書くにあたり、膨大な作業量でかなりの時間を持っていかれたため、「来年は絶対にやらない!!!」と決めていた。
・・・がこんなニッチなことに興味を持つ人が自分以外にも居るということが嬉しくて異常なテンションで押し切った結果、今年のスプレットシートが完成していた。
それじゃあせっかく作ったからには使わないともったいないということで、今回試運転として4月29日時点での成績でのランキングを作成してみた。

ちなみに余談だが、今回制作にあたり勝手にモチベーションをもらった方が求めているものとは完全には一致していない(私が知りたいことと少しずれていたので)。


ルール説明

基本的なルールは昨年度と変えてない。今回は概要のみ記載し、詳細を知りたい方は上記の記事を読んでいただきたい。

1. 2024年4月29日までにJ1、J2、J3各ディビジョンいずれかのリーグに1分でも出場している選手を対象にする

2. 第2種まではその年代で最後に所属していたチームをその選手の出身チームとする

3. 第1種は最初に所属したチームをその選手の出身チームとする

4. シーズン途中に違うディビジョンに移籍してどちらでも出場した場合、両方のディビジョンの出場人数に加算する

例)髙橋利樹(浦和→横浜FC)の場合
J1、J2どちらでも出場しているのでJ1、J2どちらも+1人加算
ただし出場時間は各ディビジョンでそれぞれ分けて記録。

5. 選手が各年代で所属したすべてのチームに出場時間を加算する

6. 所属していた時とチーム名と変わった場合は把握できる限り現在の名前に統一する


データ作成方法

J. League Data SiteまたはJリーグ公式サイト(J.LEAGUE.jp)に記載されかつ背番号がある選手をスプレットシートに抽出する。
公式サイトに前所属チームが書いてある場合はそれを記載する。
前所属チームが書かれていない場合は所属チームのHPなどで確認し把握できる限り記載する。
J. League Data Siteに記載されている出場記録を集計しピポッドテーブルを用いてランキングを作成する。

注意)データについてお断り

伝統的手法である根性マイニングを用いて全選手の出身チームを目視で確認してスプレットシートに記載し、またチーム名の表記揺れの修正も同様に行ったため記入ミスが起こっている可能性が考えられる。

今回の記事はあくまでも「数字あそび」として見て欲しい。
またこれを利用して問題が起きても責任は負いません。


第2種(高校年代)

2024年Jリーグ出場時間合計TOP10(第2種)4月29日時点

歴史と実績のあるJユースがトップ3を占める結果になった。
トップチームに試合に出場できる選手を複数人送り出す(特にJ1で)だけでなく、多くのクラブでも試合に出場していることがすごいと思う。
ちなみに今季リーグ戦で出場した育成組織出身選手が1人でも居るクラブ数をまとめたのが下記の表になる。

2024シーズンリーグ戦で1分以上出場した出身選手が所属しているクラブ数(4月29日時点)

(おそらく)クラブの選択肢がユースより多い高体連のチームとほぼ同じかそれ以上のクラブに所属しているのは、他クラブから獲得したいと思わせる魅力や、長く活躍できるスキルを持つ選手を長期間育て続けた結果だと考えられる。

高体連チームに話を移すと、青森山田高校は前回J2、J3で良い成績を残しながらもJ1で苦戦していた(詳しくは2023年のNOTEを参照)。
しかし今年は名古屋の三國、FC東京の安斎などすでに昨年よりも出場時間を伸ばしており、上位ユースに食らいついていけそうな雰囲気がある。

ブレイク中のジャーメイン(磐田)を筆頭に各クラブに主力選手を育てた流通経済大付属柏高。和泉(名古屋)柴戸(町田)高(FC東京)など中盤で特徴をもつ選手がいる市立船橋高。渡邊凌磨や鈴木徳真といった今年移籍が話題になった選手が所属していた前橋育英高など現プレミア(U-18年代の最高峰リーグ)所属チームも昨年に引き続き上位の成績が期待できそうだ。

