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映画#42『スパイダーマン2』

『スパイダーマン2』(”Spider-Man 2")

監督:サム・ライミ
原作:スタン・リー、スティーヴ・ディッコ『スパイダーマン』
出演:トビー・マグワイア、キルスティン・ダンスト、ジェームズ・フランコ、アルフレッド・モリーナ、他
製作会社:コロンビア・ピクチャーズ、マーベル・エンターテインメント、ローラ・ジスキン・プロダクションズ
配給:SPE、コロンビア・ピクチャーズ(米国)SPE(日本)
公開:2004年6月30日(米国)7月10日(日本)
上映時間:127分
製作国:アメリカ合衆国

Wikipediaより引用

「親愛なる隣人」の、孤独なる戦い。

前作より2年後が舞台。

NYのビル群を飛び回り、様々な事件を解決していくスーパーヒーロー・スパイダーマン。一方、スパイダーマンの正体…ピーター・パーカーは日常生活とヒーロー活動の両立が上手くいかず悩んでいた。

前作に引き続き、今作もスパイダーマンのアクションシーンだけでなくピーター・パーカーの心情にスポットを当てている。前作との相違点は、言わずもがなスパイダーマンとして「人々を救う」というある種の使命感である。

ピーターが叔父と最後に交わした会話…「大いなる力には大いなる責任が伴う」という言葉は、深くピーターの心を縛り付けている。その大きすぎる責任感に苛まれた結果、ピーターは一度スパイダーマンを辞めてしまう。

いくらヒーローとは言え、彼はまだ大学生である。「スパイダーマン」としての自分か、「ピーター・パーカー」としての自分か。彼の揺れ動く戸惑いは、スパイダーマンの能力が失われるという形で形で発現していた。

だがヒーローとは再び舞い戻るもの。叔母のメイとの会話を経て、気持ちの整理がついたことでスパイダーマンとして復帰するのだった。

前半はピーターの揺れ動く心をたっぷり描き、後半はスパイダーマンと今作のヴィラン「ドクター・オクトパス」(以下、ドックオク)との戦いが描かれている。

電車の上で激闘を繰り広げるスパイダーマンとドクター・オクトパス。スパイダーマンのしなやかで俊敏な動きと、ドックオクの4本のアームによる多彩な攻撃によるハイスピードアクションは見ものだ。

そしてもう一つ、名シーンとして挙げられるのがスパイダーマンが暴走する電車を止めるシーンだ。あの手この手で電車を止めようとするスパイダーマン。

ここで注目したいのはスパイダーマンの素顔を知った乗客たちの反応。無事電車を止めることに成功したスパイダーマンは気絶するが、乗客たちの手によって救助される。

「俺たちは今までスパイダーマンに助けられてきた。今度は俺たちが助ける番だ。」と言わんばかりに、ドックオクが立ち塞がっても尚怯まない乗客たちの姿にはグッとくるものがある。

(恥ずかしながら、私は現代社会に毒されてしまったが故に「今だったらみんなスマホ取り出して速攻SNSに拡散だろうなぁ」と思ってしまった。不覚。)

今作は比較的戦闘シーンが少ない。が、電車の上での戦闘シーンがあまりにも完成度が高すぎて正直全く気にならない。そしてしっかりとピーター・パーカーのドラマも描いていることから、今作は非常にバランスよく仕上がっていると個人的に感じた。サム・ライミ三部作で一番好きなのはどれかと聞かれたら、私は迷わず今作を選ぶだろう。


まとめ

前作のヴィラン「グリーンゴブリン」は、完全なる邪悪、といった印象を受ける。その一方で今作のドックオクは、一見邪悪に見えるもののどこか悲壮感を漂わせているのが特徴だ。

因果応報と言ってしまえばそれまでなのだが、成功すると寸分違わず信じてきた実験が失敗し、あまつさえ最愛の妻を亡くし、果てには人格をアームに乗っ取られているのだから、どこか同情してしまう。

ウィレム・デフォーがグリーン・ゴブリンに適役なのと同じように、ドックオクを演じたアルフレッド・モリーナもまた適役だったと言えるだろう。

また今作もサム・ライミ監督らしさが溢れるシーン…言うなればホラー映画的演出が施されている。真っ先に挙げられるのがこの病院のシーンであり、ドックオクのアームが自我を持ち始め医師たちを虐殺してしまうのだ。医師たちの絶叫が響く中、まるで生き物のように動き回るアーム…まるでSFホラーのようなシーンだ。

あと個人的にドン引きしたのがラストシーンのMJ。結婚式を放棄してピーターの所に行って愛の告白を告げるのだが…個人的にどうにも納得できない。

貞操観念的に、既に決まっている結婚を放棄するというのは如何なものだろうかと考えてしまう。私にはどうしても「ピーターお前良かったな!!」とならなかった。というか受け入れてしまうピーターもどうなんだ。

SNSに書き込めて、尚且つ私が知り得る言葉で、彼女を最大限に侮辱するのならば「尻軽女」とでも言おうか。前作で彼女と別れたフラッシュはある意味正解だったのかもしれない。

それではまた、次の映画にて。

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