退任するメルケル首相に対するドイツ国民の複雑な評価: 16年にわたる長期政権がもたらした安定と引き換えに与党内部で進行した分裂

本稿を書いているのはドイツ連邦議会選挙の投開票日の9月26日だが、その直前の土曜日に、激戦の選挙戦を伝えるニュースの陰でひっそりと、メルケル首相に対するドイツ国民の評価に関する世論調査結果が発表された。

ドイツのメディアは、その内容をメルケル氏に対する国民の辛辣な評価が下されたものと報じたが、筆者が事前に想定していたレベルからすると氏にとって悪い評価ではないのではないか、むしろドイツ国民が持つ複雑な思いが反映されているのではないかと思った。