映画#122『レディ・プレイヤー1』
世の中には、所謂「お祭り映画」的な作品が多数存在する。特にマーベルをはじめとするヒーロー映画では十八番の手法となっており、現にMCUにおけるシリーズの集大成である『アベンジャーズ/エンドゲーム』は空前絶後の大ヒットを記録し、歴代興行収入の内第二位を記録している。私としても「あれほどゴージャスかつ胸熱な映画は最早存在すらしないだろう」と思っていた……この作品を目にするまでは。
今作『レディ・プレイヤー1』を一言で言い表すのならば「ぼくのかんがえたさいきょうのえいが」だ。日本を含めた古今東西のありとあらゆるゲーム・映画・コミック……80〜90年代のポップカルチャーをごっちゃ混ぜにした、最早「豪華」なんて言葉では到底収まり切らないほどのボリュームを有す、正に前代未聞の超大作。監督は巨匠スティーヴン・スピルバーグ。
劇中に盛り込まれたオマージュ含むクロスオーバー要素の数は計り知れなく、その全てを見抜けた人は果たして存在するのだろうか?と疑ってしまうほど。また海外だけでなく、日本の大衆文化も取り入れているのは我々日本人にとっては嬉しい所。
特にメカゴジラVSガンダムという奇跡の対決は大興奮間違いなし。ちなみに原作の小説では、主人公がウルトラマンに変身したり、かの有名(但し日本国内に限る)な東映スパイダーマンのレオパルドンが登場するそう……もし権利問題が解決していたらこれらが実現していたかもしれない、と考えると思わずニヤけてしまう。
「豪華なのは良いが、そうすると作品の中身がとっ散らかってしまうのではないか」と一部の人は懸念するかもしれない。しかし安心して欲しい……そんな今作を執り仕切るは、あの大巨匠のスピルバーグなのだから。
かつての80年代の名作を彷彿させる単純明快なストーリーは観ていてとても心地良く、更にそこへ「ファンにとって致死量のクロスオーバー要素」が絡んできて……おいおい、この映画どんだけ面白いんだよ。
複雑な設定だとか伏線回収だとかそんなものは置いておいて、とにかくただひたすらに「面白い」。スピルバーグの「娯楽映画を作る天才」たる特徴が出るに出まくった、10年代における史上最高の娯楽作と言っても過言ではないのかもしれない。
ただ一つだけ引っかかった部分を言うならば「パーシヴァルとアルテミスのラブロマンス」だろうか。仮想世界「オアシス」の支配権を手に入れることができる「イースターエッグ」を巡って奔走する2人は、物語が進むにつれ互いに惹かれあっていくのだが……パーシヴァルのアプローチがあまりにも熱烈すぎて、少々くどく感じてしまった。
特に最後の試練が待ち受ける城にて銃撃戦を行っている最中だというのに、唐突に愛の言葉を羅列し始めるパーシヴァルには思わず引いてしまった……「それ今言う!?」といった具合に。
がしかし、今では当たり前となった「ネット恋愛」にフォーカスを当てたラブロマンス、という点に関してはよくできてるなぁと言った感じ。かくいう私も経験者である為「きっと実物を見たら幻滅するよ」という言葉はどこか懐かしさの様なものを覚えたし、「オアシス」というもう一つの現実世界が存在する今作だからこそ描けるものなんだなぁ、と痛感した。
私はゲームも映画もどちらも大好きだ。故に、オアシスの創造者であるハリデーの最後の言葉……「私のゲームで遊んでくれてありがとう」というセリフに少し涙してしまった。誰よりもオアシスという世界を愛し、隅々まで遊び尽くした者同士である2人だからこそ交わす事のできた言葉……
そんな壮大な物語の最後に告げられた言葉が「ありがとう」。これが、全世界の「生み出す側」即ちクリエイターが「遊ぶ側」に、どうしても告げたかった言葉に聞こえてしまって……こういうメッセージ性もぶち込んでくるとか、どうなってんだよこの映画(泣)
きっと今作は、ゲームが好きだということも映画が好きだということも、どちらが欠けていればここまで楽しむことはできなかっただろうと思う。
ありがとう、スピルバーグ……。
それではまた、次の映画にて。
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