育児と生業
僕は最も大切なものは、夢より愛だ、という答えを大学浪人生の時に出している。
もっとも、そのときの夢は漫画家やったけど。(25歳のとき、『週刊少年ジャンプ』ストーリーキング賞入賞、担当付きになる。)
催事で困るのは、家族と離れること。
僕がいない間、二歳半の娘は、困ったことがあると「おとうさーん!!」ご飯が出来たら僕のいない部屋に「おとうさーん!!ご飯できたよ~!!あれー!?いないのー!?」と呼んでくれているらしい。
死ぬときに、決めていることがある。
「もっと家族と一緒に過ごせば良かった」そんな風に言わないこと。
しかし、この現場にいると、四週連続催事に出ている若手着物作家(もちろんナンチャッテ作家。実際はただの営業マン)も多い。売れっ子ならなおのこと。
以前会った問屋の人(加賀友禅の作家、という体になっていた。その10年後再会したときは、お手入れの職人、という体になっていた笑)は、四週連続催事で、合間も家に帰らずホテル住まいと言っていた。
そういう人は、見習えない。
呉服屋の営業の人も、部長クラスになると、毎週のようにあちこち飛び回っているようだ。
でも、きっと、家族に会いたいはず。そういう人も多いはず。
僕は、育児、授乳以外は全て出来る。もちろん母にしか出来ない精神的役割はあるけれど。
それは、娘といる時間が長いから。
僕は自分で言うのもなんだが仕事人間だ。楽しくてたまらない。でも、それでも、家族と共に過ごすことを大切にしたい。
仕事量は激減するやろう。
可能性を狭めてしまうかもしれない。
(それでも実は狭まらない気もしているけど)
それでも、死ぬ前に、「俺はたくさん、十分、愛する人たちと一緒にいた」と言い切りたい。
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