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反面教師として考える。硬直マインドセット人間を育てるレシピ

昨日書いた、「しなやかマインドセット」と「硬直マインドセット」の話
自分自身は硬直マインドセット(最初から完全を求める、失敗したくない、過程より結果)の傾向が強いので、もう少しそれについて考えてみた。

こうすれば硬直マインドセットの人間が育つよ、ということを踏まえて、そうしなければいいのである。


僕の親はとても厳しかった。特に勉強については、100点取って「赦される」、そうでなければ親が不機嫌になる、叱られる、そういう環境。

親の夢(僕の夢としても刷り込まれた)は、東大法学部を出て弁護士になること。
他人から「将来の夢はなに?」と聞かれると、僕より先に「東大法学部に行って弁護士!」と親が答える、そんな感じ。

・・・ああもうこれだけでしんどい。
でも頑張って書こう。

父親は短大卒、母親は高卒。
当時は珍しくもないと思うのだが、その劣等感がそうさせていたのだろうか。
夫婦仲も悪く、そのストレスが教育に向かっていたのかもしれない。


小学校の頃から苦しんでいた。

良くない点数の試験を机に詰め込んでいたら授業参観で親が見つけ、帰って来た父親にこっぴどく叱られた。

毎月家に送られてくる定期購読の問題集を片付けないと叱られるのもプレッシャー。
やりたくなくて放っておいたら、母親に5ヶ月分くらい束ねて頭を思い切りシバかれたことがある。
生まれてはじめて目から星が出た。

勉強方法について教えられたり、勉強する意味を話し合ったりした記憶は殆どない。
ひたすら、点数、成績を求められた。
「お前はちゃんとやれば100点取れるのになぜ怠けるのか」
「大人は仕事、子供は勉強が義務。なぜ果たさないのか」
といった具合。


中学校になるとプレッシャーはいっそうきつくなった。

定期テストの2週間前になると胃が痛みだす。
またあの苦行が始まるのだ。
学年一番になるには、テスト範囲を全暗記しないと行けない。
毎回吐きそうになって勉強した。
試験が終わったら、勉強のできる友達に点数を聞く。
一番になったか確かめて、親に報告するためだ。

ひどいこともやった。
悪い点数のときには、回答を書き直して、先生、採点間違ってますよ、と、不正をしてまで点数を上げようとした。
今では考えられない、モラルを欠いた行動だが、そのくらい追い詰められていたのだろう。

今でも忘れない、中2の二学期の中間テスト。
5科目で493点。
4科目で100点取ったことの歓びより、数学で100点取れなかった無念さをはっきりと覚えている。
親に全く文句を言わせない結果を出すことが出来なかったのだ。


高校は田舎の私立の進学校。

3年間、寮とアパート生活。
平日9時間、土曜は5時間の授業、寮で3時間の学修時間。
夏休みは正味1週間、あとは毎日7時間の補習。
3年間、勉強した以外の記憶は殆ど、ない。

学年5位以内の成績を取れると、授業料が全額免除になる。
この頃から家業はどんどん傾いていった。
経済的な事情から、特待生の座から落ちるわけには行かなかった。
必死で、3年間、その資格を守った。


これが、硬直マインドセットの人間が出来上がるまでのストーリー。

大学入学以降、親の縛りは弱まっていったが、自分の中の縛りはなかなか解けず、今に至る。

悪いことばかりではなかった。
東大は、無理だった。
でも、必死で詰め込んたおかげで、京大には入れた。
大学ではたくさんのステキな人と会えたし、鹿児島の片田舎にいては見られない世界も見ることができたし、行けたことには心から感謝している。
極限まで詰め込まないと、たどり着けなかった場所だから。
いざ入ったら、そうでない奴もたくさんいて絶望するのだけど、それはまた別の話。笑

僕は、しなやかマインドセットと引き換えに、新しい世界へのキップを手にいれることが出来たのだ。
それは間違いない。

今は、親を恨んではいない。
思い出して腹が立つことは何度もあるけれど、親なりに良かれと思って必死でやった結果でしかないのだから。

しかし、それには多分にラッキーな要素もあったわけで、もし望む学校に入れていなかったら、こじれた硬直マインドセットの人間は一体どうなっていたのだろう。
ゾッとする。

話を戻そう。
僕が置かれたような環境を作らないこと。
結果でなく過程を楽しめ、お前を信じている、点数ではなく努力にや成長に注目しよう、昨日の自分より今日の自分のどこかが変わっていればそれでよい。そんな言葉をかけてやること。
そうすれば、子どもが硬直マインドセットに陥る懸念は減るのではないだろうか。

その結果、子どもが得るものをどこまで信じ、応援してやれるのか。
僕の親が僕に望んだようなことを得られない結果に終わることはたくさんあると思う。

子どもが得るものをありのままに受け入れられるか。腹の括りが、問われる。
うちには子どもはいないので、気が楽だけどさ。


写真は、庭に遊びに来たメジロ。
しなやかに見えるけど、どうだろう。笑

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