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夏が特別だと思っていた。

 四季の中だと、夏がずっと好きだった。子供の頃、四季を意識し始めた頃からそうだったと思う。音としての響きか、文字としての形か、とにかく好きだった。祭りのようだった。

 しかし、30代半ばに差し掛かろうとして、秋も悪くない、と思うようになった。朝の気温が10度を下回るようになり、休日の読書、昼寝がとても心地良い、風呂も2回入っちゃうくらい、愛おしいと言い換えても適切。暑いのか寒いのか、天秤がぐらぐらして、どっち付かずの状態も悪くない。半端で、どちらにも傾く可能性があって、しかしハラハラはしない。

 夕焼けは綺麗だとは思わない。ただただ、感傷的になるだけだ。あぁ、そのうち死ぬな、とかは思う。死にたいとは思わないけど、そう思わせる光の色。終わりは心地良い。眠るように絶えたい。

 ネガティブなことを綴りたいわけではない。暖かさを欲していること、それを意識できることが嬉しいのか。冬ごもり、家にこもりたい。そうでなくても家から出ないけど。

 夏が特別だと思ってた。秋が少しずつ好きになって、少し大人になれた気がするよ。今日は暖かいものをつくるのだ。

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