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背中を押してもらった言葉。

高校卒業後、保育科に進んだ私は、保育士になるために色々学ばせてもらった。1番忙しかったのはやはり実習だ。保育園、幼稚園、介護施設、忙しい中でも楽しかった。

それと同時に知る。

『自分の力の無さ。』


ある園での実習。自由に遊ぶ時間。ある子が泣きながら抱きついてくる。使っていたおもちゃをお友達に取られてしまったらしい。私は実習に来ている。ただヨシヨシするだけという訳にはいかない。その子と、おもちゃを取っていった子の元へと向かうが‥言葉をあれこれ変えて話しかけてもギュッと口を結んで全く話してくれない(笑)!私はオロオロするばかり。焦る。

‥どうしよう(>_<)‥

見かねた担任の先生が来てくださった。『どうしたのー?』

『だって!貸してって言っても貸してくれないんだもん!』


ギュッと結ばれていた口は速攻で開かれ、本音が飛び出した。

『‥す、すごい(*゚∀゚*)!』

あれよあれよと解決し、2人の子は遊び始めた。


『私、何も出来なかった‥。』



また別の園での実習。ある子が大きなケガをした。ケガがおきた後のすばやい処置。先生方の連携。保護者の方への連絡と説明。今思えばその一部始終のほんの一部分を見ただけだった。それでも、緊迫した雰囲気は感じた。


『私、こんな時ちゃんと動けるだろうか‥?』


楽しい保育、子ども達にとって充実した園生活は大切。でも、その前に、


『大事な命をお家の方から預けてもらっているんだな‥。』


未熟ながらに感じた。

他にも色々、本当に色々と経験させて頂いた。




実習を終えて、学生生活に戻った。


ある授業で、先生が言った。


『皆さん、実習どうでしたか?色々それぞれ学んだと思います。じゃあここで聞きます。この中にこんな風に思った人はいませんか?』


『私は本当に先生になる資格があるのだろうか?』



‥グサッときた。


これが図星というやつだ。まさに、そう思っていた。私は子ども達の心の声を聞き出せなかった。担任の先生が来てくれなかったらどうなっていただろう。

子ども達は毎朝園へ来る。でも園へいる間はその体と命を預かっている。子どもは可愛い。その気持ちだけは実習で間違いないと確信した。でも、その気持ちだけで「命を預かる」なんて大それた事を、ちっぽけな私なんかが出来るだろうか‥。

そう思っていた時に、まさに図星の言葉だった。ギクリとした。

しかし、少し間を置いて先生が言った。


『では、そう思った人に聞きます。』


『じゃあ、いつになったら、あなたは「先生になる資格がある人間」になれるの?』



一瞬時間が止まった。

私だけじゃない。教室が一瞬しんとなった。


そして思った。

『いつって‥?』

『そんな事言ったら、一生そんな人間にはなれない‥。』



落ち込んだ。今、夢が絶たれたような‥。


先生が続けて言う。


『‥そう。先生と呼ばれる仕事。完璧に立派になってからなろう!と思ったら、一生なれない。完璧な人はこの世にいないから。じゃあどうする?先生になるのを諦めますか?』


‥考える。というより、自分に問いかけていた。


そして思った。


『先生になりたい。こんな私だけどなりたい。』


先生へ。

先生の問いかけと言葉に、背中を押してもらいました。たくさんの子ども達やご家族と出会い、一緒に泣き笑いの日々を送りました。今は形を変えて、我が子や、あらたな子ども達とも出会いました。まだまだ子どもや、子育てをしているご家族に出来る事があるんじゃないかと、やってみたいと思っている事もあります。


こんな私でも。




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