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映画#110『アンタッチャブル』

『アンタッチャブル』(”The Untouchables")

監督:ブライアン・デ・パルマ
脚本:デヴィッド・マメット
原作:エリオット・ネス、オスカー・フレイリー『The Untouchables』
出演:ケビン・スコナー、チャールズ・マーティン・スミス、アンディ・ガルシア、ロバート・デ・ニーロ、ショーン・コネリー、他
製作会社:アート・リンソン・プロ
配給:パラマウント映画(米国)ユニバーサル(日本)
公開:1987年6月5日(米国)10月3日(日本)
上映時間:119分
製作国:アメリカ合衆国

Wikipediaより引用

【あらすじ】
1930年、禁酒法下のシカゴ。財務省から派遣された特別捜査官エリオット・ネスは街を牛耳るギャングのボス、アル・カポネに敢然と戦いを挑む。ベテラン警官のマローンを始め、射撃の名手ストーン、税理士のウォレスといったメンバーに支えられ、ネスの捜査が始まる。しかし巨悪カポネの差し向けた殺し屋によって、ひとり、またひとりと犠牲者が……。

映画.comより抜粋

※画像は全て映画.comのものを使用しております。

水綿

『ゴッドファーザー』をはじめ、映画……とりわけ一昔前の洋画では比較的十八番とされるジャンルである「ギャング/マフィア」モノ。

正義VS悪という単純明快な「勧善懲悪」的ストーリー、暴力・拷問・流血をはじめとする残酷な描写、轟音と火薬の匂いがスクリーン越しに伝わってくるかのような銃撃戦、そして何よりも作品全体に漂う「渋めな」雰囲気。

そんなマフィアをテーマとしたクライム映画には欠かせない要素を、すべからずいいとこ取りしたかのような作品が『アンタッチャブル』だ。監督は『スカーフェイス』や、後に『ミッション・インポッシブル』を手掛けた奇才、ブライアン・デ・パルマ。



財務省捜査官エリオット・ネスと、その仲間たち3人が手を組み結成されたチーム「アンタッチャブル」と、暗黒街の帝王アル・カポネとの戦いを描く今作、実は実録映画となっておりエリオット・ネスが自伝として描いた『The Untouchable』か原作となっている。

オリジナルのものとして描くのではなく、実際に起こった苛烈な戦いを映画として書き起こす……(多少の改変はあるものの)その様はまさしく、我々が「マフィア」という存在そのものに抱く「マイナスな」イメージを、まるごとそのまま反映させたかのようだ。

「マフィアは女と子供を殺さない??」いやいやそんなもの大間違いだ。彼らは制裁を下すと決めたんなら多少の犠牲は一切厭わない。たとえ1人の少女の命が爆弾によって奪われようとも……

そんなショッキングな展開がオープニングで行われるのだから、きっと私を含めた多くの人々が「勝手に」抱いていたマフィアへのイメージは見事に崩れ去ったことだろう。



反逆者と裏切り者へは死の制裁を。「あ、コイツに常識なんか通用しねーわ」と一目で分かるような、アル・カポネの威圧感満載な立ち振る舞いを見事に演じ切ったロバート・デ・ニーロはさることながら、終盤の階段から乳母車が落ちるシーン(セルゲイ・エイゼンシュテイン監督『戦艦ポチョムキン』のオマージュ)で凄まじく美味しい所を持って行ったジョージ・ストーン、彼を演じたアンディ・ガルシアもまた最高にかっちょいい。

初代ジェームズ・ボンドを演じ、その後スランプ気味だったショーン・コネリーの演技も大きく評価され、後に助演男優賞を受賞している。当然、主演を演じたケビン・コスナーもまた、今作の好評を経て一躍スターへの仲間入りを果たしている。



ただただシンプルかつドライで、それでいて魅せるべき所は抜かりなく魅せていく……今作に凄まじくのめりこめた訳ではないが、デ・パルマ監督の代表作たる所以は十二分に理解できた。

私としてはとにかく、例の階段でのシーンのストーンがカッコ良すぎて……ここで「百発百中の凄腕ガンマン」という設定が回収されるとは思わんやん。本当に美味しい部分持ってったな。笑

それではまた、次の映画にて。



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