7位浦和ユースと8位広島ユースは上記のユースクラブと比べてトップでの出場時間の割合が高いという特徴を持つ。
例えば広島はJ1で出場機会があった13人中11人がトップチームでピッチに立っている。この人数でここまで偏っているチームはほとんどない。
また浦和の場合トップチーム所属は8人中3人だが、出場時間はその3人でJ1の7割近くを占めていてこれも上位チームの中では珍しい。
柏やセレッソとはまた違った文脈で出場時間を伸ばしていてこういうやり方もあるのかと面白い発見になった。


第1種(大学&社会人)

2024年Jリーグ出場時間合計TOP10(第1種)4月29日時点

昨年度王者が現時点でトップに立ち、今年も明治大1強になりそうな気配を感じる。
圧倒的な選手数、カテゴリーやポジションに偏りなく安定して出場している選手を供給していて隙がない。

2位と3位は昨年同様流通経済大と法政大。
流経大は多くのクラブに選手を送り出していて、特に監督とのつながりもあるJ1の京都には最多の4人(佐藤、アピアタウィア、宮本、塚川)所属しプレー時間を稼いでいる。現時点でも素晴らしい成績であることには間違いないが、明治の2連覇を防ぐためには爆発的に活躍する選手がより多く必要になる。これからポジションを掴む選手が出てくることを期待したい。

法政大は昨年J1で稼げず苦戦した。今年もその方向性は変わらいように見えるが、昨年ブレイクした紺野(福岡)、永戸(マリノス)、長谷川(新潟)以外の選手が出てくればチャンスはある。

また今年の関西地域の大学は去年より上位に入るかもしれない。
現在5位の大阪体育大はJ2、J3の成績は他の上位10校と比べても遜色ない。懸念としては現時点でJ1に出場した選手は5人と同じような順位の大学に比べ少ないことが挙げられる。
しかし去年日体大が7人でJ1で1種内3位になった。このときは稲垣(名古屋)や岩尾(浦和)ら4人が2000分超えたことが要因だった。
つまり大阪体育大も林(東京V)、田中(セレッソ)などがシーズンを通して活躍できれば十分勝機はあるはずだ。

去年は1種内19位だった関西学院大が9位に入ったことも興味深い。
要因としてまず思いつくのは今年加入した選手の活躍だろう。開幕スタメンを果たした濃野(鹿島)と長尾(水戸)、スタメンではないが安定した出場機会がある倍井(名古屋)などプロ1年目に開幕から試合にからんでいける選手を輩出できている。
これに加え一森(ガンバ)や木村(東京V)といったOB達が昨年度よりもプレータイムを稼ぐことができれば今シーズントップ10も見えてくるはずだ。

反対に昨年5位だった福岡大は12位と苦戦している。
J1では今年も河原(鳥栖)が元気にフル出場を続けており特に変化はない。
問題はJ2、J3の選手数の減少だ。現時点で昨シーズンと比較して、J2:8→6人、J3:13→7人と戦力が減っていて、このままの母数でシーズンを終えるならば昨年よりも順位を落とす可能性が高い。
試合に関われる選手を増やせるかが今シーズンの鍵になりそうだ。


TOPICS

前回の記事では各年代のトップ3を掘り下げたが、今回は1種、2種合わせた上位3チーム(明治大、セレッソ、柏)に絞って書いていく。

記事を書くにあたり今季試合に出た全出身選手を載せようと思ったが、実際表を画像として作成してみたが、さすがに全員は多すぎて読みにくかった。

全部詰め込めば良いってわけじゃなかった・・・

いろいろ試した結果各カテゴリのプレータイム上位5人くらいがちょうど良さそうだと思ったので、今回はこの形式でやろうと思う。


明治大学

2023年のチャンピオン。今年も圧倒的

前述の通り明治大が今年も独走しそうな予感がする。

第一に選手数が多い。
J1、J2で登録、出場した選手どちらも1種2種合わせて1位。6人の新卒から長友(FC東京)などベテランまで層が厚く継続的に選手を送り出している。合計時間を競うこのルールでは人数が多いことはそれだけで圧倒的なアドバンテージだ。

