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映画#58『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』
『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』
(Black Panther: Wakanda Forever)
監督:ライアン・クーグラー
原作:スタン・リー、ジャック・カービー『ブラックパンサー』
製作:ケヴィン・ファイギ
出演:レティーシャ・ライト、ルピタ・ニョンゴ、ダナイ・グリラ、ウィンストン・デューク、フローレンス・カサンバ、ドミニク・ソーン、ミカエラ・コール、テノッチ・ウエルタ・メヒア、マーティン・フリーマン、アンジェラ・バセット、他
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズ
公開:2022年11月11日
上映時間:161分
製作国:アメリカ合衆国
「フェーズ4」を締めくくる、継承の物語。『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』。
(今作が作られた意図が意図なだけに、文章がかなーり長くなってしまいそう。ご容赦ください。)
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2016年公開『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』より初登場のキャラクター「ブラックパンサー/テイ・チャラ」を演じたチャドウィック・ボーズマン。彼が2020年8月、持病の悪化により亡くなってしまったという訃報は、全世界に悲しみをもたらした。
マーベル・スタジオはブラックパンサー役をリキャストしないと決断し、今作も制作の練り直しが確定したのだった。
偉大なるヒーローを失ってしまった、拭いきれない喪失感……だがそれでも私たちは、ワカンダは、乗り越えなければならない。これは決して、ただの続編ではない。
個人的に、現実とフィクションが過去一リンクしている作品だと思った。スクリーンの中でキャラクターたちが流す涙……その一滴一滴が、テイ・チャラだけでなくチャドウィック本人にも向けたもの、としか思えないのだ。
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オープニングから、今作に関わったスタッフたちやキャストたちが、どれだけの想いを込めて制作に携わったか……痛感せざるを得ない。私も誠意を持って、心の内の正直な感想を吐き出していこうと思う。
ワカンダの守護者たる存在の「ブラックパンサー」。他国からの侵略により国が危機に瀕した時、新たなブラックパンサー、即ちワカンダの王は一体誰がなるのか。
また今年最後のMCUの作品であると同時に、MCUの新たなるスタートを意味する「フェーズ4」の最後の作品、即ち後世の作品に引導を渡す存在である今作は、まさしく「継承の物語」なのだ。
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公開前、哀愁が漂いつつもどこか鼓舞するような雰囲気を出していた予告編を観た時、私の今作に対する期待は確かに膨れ上がっていた。
……が、しかし。いざ観てみての感想は、少々期待しすぎたのかもしれない、この一言に尽きるものだった。声を大にして「今作は間違いなく最高傑作だ!!!」とは、私の口からは決して言えない。
テイ・チャラ、もといチャドウィック・ボーズマンへの哀悼、というメタ要素を含んだ今作のテーマは理解できる。だがマーベルの映画としての側面としては果たしてどうなのだろうか。モヤついてはいるが、この疑問はずっと私の心の中で燻り続けている。
一例として、ワカンダとタロカンの戦士たちがぶつかり合う最終決戦。互いの国の存亡を賭けた重要な戦いではあるが、その動機を簡潔に言うならばそれは、テイ・チャラの妹にして新たなるブラックパンサー、シュリの復讐なのである。
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悪役ってよりかは「ワカンダとは異なる形の「正義」を持つ存在」って感じ。
「まだブラックパンサーに選ばれて間もない、未熟な王様なのだから仕方ない」と言うのも理解できる……が、ヒーロー映画としてその動機は如何なものだろうか、とも思ってしまうのが率直な感想だ。
ヒーロー映画における「最終決戦」とは物語の締め括りであり、最も胸が熱くなるシーンと言ってもいいだろう。だが今作のそれは、動機が動機なだけに心が揺れ動くこともなく、むしろ皆が渋々戦っているかのようにしか見えず、少々冷めてしまった。
正直、他にも疑問が残っているシーンなどは沢山ある。が、全部取り上げていては文字の量がすごいことになりそうキリがないのでこの辺で。
私は何も「今作は予想を遥かに下回るつまらなさだった」と言いたい訳ではない、むしろしっかりと面白かったと胸を張って言える。ただ喉に引っかかるシーンがいくつかあった、というだけであって。
特にネイモアの陸海空全てを制したかのような怒涛のアクション、相変わらずCGの完成度が高すぎるワカンダ、『アクアマン』を彷彿とさせるタロカンの風景、そして「第二のアイアンマン」とも呼べるアイアンハートの登場。特筆すべき点はいくつもある。
最後に……。
ブラックパンサーは、テイ・チャラは、チャドウィック・ボーズマンは、最高のヒーローだった。どうか先祖と共に安らかに。
WAKANDA FOREVER.
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