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映画#129『バックドラフト』

『バックドラフト』(”Backdraft”)

監督:ロン・ハワード
出演:カート・ラッセル、ウィリアム・ボールドウィン、スコット・グレン、ジェニファー・ジェイソン・リー、レベッカ・デモーネイ、J・T・ウォルシュ、ドナルド・サザーランド、ロバート・デ・ニーロ、他
製作会社:イマジン・エンターテインメント
配給:ユニバーサル
公開:1991年5月24日(米国)7月6日(日本)
上映時間:137分
製作国:アメリカ合衆国

Wikipediaより引用

【あらすじ】
幼い頃、消化作業中に父(カート・ラッセル)の死を目の当たりにしたブライアン・マキャーフィー(ウィリアム・ボールドウィン)は職を転々とした末に、故郷のシカゴに新米消防士として戻って来た。彼が友人のティム(ジェーソン・ゲドリック)と共に配属された17小隊には兄のスティーブン(カート・ラッセル2役)や父の部下だったアドコックス(スコット・グレン)らがいた。着任早々、火災現場に向かったブライアンは、そこでスティーブンの英雄的な活躍を目にする。

映画.comより抜粋

画像出典:映画.com

消防士という職業は常に死と隣り合わせ。灼熱の炎に身を焼かれ、焦げた瓦礫の下敷きになり、熱気と共に酸素を失い……たったひとつのキッカケで一瞬で命を失ってしまう、だがそれでも彼らは他人の生命を救うべく、自ら地獄の炎へ飛び込んでいく。

『バックドラフト』は、そんな危険な職業に命を賭す男達の勇姿と葛藤を描いたスリラー・アクションだ。監督は後に『ダ・ヴィンチ・コード』を手がけることとなるロン・ハワード。『遊星からの物体X』や『ワイルド・スピード』シリーズのカート・ラッセルが、主役の兄弟の兄を演じる。


もしかすると、世間一般的にはユニバーサルスタジオジャパンの某アトラクションの方が有名かもしれない。かくいう私もその1人だったが、当初の私は熱気と轟音が渦巻くあのアトラクションを、ただただ「怖い」ものとしか認知していなかった。

しかし蓋を開けてみれば、前半は仲間たちと共に切磋琢磨し合う猛々しい消防士たちの姿を、後半は「バックドラフト」という爆発現象が人為的に起こされたものとして捜査を開始するサスペンスが繰り広げられる(本当に綺麗に前半と後半でジャンルが分かれている為、中々新鮮な映画体験ができるのではないかと思う)。いずれにしても、まさに炎の如し熱量を持った、ある意味90年代初頭らしい映画だと言える。


デニーロ扮する捜査官のドナルド、凄腕消防士にしてブライアンの兄であるスティーヴン。勇敢に炎の中へ飛び込んでいく男達の勇姿を描く今作の中でも、一際輝きを放っていたのはこの2人だと断言出来る。

鎮火された火災現場にスーツで忍びこみ、冷静沈着に事態を把握し自らの憶測を立てていくドナルドの姿は至ってクールだ。これも、ロバート・デ・ニーロという大名優だからこそ成り立つキャラクターなのだろうか……

一方、スティーヴンはある意味ドナルドの対角線上に位置するキャラクターなのかもしれない。火災の裏に隠された陰謀を暴くよりも、目の前で苦しんでいる生命を助けることを優先する。火の動きを読み、撤退命令を振り切ってでも火の粉と硝煙が立ち込める現場に飛び込む姿はまさに「勇猛果敢」そのもの。


火災現場にて繰り広げられるアクション&ドラマと、バックドラフトの真実を追うサスペンス&スリラー。凄まじくゴージャスな要素を盛り込んだ作品ではあるが、今作に込められた「真のテーマ」とは何か。それは言うまでもなく「マカフレイ兄弟の絆」だろう。

兄のスティーヴン・マカフレイ、弟のブライアン・マカフレイ。訓練中のブライアンへのいびりが問題で喧嘩になったり、スティーヴンの勇気ある行動に気圧されてブライアンが隊を抜けたり、一瞬ではあるがスティーヴンがバックドラフトを引き起こした犯人だと疑われたり……

一見すると不仲な2人でが、シーンの随所随所には互いを認め合う、或いは認めようとする描写も。ブライアンが消防隊へ入団したのも父の辿った道を、そしてスティーヴンの歩む道を進むためだし、当のスティーヴンもパーティにて弟をバカにされるとすぐ相手をぶん殴ったりするなど、所々兄弟の絆を感じられるシーンが組み込まれている。不器用なりに弟を認めようとしようとしているのもまた、スティーヴンの魅力の1つだと言えるだろう。


消防士をテーマにした映画は決して多くは無いが、その点に関して今作は唯一無二の作品と言えるだろう。視覚的にも体感的にも感情的にもアツくなれる、そんな映画。観る時は、決して熱中症にならぬよう………笑

それではまた、次の映画にて。

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