次にスタメンを掴んだキーパーが3人居るのも強みだ。
一度ポジションを掴むと序列が変わりにくい、試合中の交代が少ないなどキーパーはこのルールに稼ぎ頭になる。

最後に所属クラブの多さだ。
明治大出身選手は今シーズンJリーグ60クラブ中36クラブで試合に出ている。出身選手同士のポジション被りによるプレータイムの減少を考えると、このルールでは(スタメン争いに全部勝つという前提だが)所属チームが分散していた方が有利に働く。


柏レイソルU-18

日本代表も育成した千葉県の老舗

昨シーズンは2種7位だった柏レイソルは、今年は現在2位と好成績だ。

J1は2023年シーズンから主力として試合に出ている中谷(ガンバ)松本(柏)古賀(柏)が今年も好調を維持している。それに加え去年からプレー時間を伸ばしている上島(マリノス)や、去年J2徳島で3600分出場した白井(柏)がJ1に上がっても出場機会を得るなど良い循環が行われているように見える。

個人的に興味を持っている点として、上の表には載っていないがジュニア年代から柏レイソルのアカデミー出身者が多いことだ。
現時点で今シーズン出場した33人中15人が柏レイソルU-12出身だった。ちなみに細谷(柏)と松本(柏)は提携クラブであるTOR’82出身なので大きなくくりでは半分が4種からプロまで育成できていると言える。

全部載せるとやっぱり見えない

このまま行けば2023年よりも順位を上げる可能性は高いが、細谷(柏)のパリ五輪後の移籍など不安要素もある。この順位の維持にはあまり試合に出られていない若手の活躍が不可欠だろう。


セレッソ大阪U-18

フル出場がいっぱい

関西の名門アカデミーであるセレッソ大阪U-18が4月29日時点でトップに立った。

2023年は6位だったセレッソだが、今年はスタートダッシュに成功したようだ。現時点で20,000分を超えたのは2種ではセレッソ大阪と柏レイソルの2チームだけだ。しかしプレー時間の稼ぎ方は柏と違いトップチーム以外のクラブで活躍している選手が多いことが特徴だ。

今シーズントップチームで出場した選手は4人だが、フルタイムは舩木1人のみ。次点でアジアカップに出場した西尾の450分に留まり、後の2人は100分前後。同じ人数でプレー時間を比べると倍ぐらい柏に負けている。

しかしどこのクラブでも活躍できるという面ではセレッソは素晴らしい成績を残している。関西J1クラブ全てでフル出場の選手を排出しているし、J2では新保(山口)や谷本(愛媛)など今シーズン活躍が目立つ選手もいる。
明治大の時にも書いたが、どんなクラブからも必要とされる選手を育成できるということはこのルールにおいてトップになるための重要な要素である。


あとがき

このタイミングで集計して、2023年シーズンの結果との比較でなにか変化があれば面白いと思ったが全体的には変わらないように感じた。今年も明治の一強は変わらなそうとか、関東の大学がレベルが抜けてそうとか、U-18プレミア所属の高校はユースの第二集団と競ってそうとかetc.・・・

それでも前回2種内1位、2位のFC東京と東京ヴェルディを抑えたセレッソや柏の台頭や、関西学院大のロケットスタート。トップチームが好調でそこに半分近く所属する広島ユースがプレー時間を伸ばせるかどうか等、シーズン終了後どうなってるか楽しみな事ができた。

こんな見方でサッカーを楽しんでいる人はほぼいないと思うけれど、変わった楽しみ方ができるのもサッカーの魅力だと思う。
私自身は育成年代に何の貢献もしていないけれど、もしこの記事を見て興味を持ってもらえれたら嬉しいし、メジャーな話題ジャンルの中に入ることができたら良いなと思う。


ここまでお付き合いいただきありがとうございました!
何か間違いなどがあればコメントで指摘していただけると嬉しいです。
健康かつ応援しているチームが沈んでいない限り、シーズン終了後に2024年まとめ記事を書きたいと思います。

参照