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映画#135『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』

『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』
("Indiana Jones and the Kingdom of the Crystal Skull")


監督:スティーヴン・スピルバーグ
出演:ハリソン・フォード、シャイア・ラブーフ、カレン・アレン、ケイト・ブランシェット、イゴール・ジジキン、レイ・ウィンストン、ジョン・ハート、ジム・ブロードベント、他
製作会社:パラマウント映画、ルーカスフィルム、ザ・ケネディ/マーシャル・カンパニー
配給:パラマウント映画
公開:2008年5月22日(米国)6月21日(日本)
上映時間:122分
製作国:アメリカ合衆国

Wikipediaより引用

【あらすじ】
米ソ冷戦下の1957年を舞台に、南米アマゾンの山奥に眠る秘宝クリスタル・スカルを巡って、考古学者インディ(ハリソン・フォード)とソ連の精鋭部隊が争奪戦を繰り広げる。

映画.comより抜粋

画像出典:映画.com

『インディ・ジョーンズ』シリーズ三部作を締め括った『最後の聖戦』が公開されてから、およそ20年もの長い歳月が流れた。主演のハリソン・フォードも還暦を迎え、すっかりおじいちゃんに。

だが彼が扮する「インディアナ・ジョーンズ」という男が内に秘めし冒険心は、いくら歳を重ねようと燻ることはない。というわけで20年ぶりのシリーズ最新作『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』の始まりだ。



「クリスタル・スカル」と聞いて、何だか聞き覚えのある人もいるのではなかろうか。(実在する秘宝だというものあるが)やはり著名なのは某テーマパークのアトラクションだろう。かくいう私もあのアトラクションは非常に印象深く、インディを知ったキッカケなのに加えて幼少期の私にとってはほぼ初めてのスリル系アトラクションだった。めちゃくちゃ怖くてほぼずっと目を伏せていたが……笑


肝心の内容に関して……大まかな話の流れは今までと大差はない。秘宝の在処を聞き、敵からの逃避行を続けながら、世界を股にかける大冒険を繰り広げる……強いていうなら、敵役はいつものナチスではなくソ連というところか。

他にもヒロインとして、一作目のヒロインであるマリオンがまさかの再登場。男勝りかつ大胆不敵な性格は、一作目から30年経っても変わらない模様。

その他、シャイア・ラブーフ演じるマットというキャラクターも登場。今作におけるインディの相棒役にあたるのだが、聞くにはマリオンの息子だという。そして物語が終盤に差し掛かる頃、マリオンから衝撃の事実が明かされるのだが……それはまた後ほど。


だが私はスピルバーグに一つ言いたい……一体どうしちまったんだと。物申したい主な要素はSF的な展開に関してだ……従来のタイトルと比べ、あまりにもスケールが大きすぎて少々困惑してしまったのである。

無論、私は決して「SF要素を無くせ」と言っている訳ではない……というよりむしろ『インディ・ジョーンズ』からそういったフィクション的要素を抜いてしまったら元も子もないからだ(伝説の秘宝を手にしただけで無惨な死を遂げていったナチスの方々はどういうこっちゃ、ということになってしまう)。

だが今作のはあまりにも「過剰」だ。ひと足先にネタバレすると、呪われし秘宝「クリスタル・スカル」は宇宙人の頭蓋骨であり、終盤ではスカルを元の位置に収めるべく遺跡に乗り込む……が、その遺跡の正体はその宇宙人のUFOであり、ラストでは何とUFOが起動しそのまま地球を後にする。CGをフル活用した迫力満点なシーンであることに間違いないのだが、いくらなんでも規模がデカすぎて正直違和感を感じざるを得ない。これじゃあ『未知との遭遇』じゃねぇか!!と言った感じに。


個人的に、『インディ・ジョーンズ』シリーズにおけるSF要素は「添えるだけ」が丁度いいと思っている。我々観客が求めるのは謎解き・アクション・アドベンチャー要素であり、摩訶不思議な展開はおまけ程度に楽しむものだ。20年もの長いブランクを経ての今作だからか、スピルバーグも感覚が鈍ってしまっていたのだろうか……。

更に言えば、マットの正体……まさかまさかのインディの息子という設定も、衝撃的ではありつつも唐突すぎていまいちピンと来なかった。普通にそのまま相棒ポジでよかったのに……大して「親子の絆」的な描写もなかった為なおさら。風の噂によると、今作に対して何か問題発言しちゃったせいで次回作に出れなくなったとか何とか……一体何だったんだコイツ。

演じたシャイア・ラブーフも『トランスフォーマー』で名演技を見せてくれた為に、少々勿体なく感じてしまう。


と、長々と物申してきた訳だが……だからといって、決して今作が面白くなかったという訳ではない。むしろ遺跡を冒険する場面が多く、その点に関してはかなり私好みだったと言える。喉につっかかる部分が多いというだけであって、作品の出来栄えは良作そのもの。ちょっと迷走しちゃってたのかな?と思う部分はあれど、流石はスピルバーグといったところ。

ソ連の女将として登場するイリーナを演じたケイト・ブランシェットの美貌にも注目だ。宇宙人の恐怖に屈せず、純粋かつ貪欲に知識を求め続け、最終的に身を滅ぼされた、という末路もどこかインディに通ずる部分を感じる。

また既におじいちゃんなハリソン・フォードが、スタントマンを登用せず自らアクションを行なったという事実には素直に感服せざるを得ない。


次回作『運命のダイヤル』を以て、『インディ・ジョーンズ』シリーズはついに幕を閉じることとなる。少々寂しいが、ハリソンもといインディは既に80歳越え。流石に休ませねば。代々監督を務めてきたスピルバーグはジョージ・ルーカスと共に製作に回り、『LOGAN ローガン』『ナイト&デイ』を手がけたジェームズ・マンゴールドが監督を務める。正直にいうと少し不安があるが、2023年・上半期の最後を締めくくる超大作として、インディの旅路の果を共に見届けようではないか。

それではまた、次の映画にて。

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