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話し手/むかい りえ さん

むかいさんは、作家名funwari*mamairoで、着物の素材にこだわったアクセサリー作家として活動しています。代表作は”はんなり”シリーズ。最近、怪我をしたことをきっかけにこれまでのお仕事を辞め、作家活動に専念。その転機についてや着物に対する思い入れ、目標などお伺いしました。

(聞き手/谷美和子)

―今年の3月に怪我をされたとInstagramで拝見したのですが、具合はいかがでしょうか?

(むかい)
風に吹き飛ばされコンクリートに打ち付けられて、骨にヒビが入り一カ月ギブス生活だったのですが、その後もなかなか痛みが治まらず。お医者さんには、神経損傷している可能性があり今後も痛みやしびれが残るかもしれない、と言われています。今も肘が痛くて、肘に子どものひざ掛けを置いて制作しています。
怪我でこれまでしていた仕事はできなくなりましたが、主人の協力もあって大好きなハンドメイドは続けられています。

(谷)大変でしたね。完治するといいのですが。

―ハンドメイドをはじめられたきっかけを教えてください。

(むかい)
息子を妊娠中、我が子のために手づくりのものを作ってあげたくて。手芸屋さんに行ったときに、HOBBYRAHOBBYREさんの刺繍キットを発見。針を扱うのは中学校の家庭科以来だし、一緒に買い物に行っていた母にも”あなたには無理じゃない!?”と言われたのですが、どうしても気になり。そこから刺繍の楽しさにハマって!子どもために手づくりスタイに名前の刺繍を入れたり、鯉のぼりのタペストリーを作ったり。鯉のぼりのタペストリーは毎年5月に飾っています。色々な刺繍キットにも何度もチャレンジしました!
キモノヤーンに出会う前までは、刺繍のアクセサリーをメインで作っていました。

ハンドメイドをはじめるきっかけとなった刺繍作品

(谷)むかいさんの刺繍とキモノヤーンを組み合わせて、キモノヤーンの色に合わせて刺繍されている作品、私も大好きで持っています!

―京都にお住まいと伺っていますが、小さいころから着物が身近だったのでしょうか?

(むかい)
子どもの頃、近所のおうどん屋さんでよく舞妓さんを見かけていて将来の夢は舞妓さんでした。大人になってからも着物への強い想いがあって、成人式の振袖にもこだわりました。仕事もブライダルの衣装担当に就いていました。自分の結婚式でもお色直しの衣装は選びに選びぬいた黒引き振袖に。ウェディングドレスはラインや素材にもこだわって、取り寄せてもらったりして。カラードレスは一着もみていません(笑)
子どもが生まれてからは、息子と娘の七五三に家族全員で着物を着たんですが、主役はあくまでも子供たち!大好きな”大正ロマン”をテーマに着物を選んで、私たちはあくまでも脇役になるようなテイストにしました。

―作品に”着物”を取り入れるようになったきかっけを教えてください?

(むかい)
着物がやっぱり好きだなと。
着物を使った作品をつくりたいと思って、着物生地をたくさん集めていたのですが、自分でアクセサリー用に裁断して使おうとするとどうしても解れるんですよね。だけど、どうしても諦められなくて色々探していたら”キモノヤーン”に出会って。最初はminneから購入したのかな?その時の対応がとても良くて、それからずっとキモノヤーンの沼にハマっています(笑)
本当に解れないのが不思議で!
キモノヤーンを使うようになって作品に対する周りの反応が変わりました。

― 周りの反応の変化、具体的にお伺いしたいです!

(むかい)
お客様の反応が変わったのはもちろんなのですが、刺繍メインの制作をしていた頃、毎日のように作っては委託先に納品してて。だけど思ったような反応もなくて…。そんな姿を見た主人が「もう辞めたら?」と言っていたんです。
それがキモノヤーンで作ったアクセサリーを見た瞬間、「これいいやん!他にないデザイン!」と褒めてくれて、そこから作品作りをすごく応援してくれるようになりました。
「二人で夢を叶えよう!」と言ってくれていて。今では私の力になりたいとWEBデザインの勉強までしてくれています。私が制作、主人がプロモーション、とふたりで。
子どもが寝た後は、主人は2階で勉強、私はリビングで制作という時間を取っています。

(谷)すごい!よい時間ですね。とても協力的で素敵な旦那様ですね。

(むかい)
同士だと思っています。
絶対的な自分の味方というか、迷った時や悩んだ時はいつもアドバイスをくれますね。どちらかがへこんだ時も、「これはチャンスなんじゃない!?」とお互いに力づけあっています。「ピンチはチャンス!」とふたりとも思っています。

制作風景

―作品はどちらで販売していますか?

