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コンプレックスの話

「あなたのコンプレックスは?」
ボーッと眺めていたテレビのバラエティ番組で、MCの一人がゲストに質問しました。
ゲストはアイドルグループを卒業したばかりの若い女性。当たり障りのない彼女の回答に、MCは「まあ、本当のコンプレックスなんて、こんなところで言えるわけないよね」と言って笑いに包まれるスタジオ。
そりゃまあ、そうですよね。元、とはいえほんの少し前までアイドルだった女の子が、たとえば「乳輪の直径がどら焼きぐらいあるんです~」なんてことは、本当だとしても言えるわけないわな。

コンプレックス、って言葉の本来の意味は「観念の複合体」すなわち「感情複合」というようなものだけど、一般的には「劣等感」というニュアンスで用いられているよね。
こういう話だと必ず登場するアドラー(またお前か)。彼は劣等感について、「客観的に他者よりも劣っているという感覚よりも、あくまで主観的に劣っていると思い込むことにより生じる」と言っています。確かに客観的な事実を冷静に受け止めることができるような人なら、たとえ何かが他者より劣っていたとしても、劣等感に悩むことは少ないのかもしれません。

容姿や能力はもちろん、それに付随するもの、たとえば学歴や勤務先、収入や社会的な地位など、他者と比較すれば数えきれないぐらい劣等感の材料になるものはありますよね。
みなさんもコンプレックス・・・劣等感ってありますか?

ぼく自身は50代も半ばを過ぎて、もはや他者と比較して劣等感に苦しんでも仕方がないという達観に似た感覚はありますし、そんなことに心を揺り動かされて右往左往する時間がもったいないとも思っています。

とは言うものの、どうしても乗り越えられない劣等感もあるんだよ。
それは、「食べ物の好き嫌い」の問題。
以前に別の投稿でも書きましたが、ぼくは刺身がダメなんです。

刺身以外にも、生肉・臓物類(ホルモン)・貝類も食べられません。アレルギーとかではなく、単なる好き嫌いの問題なんですが、どーしても無理。

生肉・臓物・貝は、まだいいんです。
じっさい、生肉なんて食べられなくても全然困らない。ホルモン系だって無理な人は結構いるよね。
問題は刺身(生魚)。
食わず嫌いではないんです。昔から何度もチャレンジしてきました。
だって、美味そう!とは思うんだもん。特に白身魚とか青魚とかね。でも、食べるとダメなんです。全然無理。悲しい。
あ、ちなみに、焼き魚や煮魚は大好物です。

刺身が食べられないと結構いろいろな場面で不自由なことがあります。
気心の知れた友人と飲みに行くとか、家族とのカジュアルな外食なら何ら問題ないんですが、仕事関係の飲みの場やちょっと改まった会食の席なんかだとたちまち困ってしまう。
まあ、コースとかだったら事前にリクエストしておけば何とかなるものの、お店にも無駄な負担をかけてしまうし、こっちが気後れする以上に、同席者にも申し訳ない。

っていうかね、そんなこと以上に純粋に悔しいんですよ。
鮨屋(もちろん回らない方ね)で、お任せで出てくる鮨をつまみながら、日本酒をくいっと・・・いいですよねえ。
そんな粋な大人の食の愉しみというやつが、自分にはまったく無理というのが、悔しくて仕方がない。
自分がどうしようもなくお子様な気がして、本当に恥ずかしい。

とまあ、こんなコンプレックスを爆発させているのは、最近すごく注目しているこちらのnoterさんの記事を読んだからなんですけどね。

わぁ・・・なんだこれ・・・。ぼくの知らない大人の世界。
悔しい。悔しすぎる。
この先、一生こういう体験ができないなんて、もしかするとマジでぼくは人生の半分を損しているんじゃないだろうか。
これは・・・けっこうつらいな・・・。

どっかに強く頭ぶつけて3日ぐらい気絶して、意識が戻ったら「刺身うめぇ! 鮨最高!」っていう体質にならないかな。
年末ジャンボ当たるより、そっちのほうがうれしいです!

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