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新卒2年目でfreeeグループの期末決算を統括する。その挑戦と成長の道のり

Masaya Kimura@freee

はじまり

はじめまして、freee株式会社経理の木村です。
freee経理では、「決算統括」というポジションを据えています。決算統括は、決算発表まで滞りなく終えられるように、決算に関してチームの取りまとめ、監査法人対応、開示資料作成などを主に担当します。
6月末にfreeeグループは上場後2回目の期末決算を終えたわけですが、その統括を新卒2年目の私が担当しました。
経理界隈では、「飯炊き3年握り8年」的な「10年くらい経験を重ねた人じゃないと決算の統括はできないよね」というイメージを持っている人が多いと思います。そして同時に「経理経験のある人を採用するのが大変」「未経験者を採用した場合、どう教育したらいいのかわからない」という声もあると思います。そんな方にとって参考になるかもしれないなと思い、今回「会計素人からでも1年半でfreeeグループほどの期末決算を統括できるようになるまで」という題材でnoteを書いてみようと思います。

freee経理ではメンバー全員が3年でIPOを見られる人材になることを目指しています。
会社として「スモールビジネスを、世界の主役に。」をミッションに掲げています。その観点から、経理は決算を締めるだけでなく、「経営者の意思決定をサポートする存在になれるようにしたい」「プロダクトの進化にも貢献したい」「バックオフィスの進化を通じて、社会の進化に貢献したい」という思いがあります。そのために3年間でIPO準備ができる経理部長レベルに成長することができれば、ミッションの実現に貢献できると考えているのが背景にあります。

2020年4月1日、蓋を開けてみると経理配属でした。大学時代は社会学を専攻していたので、全く会計系の授業は取っていません。簿記すらも経理に来てから取得しました。そのため、経理配属はいいものの、右も左もわかりません(余談ですが、freeeで新卒経理配属は初です)。全くの会計初心者がハイパーな目標に置かれたというのがことの始まりになります。「本当に理想ドリブン(※)な会社だなぁ」と思いましたし、今でも思います。
※「理想ドリブン」とは、フリーの価値指針の一つで「理想から考える。現在のリソースやスキルにとらわれず挑戦しつづける。」というものです。

まず始めたことは、オンボーディングパートナー(以下OP)とのDaily Q&Aです。OPとは新入社員の伴走者で、freeeにまつわる不明点や仕事の確認したいことを聞ける相手です。Daily Q&Aで意識したことは、「ただ聞かない」こと、つまり「○○って何ですか?」と聞かないことです。これは、背景や理屈を意識すること、暗記しないことに繋がっています。ただの暗記だと、他の事象に対して応用が効かないためです。当時のマネージャーに繰り返し言われたことで、この姿勢は今でも活きています。「○○ってxxだから△△ですか?」「○○ってxxという理解であっていますか?」というように、自分なりに会計基準などを調べたりして仮説を持った上でQ&Aに臨みました。仮説→答え合わせの繰り返しにより、次第に仮説の精度が上がっていき、新しい事象にも対応しやすくなりました。このQ&Aは次第にペースを落としましたが、4月から6月まで3ヶ月続きました。

キャッチアップはハイペースな業務ローテーションで

ここからはfreee経理の特徴であり、重要な取り組みでもあるハイペースな業務ローテーションについて深ぼって話をします。

なぜハイペースな業務ローテーションを行うのか

Qから半年くらいで業務を交換するスピードで業務ローテーションを行います。それは下記のようなメリットがあるためです。
・早期業務経験により決算統括を前倒しで担当することができる
・ダブルチェックでき、決算のクオリティをあげることができる
・壁打ち相手になることで業務理解が進む
・属人化を防ぐことができる。それによりメンバーが次のステップに踏み出しやすくなる
・新しい視点を取り入れることで業務改善が進む

当たり前ですが、業務を交換することにより、多くの業務を経験することができます。決算統括を務めていると、決算を締めるために、様々な論点が出てきます。「このままだとここが危なそうだな」といった危機察知能力などが必要になりますが、未経験の業務領域だとなかなか考えるのが難しいです。
また業務を渡す側に立つことによって、「なぜここでこう処理しているのか」という背景やロジックを整頓した上で臨まないといけないので、さらに業務理解が進みます。同時に、渡す際にマニュアルや資料を整備することは、今後のチームの財産になります。
そして、ある業務が「誰々さんしか対応できない」というのはチームとしてリスクです。「できる人を増やす」という意味においても業務ローテーションは一役買っています。自分しかできない状況ではメンバーも次のステップに踏み出し辛いということも難点としてありますよね。
業務を交換することで、新しい目線を取り入れることができ、今までにない方法が思いつき、改善に繋がったりすることもメリットの一つです。同じ人が長く担当になっている業務では、同じ方法のままになっており、効率化されていないというケースが散見されたので、その防止にもなっています。
決算統括というポジションも引き継ぎます。Q3決算、期末決算を終え、新たなメンバーにその役割を引き継ぎました。4月に社内異動でチームにJoinした人が、異動から半年でQ1決算を先日終えました。現在の統括を務めている人を除いても、チームに統括経験者は3人いるので、新しい統括の方が立ってもかなりバックアップできる体制になっています。チームとして決算のクオリティを上げられるようにするためにも統括経験者を増やすことが大事になってきます。

