映画#96『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』
最強の「元」捜査官と、最強の「元」殺し屋。
シリーズ最大級の「不仲」な2人に、世界の命運が託された。
『ワイルド・スピード』シリーズ初のスピンオフ作品となる今作。主人公は2人……ドウェイン・ジョンソン演じるルーク・ホブスと、ジェイソン・ステイサム演じるデッカード・ショウだ。
『SKY MISSION』では敵として激闘を繰り広げ、『ICE BREAK』では一瞬ではあるが仲間として共闘した2人。今やシリーズの中でもドムとブライアンに並ぶ名コンビとなったが、ドムたちと圧倒的に異なる点が「たった一つだけ」存在する……それは「致命的に仲が悪い」ということ。
顔を合わせようなら罵り合いが発生し、息をするように互いがいがみ合ってる、でもいざ共闘すると案外息が合ってたりする……最早絵に描いたような「凸凹コンビ」だ。
さて、実際の内容に関する感想としては、端的に言うと「良くも悪くも、ワイスピの「ワイスピらしく無さ」が全開だった」。
言うなれば、2001年に公開されたシリーズ第1作である『ワイルド・スピード』のストリート・レースをベースとしたクライム・カーアクションが今作はほぼない。今となってはシリーズ恒例となったカーチェイスも比較的少なく、むしろ拳と拳で語り合う近接戦闘が多いようにも感じられる。
これを「スピンオフ(番外編)だし問題ない」と捉えるか「こんなのワイスピじゃない!!」と捉えるかは人それぞれとなるだろうが……勧善懲悪、ド派手アクション、「真の黒幕」の存在、諸々含めてぱっと見『アベンジャーズ』感があるのは正直否めない。
『ワイスピ』では度々「ファミリー」という単語が登場する。本編ではドム、ブライアン、レティ、ローマンら主要人物たちがチームを組み「ファミリー」と名乗っているが、今作では今まで明かされていなかったホブス、ショウの「血の繋がった」ファミリーたちが登場する。
ホブスには母親と弟が、ショウには母親と妹(と何故か今作にいない弟)が。従来の作品とは大きく異なる今作だが、その根底にあるテーマは番外編だろうと変わっていないのかもしれない。
2019年公開当時、車好きの友人に連れられ今作を劇場で鑑賞したのを今でも覚えている(「車がめっちゃかっこいい映画だから!!」と言われ誘われたはいいものの「そんなに車出てたか……?」というのが率直な感想だったが笑)。何なら今作が私にとって「初ワイスピ」だった。
2019年はまさしく、私が映画の沼にハマってしまった年である。「郷愁」という言葉とは数千キロほどかけ離れた作品ではあるが、私は不意に「懐かしいなぁ」とふと思いを馳せていた、そんな作品だった。
それではまた、次の映画にて。
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