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映画#98『アントマン&ワスプ:クアントマニア』

『アントマン&ワスプ:クアントマニア』
(”Ant-Man and the Wasp: Quantumania”)


監督:ペイトン・リード
原作:スタン・リー、ラリー・リーバー、ジャック・カービー『アントマン』
出演:ポール・ラッド、エヴァンジェリン・リリー、ジョナサン・メジャース、キャスリン・ニュートン、デヴィッド・ダストマルチャン、ケイティ・オブライアン、ウィリアム・ジャクソン・ハーパー、ビル・マーレイ、ミシェル・ファイファー、コリー・ストール、マイケル・ダグラス、他
製作会社:マーベル・スタジオ
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズ
公開:2023年2月17日
上映時間:125分
製作国:アメリカ合衆国

Wikipediaより引用

【あらすじ】
新たな「アベンジャーズ」へ続く物語が、ついに始動。身長わずか1.5cmの最小ヒーロー、アントマンとワスプは、<量子世界>に導く装置を生み出した娘キャシー達とともに、ミクロより小さな世界へ引きずり込まれてしまう。そこで待ち受けていたのは、過去、現在、未来すべての時を操る能力を持つ、マーベル史上最凶の敵、征服者カーン。彼がこの世界から解き放たれたら、全人類に恐るべき危機が迫る 。アベンジャーズで最も普通すぎる男アントマンが、マーベル史上最大の脅威に挑むアクション超大作。

Filmarksより抜粋

舞台は広大なる「量子世界Quantumania」へ……。
激動の「フェーズ5」が幕を開ける。


特殊なスーツを身にまとい、身体を極限まで縮小することができる「世界最小のヒーロー」ことアントマン/スコット・ラング。本人は「平凡な男」と自称しているが、『アベンジャーズ/エンドゲーム』では「量子力学を用いたタイムトラベル」を提案し、結果として世界を救うことに成功している。

そんな彼が、今回も作中において重要な局面に立たされることとなる。それこそが、今回の舞台となる量子世界だ。「世界を内包する世界」と呼ばれるこの空間はとてつもなく広く、もはや別次元の世界観なのではないかと疑うほど。


そしてそんな世界を圧倒的な力を以て制圧しているのが、「マルチバース・サーガ」のラスボスこと征服者カーン。演じるのはジョナサン・メジャース。このキャラクターを端的に言い表すならば「新たなるサノス」。今までにないほどの強大な力を持つスーパー・ヴィランである。

「時間軸そのものを破壊する」という、明らかに歴代最強レベルな能力の持ち主。

そんな彼の最大の強みは「複数の時間軸にそれぞれの個体を持っている」こと。例えば時間軸AにはカーンAが、時間軸BにはカーンBがそれぞれ存在している、と言った具合だ(なぜこうなるに至ったか、それはドラマシリーズ『ロキ』の中で明かされているらしい。ちなみに私は観ていない)。無論それぞれの個体の自我は独立しているが、サノスを遥かに超える強敵であることに間違いない。


前置きはここまでにして感想に入ろう……率直に述べると「平凡な面白さ」と言った感じだ。CG・VFXをフル活用した、超美麗な量子世界の世界観……

世界観が広すぎる故、被るのは仕方ないとも捉えられるが……

その一方で「これ『SW』とか『GOTG』でも見たぞ??」と、いわば既視感が私を襲ったのだった。別にこの光景を「どこかの惑星です」と言われれば納得してしまうし、何なら住民の姿に至ってはまんま『SW』だ。できればもう少し、量子世界特有の「気持ち悪さ」を捻出して欲しかったと思う。


そして最大の問題となるのが「『アントマン』らしさの欠如」だ。そのらしさとして1つ挙げられるのが、所謂「コメディ要素」である。

『アントマン』及び『アントマン&ワスプ』はいわば「前科持ち元アイスクリーム販売員の男がヒーローになっていくコメディ・ヒーローアクション」であり、元々泥棒として活躍していたのもあり非常にコミカルな仕上がりとなっている。

更に前2作は現実世界を舞台に物語が展開されていたのもあり(例:子供部屋で小さくなったことで、猛烈な勢いで迫ってくるきかんしゃトーマスのおもちゃなど)、それによって従来のコメディモノとはまた違ったコミカルさを醸し出していた。


対して今作は、全編通してシリアスな作りとなっている。完全にコメディが排された訳ではないが、それでも「シリアス調な作品」と言って差し支えないだろう。

なぜ今までのシリーズと異なるのか……考えられる理由として挙げられるのは、やはりスーパーヴィランであるカーンの恐ろしさを強調するためだろうが、かといって「カーンが得体の知れない不気味さを十分に放っていた」とも言い難い為、結果的に『アントマン』特有のオリジナリティが失われてしまっている気がしてならない。


『ドクター・ストレンジMoM』では容赦ないサム・ライミ節。
『スパイダーマンNWH』ではファンに向けた最高のサプライズ。
『ムーンナイト』ではMCUとは到底思えないほどの重厚なストーリー。

色々言われてはいたフェーズ4だが、その多くはその作品にしか持ち得ない「特色」あるいは「尖った部分」があった。

がしかし、今作に限ってはそれらしきものがどうも見当たらない。結果的に「量子世界でスター・ウォーズやってみた」になってしまっているのが残念極まりない。面白かったっちゃ面白かったが、何が具体的に面白かったのかは答えられない……そんな感じ。

近年、若干失速気味なMCU。果たしてかつてのような栄光を再び手にすることができるのか。色んな意味で目を張っていきたい。

それではまた、次の映画にて。

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