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【ココ塾】#5 秋の訪れと、新しいお客さま

 10月になり、朝晩はとても涼しくなりましたね。
 この時期は運動会や遠足などの学校行事が多く、時間割が変更になったり、大きな音楽が流れたり、苦手な運動やダンスをしなければいけなかったりと、発達特性のあるお子さまには何かと大変なことが多くあります。体調を崩してしまうこともありますので、たとえ些細なことであってもできたことは十分に褒めてあげながら、ご家庭ではたっぷり休ませてあげたいものです。
 
 さて、最近になり、「ココ塾」にはたくさんのお客さまがいらっしゃっています。ご利用希望のお問合せはもちろんですが、区内小学校のスクールカウンセラーの先生が見学に来てくださったり、クリニックから支援内容について知りたいとお問合せをいただいたり、お世話になっている信金さんが「福祉に力を入れたい!」と本部から視察に来てくださったり…。

 私自身が息子の療育にずっと求めていた「一人ひとりの特性に合わせた療育を」というシンプルな願いが、たくさんの方々のお力があってこうして現実のものとなり、様々な分野の専門家から注目をしていただけるということは、本当にありがたく身が引き締まる思いがします。
 
 おかげさまで利用枠も、ほぼ満席となりました(今後、定員拡大の予定です)。最近では、海外から日本に引っ越してこられたご家庭の相談も続きました。みなさん、2ヶ月前に日本にいらっしゃったと言います。お子さまは日本で生まれたものの、コロナの影響で2年ばかり母国に帰り、また日本に戻ってきたという方もいました。
 まだ発語のない方にしてみたら、今までは母国語で、これからは日本語で療育を受けるというのは、なかなか大変なことだと思います。しかし今回は、どのご家庭も「これから長く日本で暮らしていくため、日本語で療育してほしい」とのことでしたので、日本語でアプローチすることになりました。(余談ですが、「ココ塾」には英語が堪能なスタッフが週2日在籍していますので、曜日に制限はありますが、英語での療育も可能です。)
 
 海外から来られた方々のお話しを聞いていると、みなさま日本で療育を受けるにはかなりのハードルがあることを実感します。就学を控えた年長さんのケースでは、一般的な幼稚園にも入れず、公的な支援機関にも「満席」と言われ、民間の療育機関を探すように日本語で書かれた事業所リストだけを渡されて、お母さまが一生懸命な日本語で1事業所ずつ電話をしているというご家庭がありました。私は区の支援機関で相談支援専門員(障がいのある方の相談にのり、適切な福祉サービスが受けられるよう調整する役割の専門職)として働いていましたので、こうして情報を得るのに困難が大きいご家庭ほど相談支援が必要であるにもかかわらず、それが届かない状況であることが本当に残念でなりません。相談支援が受けられないと、事業所を探すだけではなく、その先に必要となる手続きもすべて保護者さまが行わなければいけません。「サービス等利用計画」という4枚セットの様式を作成し、自治体に提出するのですが、これを外国から来た方に日本語で書けと言っているのですから、あまりに不親切だと感じます。
 
 「ココ塾」がある大田区は、サービスを提供する事業所数に対して、相談支援事業所が特に少ないエリアです。多様なお客さまとの出会いから、地域課題を再確認することができました。求められる支援を提供するだけではなく、人と支援を適切なかたちでつないでいける地域となるよう、微力ながら私も全力を尽くしていきたいと考えています。