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2020年に映画館で観た映画ベスト10

小説メインのアカウントですが、今回は「映画」

もうすっかり一人映画への抵抗も無くなり、ちょっと時間があけば映画館に。なんだったら観る映画を先に決めて、移動先で作業をする(リモートワーク万歳)程度には観てきた2020。せっかくなのでベスト10を選んでみました。

多少のネタバレはすいません。

※読んだ小説が原作の映画(「朝が来る」「罪の声」)や、アニメの続き(「鬼滅の刃」「劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン」)は対象から外しました。

第10位 「ミッドサマー」

5人の学生が招かれたのは、白夜に照らされた狂気の祭りだったー

奇祭。クレイジー全開で、もちろんグロ要素もちょっとだけ。中途半端な救いは要らないから、とことんまで狂ってくれというこちらの思いに、全力で応えてくれる。作品全体に漂うトリップしそうな空気と世界観でこちらの精神を削ってくる映画。

twitterで見かけた「仲間由紀恵と阿部寛が来なかったTRICKの村」という例えが秀逸すぎて。

第9位 「新聞記者」

内閣官房 vs 女性記者

第43回日本アカデミー賞 最優秀作品賞・最優秀主演男優賞・最優秀主演女優賞受賞作品。

政府の闇に挑む新聞記者という、場合によっては圧力がかかってもおかしくないようなストーリーなので、普通なら無名俳優で制作しゲリラ感・インディーズ感ある作品になりそうなものなのに、ここで松坂桃李が出演することで一気に説得力が増す。その上、最優秀作品賞に選ぶあたり、日本映画界の気合いと決意を感じる。

第8位 「人数の町」と「水曜日が消えた」

部屋に入ったらこの町のガイドであるバイブルを熟読すること
曜日ごとに入れ替わる”7人の僕" 不便だけど、平穏な毎日 そんなある日 水曜日が消えた

どちらも中村倫也主演。どちらもテーマが秀逸でどちらも面白く、どちらも外せなかったので、同率で8位に。

「人数の町」は、社会不適合者を集めた施設(町)の話。ここまではまぁまぁ聞く設定だけど、自給自足させるのではなく、外の社会に対して「一般大衆」の仕事をするあたり皮肉が効いてる。ネットで叩いたり褒めたり、飲食店に並んでみたり。一般大衆、その他大勢という意味で人数の町。頼りなさげでも頑張る中村倫也。

「水曜日が消えた」は、解離性同一障害(多重人格)で曜日ごとに人格が違う、つまり7人を演じ分けないといけない中村倫也。役者さんって凄いな。こういうインパクト系の設定にありがちなストーリーの尻つぼみ感は全然無く、ちゃんと最後まで面白い。舞台化されても面白そう。

第7位 「彼女は夢で踊る」

広島ー 伝説のストリップ劇場に咲く 美しく切ないラブストーリー

上映館数は少ないものの、twitterで見かけ、評価も高かったので鑑賞。ノスタルジックで真っ直ぐで。ストリップ劇場が舞台の映画なのに、なぜかドラえもんの感動回を連想させる。ギラギラしているだろう全てに哀愁のフィルターがかかって放つ美しさが、とても心地いい作品。

広島に実在するストリップ劇場「広島第一劇場」が舞台。

第6位 「ミセス・ノイズィ」

小説家でもあり、母親でもある主人公。スランプ中の彼女の前に、ある日突如立ちはだかったのは、隣の住人による、けたたましい騒音、そして嫌がらせの数々だった。

その昔、ワイドショーでちょっとだけ話題になった「騒音おばさん」から連想して作られたらしい。騒音おばさん視点での事情や見えているもの、主人公の小説家としての逆襲、そしてネット狂騒。序盤から主人公のちょっとイタい振る舞いが散りばめられ、正義と悪ではなく、ちょっと自分中心な被害者とちょっと同情するけどズレた人との対立が、なるほどこういう展開になるのかと。