業務ローテーションはどんな感じで行われるのか

FY20Q4からFY21Q1で月次決算業務としいてソフトウェアやキャッシュフローを、FY21Q2からFY21Q3で月次決算業務として労務費や株式報酬費用を、四半期決算業務として決算統括、開示関連業務を、FY21Q4からFY22Q1で月次決算業務として売上や連結を、四半期決算業務として貸倒引当を経験しました。

添付スライドの通り、ハイペースで業務ローテーションを実施してきました。Qから半年で業務を交換するスケジュールです。経理配属から1年半で、税金以外を経験したことになります。期末時点では連結子会社が4社(内1社は8月に吸収合併)ありましたので、総合力が問われました。ここまでハイペースで業務ローテーションをしていないとなかなか厳しかったかなと思っています。
業務を交換するため、担当業務の分解・棚卸を実施します。「誰々はこれだけ経験している」「この業務は何人できる」「これくらいの業務をこの人に移そう」「これだったらアミーゴ(アルバイト)さん、派遣さんにも渡せるかも」といった話をした上で、ローテーションを決定します。大きさの異なるパズルなので、揃えるのは大変です。そして、ハイペースな業務ローテーションは引き継ぎをして、質問や壁打ちをされることになるので負荷が一時的に必ず高まります。そのためこの棚卸は丁寧に行います。
引き継ぐ業務が決まったら壁打ちをします。これも上述したQ&A同様、自分なりに調べて仮説を持った(整理した)上で臨みます。そうすることでキャッチアップはスピーディーになりました。

経理でもOKRを持つ

他社の経理の方に言うと驚かれることが多いのですが、フリー経理チームではOKRを持っています。チームメンバーはQに3〜5個ほどのOKRを全員持っています。年間、Q単位でチームOKRと個人OKRを設定しています。その進捗は毎月チームで確認して振り返りをしています。OKRで設定しているのは、業務改善や経理業務を付加価値の高いものにするためのプロジェクトです。
OKRを設定することで、直接的に決算が早く締まったりするわけではないですが、経理チーム外のメンバーとプロジェクトを主体的に回すことで、プロジェクトマネジメント力を磨くことができます。決算統括というポジションはプロジェクトマネジメント力が求められます。決算というプロジェクトをオンスケジュールで、クオリティ高く仕上げる必要があるためです。
また、個人の成長にも繋がっています。ハイペースで業務をローテーションするにしても、現在全ての業務を経験するまでには約2年ほどかかる想定でいます。業務を経験するまで経理として成長できないという状況はとてももったいないと思います。経理でもOKRを設定し、プロジェクトを回すことでもっと早くレベルアップできるのです。
私も新卒1年目からOKR設定し、毎月振り返りをすることで、決算統括に必要なプロジェクトマネジメント力の素地をつくることができたと感じています。

2021年10月チームオフサイトにて

決算統括から次のステップへ

決算統括というポジション自体は他のメンバーに引き継いだので、その経験を活かしてこれから何をするのかについても書こうと思います。
まず、壁打ちされる側に立つということです。次の決算統括から「ここはこう開示しようと思うがどう思うか」などと壁打ちをされることになります。同時に、決算統括が気づけなかったポイントやボールが落ちているポイントなどをフォローします。チームとしてスピーディーに、そしてクオリティの高い決算にするために影ながら尽力することになります。
次に、PMIを担当することです。ここは案件があるかどうかuncontrollableな部分ではありますが、機会があれば担当する予定です。M&Aした企業にもよりますが、上場企業レベルの財務諸表にはなっていないことも多く、連結開始までの短期間で試算表のクオリティーを上げなければなりません。これは決算統括の経験がないとなかなか難しいのかなと思っています。
最後は上記2点とは毛色が違いますが、会計知識を体系的に学ぶということです。会計の知識なく、経理配属になり、現場叩き上げのため、携わってきた業務に関する部分は走りながら勉強することになりました。そのため体系的には勉強できていません。こういったキャリアならではの課題感だと思っています。

おわりに

経理は深い世界です。オンボーディングパートナーが「経理は知の総合格闘技だ」と言っていたことを強く覚えています。期末決算を対応している間、何度もその言葉を反芻しました。入社前と今では全く経理に対する見え方が変わっています。
経理業務に明るくない方に一度考えてもらいたいです。あなたが会社で何かをしようとしたら基本的に全て裏には経理がいること。財務諸表はどうやってつくられているのか。
最後になりますが、会計バックグラウンドなく、1年半でfreeeグループの期末決算を統括してみて思ったのは、「未経験でもできるようになる。経理でも大事なのはマインドセットやカルチャーフィット」ということです。理想ドリブンでいきましょう。
最後になりますが、具体的な開示業務や決算業務をどう新メンバーがキャッチアップしたのかは改めて投稿する予定ですので、お楽しみにしていてください!

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Masaya Kimura@freee
2020年4月新卒でfreeeに入社、経理配属。期末決算の統括を経験後、2022年2月PMMへ異動。 どんなに忙しくてもサウナと筋トレとお酒の時間は大切にしています。