(むかい)
委託販売(ライブ配信)とイベントの対面販売、SNSなどです。
対面販売は、近所のマルシェに何度か出店したのですが、お客様の層が作品とマッチしていないのかな?と少し感じていて。規模の大きなマルシェを探しているところです。
SNSでは、作品がどれくらいの大きさかわかりづらいので、着画をくれた方には次回のオーダーで使えるクーポンをプレゼントしたり。実際にやってみて若い世代の方にも着けてほしいと思って、”いいね”してくれたZ世代の学生さんたちにDMを送って着画のモデルを募集してみたり。いつも試行錯誤しています。
たくさんの方に知っていただきたくて、他の作家さんとのコラボ作品にもチャレンジしています。

(谷)色々試しながら取り組んでいらっしゃるんですね。私もキモノヤーンのTwitterをやっていますが、どうしたら反応があるのか難しいです。やってみないとわからないところがありますよね。

(むかい)
本当に試行錯誤しています。”どんなに売れている人でも対面販売は欠かさない”とか、役に立ちそうなハンドメイドの情報はできる限りインプットするようにしています。いつも家事をしながらラジオのスタンドFMを聞いていて、そこからインプットしたり。
Twitterは全然やったことなくて興味あります!(インタビュー後すぐに開設されました。)

他の作家さんとのコラボ作品

―行動力がすごいですよね!常に前向きな印象を受けます。

(むかい)
元々”やらずして諦められない!”という性格で、ブライダルの仕事に進みたいと思った時、大学に通っていたんですが自分のお金で専門学校を決めて、大学の授業→体育会のテニス部→夜にブライダルの勉強って感じで毎日を過ごしていました。
よく「前向きで素敵ですね!」ってSNSを見た方にも言われるのですが、実際はそんなこともなくて、常に悩んだりしていて。だけど、作家”funwari*mamairo”としては常に前向きでありたいと思っています。

―代表作である”はんなりシリーズ”や作品へのこだわりについて教えてください。

「はんなり」は京言葉で華やかで気品と上品さを備えたことを言うんです。
はんなりシリーズの中でも、キモノヤーンを使った作品は、ビーズ刺繍と組み合わせた『JEWERY』、ボタンと組み合わせた『TSUBAKI』、複数のキモノヤーンを組み合わせて扇のカタチにデザインした『Ougi』があります。
『TSBAKI』は日本原産で日本を代表する花「椿」をイメージして作っています。
海外の方にも私のアクセサリーを通して、大好きな着物文化を伝えたいという思いがあり、海外の方にも読みやすいアルファベットで名付けています。
着物の素材だから、着物にしか合わない、というアクセサリーじゃなくて、普段のお洋服にも合うデザインを意識しています。着物を身近に感じていただけると嬉しいです。

はんなりシリーズの『TSBAKI』
はんなりシリーズ『TSUAKI』と『Ohgi』


ー作家としてのこれからの目標を教えてください。

(むかい)
一つひとつに愛情と自信を持って作っています。この可愛さを一人でも多くの方に伝えていけたらいいなと思っています。着物だけじゃなく普段着にも合うことも伝えていきたいです。
大学で中国語を専攻していたこともあって、まだまだ言葉の壁を感じますが、中国や台湾の方など海外にも広めていきたいです。

―キモノヤーンに対して何か一言!

(むかい)
”大正ロマン”が好きなので、ビビッドな色合いのヤーンのバリエーションが増えたら嬉しいです!
キモノヤーンがなくなったら私の作家活動は終わりですー(笑)

(谷)
!!!
責任重大です!!!

美しく収納されたキモノヤーン
収納の参考になります!

(谷)
インタビューの間中、メモを取られていた姿が印象的でした。努力家で常に勉強されているんだなと。努力家なうえに行動力もあり、funwari*mamairoとしてはこうありたい、という強い意志を感じました。むかいさんにもお会いしてみたくなりました!

むかい りえ
作家名:funwari*mamairo
Instagramアカウント:
@funwarimamairo
Twitterアカウント:
@FMamairo

むかい りえさん
(作家名 funwari*mamairo)
京都府在住


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