それにしても衆人のタチの悪さは、この作品でも遺憾なく発揮されている。

第5位 「37セカンズ」

37秒間ーそれは、生まれてきた時息をしていなかった時間

たった37秒間息をしていなかっただけで、下半身は麻痺、両手もあまり自由には動かない主人公の成長を描くロードムービー。いや、成長を描くというが、開始数分の時点で十分に強い。主人公演じる女優さんは、自身も障がいを抱えていて、さらに演技初挑戦。声量も少なく細い。こんなに弱々しいのに、こんなにも強い。同情誘う感動ポルノもなんのその、その真逆でただただかっこいい。

家出した主人公に渡辺真起子さんがかけた言葉がすごく良かった。本人の意思と行動力を尊重して後押ししつつ、母親をも気遣う。その優しさがとても泣けた。

第4位 「アルプススタンドのはじの方」

そこは、輝けない私たちのちょっとだけ輝かしい特等席。

演劇部の二人と帰宅部、元野球部が、野球部の応援をしている。舞台のほとんどがアルプススタンド(観客席)。グラウンドの野球部の姿すら見せない。それでいて、伏線の散りばめ方と確実な回収、小ネタ、無駄のない会話。脚本が美しすぎる。

元々は、高校演劇部の戯曲だったようで。このレベルの作品が高校!?

第3位 「ドロステのはてで僕ら」

雑居ビルにあるカフェで起こった、SFめいた事象。
テレビとテレビが「時間的ハウリング」を引き起こし、2分前と2分後がつながった。

カメラを止めるな!を観たとき以来の衝撃。テレビ(実際にはカメラ付きのモニタ。早い話がimac)が2台、普通のweb会議ではリアルタイムだけど、そこに2分のタイムラグがある。さぁここからどうなると思いきや、モニタ同士を合わせ鏡にして、2分どころか4分、8分、16分、、、後の未来とも繋げてしまった。この時点で物語はまだ序盤も序盤。4分後と会話して、16分後と会話して、2分前とも会話する。こんなに複雑なのに、それを感じさせない全然頭を使わずに楽しめるストーリー。

もっと話題になると思ったのに。これを埋もれさせるのはもったいない。

第2位 「TENET テネット」

ミッション <時間>から脱出せよ

公開前、クリストファー・ノーラン作品を次々にIMAX公開し、冒頭にTENETの冒頭シーン(オペラ劇場テロ)を丸々流す。これだけハードルを上げまくった上で、こんなに面白いんだから仕方ない。

タイムマシンではなく時間を逆行というアイディアも、逆行=逆再生はわかるけれど、だからって順行と逆行の俳優さんでアクションするなんて。1対1の格闘だけでなく大人数での戦争まで。

1回目はただただ圧倒され、理解したくてパンフレットを買い、知識を入れた上で2回目に行ったがそれでもまだまだ分からない。考えるな。感じろ。

第1位 「ミッドナイトスワン」

最期の冬、母になりたいと思った。

これはもう文句なし。ぜひ前知識なしでいきなり観てほしい。役者「草彅剛」を侮っていた。(ブリーフ一丁でガキ使に出てる人と同一人物とは思えない)

トランスジェンダーとしての凪沙(草彅剛)と親から虐待されて「伯父」を頼って東京に出てきた一果(服部樹咲)の人物はもちろん、周りを固める人たちも、力強さと弱さと運命への呪いと感謝と。

ストーリーも、予想を裏切る展開ばかり。ついつい先の展開を予想しながら観てしまうけど、こんなに(良い意味で)裏切られるなんて。バレエで追い抜いた後の同級生の行動、てっきりイジメが始まるものだと思ったのに。

最後の一果が踊るシーンを絶賛するコメントが多かったけど、個人的には、一果はもう大丈夫だと悟った時の凪沙のシーンが一番泣けた。

最後に

2021年もたくさん映画を見るぞ!!!


#小説ソムリエ 始めました。 普段あんまり小説を読まない人でも、趣味・好きな映画などなどを伺って、あなたに合った小説をおすすめします。