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【ネドじゅんさんをお迎えして右脳体験】幸福知のためのワークショップ・シリーズ standART beyond vol.2、参加受付中。ジル・ボルティ・テイラー博士の右脳スピーチから考える、純度の高い「幸福知」とは

7/28日曜日、standART beyondの第二回が開催されます。
東京大学駒場キャンパスにて、14時スタート。
今回のゲストは、ある朝起きたら脳のおしゃべりが消えてしまっていたという、「脳と意識を探求するオカン」ネドじゅんさん。

参加希望のかたはこちら
standART beyond 「幸福知」のためのアート・ワークショップ・シリーズ2 今ここ・右脳と仲良くなる | Events | University of Tokyo Center for Philosophy (u-tokyo.ac.jp)

「今ここ・右脳を楽しむ」というテーマで、ふだん意識の奥にかくれてしまっている右脳的な世界を体感するワークショップをしていただきます。

最近めちゃくちゃ大人気のネドじゅんさん、ふだんは大きな会場の講演や、オンラインでのご活動が多いので、少人数でじかにワークを受けることができるこの機会、とてもレアで貴重なものです。
ピンと来た方は、ぜひ。

さて、今回のテーマ。
なぜ「右脳」か。

「幸福知」を探求するにあたり、わたしのなかで「右脳」は欠くことのできない要素です。

右脳についての最初の衝撃は、もうずいぶん昔に見た、ジル・ボルティ・テイラー博士のTEDスピーチ、”My Stroke of Insight"。

https://www.ted.com/talks/jill_bolte_taylor_my_stroke_of_insight

日本語で「パワフルな洞察の発作」という謎のタイトルがついていますが、なぜ、こんなおかしな訳がついたのかはよくわかりません。

strokeは「卒中」という意味もありますが、「一撃」のような意味もある単語。このタイトルでは、この二つが掛詞になっています。だからあえて訳すなら、「脳卒中によって、一撃で真理を体験(=洞察)する」、というようなニュアンスになるでしょう。

この有名なTEDスピーチの内容は、ある朝起きてみると、左脳の言語野に卒中を起こしていた、という体験。この卒中から回復するために、8年に及ぶリハビリを必要としたという、非常に重篤なものでした。

ですが、スピーチはとても軽やか。ユーモアにあふれた語り口で、聴く人をどんどんひきこみます。そこで語られる「右脳だけの世界」の、なんと幸福感にみちたものか。

卒中が進行してゆく過程で、何度もなんども、左脳の機能が明確になる瞬間と、左脳が機能せず右脳優位になる瞬間とが、寄せてはかえす波のように、交互におとずれる。そのたびに認知する世界や体感が完全に変容するのです。
左脳が働いているときは、wave of clarity「ものごとがはっきりする波」が来たと言われ、ふだんの生活同様、話したり、文字を読んだり、意味を理解したりできる。
右脳だけになってしまったときは、よろけて壁にぶつかった自分と、壁の区別がつかなくなったりと、ものとものを分離する境界と、そこから生じる意味が、すべて消えてしまいます。
そして、なんと、とてつもない至福の感覚に満たされるのです。

このスピーチでわたしが一番衝撃を受けたのは、右脳優位の世界が、それまで宗教学の研究や探求や実践の過程でさんざん見聞きしてきた、「悟り」「涅槃」「宗教的な神との合一体験」とそっくりだったことでした。

「自分」と「自分以外」の区別が存在しなくなる。
自分が宇宙の生命そのものであり、すべてがひとつであり、
私=私たちであるという感覚。
それでありながら、自分が存在しているという圧倒的な喜びの感覚。
しずかなる至福。すべてがそのままで完全で美しく調和している、平和そのものの世界……

それが、ここ、わたしのこの頭の中の右半分に、もうすでに存在しているらしい、という衝撃。

研究の過程で見聞きしたほとんどのケースでは、人々は(わたしも含め)、「究極的な幸福の感覚」に到達するために、修業したり、旅に出たり、出家したり、なにかをきわめて修めたりしていました。到達は難しいとされていて、探求が頓挫することも、数えきれないほどあります。

「究極の幸せ」は、いつも、人をそれを求める旅にむかわせる。
現実の人々もそうだし、それらをあらわした寓話も、古今東西、枚挙にいとまがありません。

でも、たしかに、その探求が終わるときにはいつも、「すべては最初からここにあった」という気づきで終わっていました。仏陀もそう、禅の悟りもそう、青い鳥のおはなしもそう。

このスピーチを見たとき、それらのすべてがとても腑に落ちたのです。
だって、とてつもない幸せというのは、いつもここにあって、わたしたちの脳の右半球は、それをいつでも、体験していたのだから。
幸せを求めて、外に行く必要はない、認知の方法が変化すればそれでよい。その、モードの変化のしかたさえつかめれば、それはずっとここにあったし、ずっとありつづける。

テイラー博士は言います。
「わたしはnirvana(涅槃)を見つけた。でもまだ生きている。もしわたしが生きたままnirvanaを見つけられたのなら、他の人もきっと、この世で生きたままnirvanaを体感できるはずだ」

歩くことも話すこともできなくなった博士が、8年に及ぶリハビリを乗り越え、精力的に活動するまでに回復する、その原動力になったのは、それを伝えたいという希望だったといいます。

「こころに思い描いたんです、美しく、安らぎに満ち、愛と共感のこころをもった人々にあふれた世界を。そして皆がいつでも、意識さえすれば、左脳の世界から出て、この右脳的な至福の世界に来れると知っている、そんな世界を。それはどれほど大いなるstroke of insightとなるでしょう。たった一撃で、ほんとうに生きるということについての洞察をつかむ、そんな大いなる体験に。」(スピーチよりざっくり訳)


このワークショップ・シリーズのテーマに掲げた「幸福知」という言葉は、とても多層的です。
そのすべてのファセットを、一度に描くことはできません。
だから、点描のように、ある色のドットを置いては、また別の場所に、別の色のドットを置いて、また別の場所に、違う色のドットを置いてゆく。
それを幾重にも繰り返して、そのうち、ある瞬間に、すっと視座を遠くして眺めたとき、ああ、こんな絵になっていたのか、というような感じで、少しずつ浮かび上がってくればいいな、と思っています。
そしてそれはずっと終わらない、ずっと永遠にオープンな、そんな絵であればいいと。

そのドットのひとつとして、「右脳世界の体感」は、欠かせないものなのです。

幸福とは、頭で考えるものではなく、体感するものだから。
頭で考えるものではなくて、感じるものだから。

あらゆる「知」は、「知識」であることを超えて「体験」となるときに初めて、「ほんとうに知っていること」へと深まります。
頭で知ることは、「知ること」の入り口でしかない。ごめんください、とちょっとのれんをくぐってみただけ。ほんとうに知るというのは、自分の存在をもって体感し、体験したときに、はじめて訪れるものだから。

「これが幸福のはずだ」と頭で思いながら、いろんなものを手に入れても、もし、自分の存在全体がひたひたと光るようなあたたかな幸福の波に満たされていないのなら、それは幸福とはいえないのではないでしょうか。

そして、もうひとつ、右脳的な幸福が大切だと思う理由。
それは、右脳的な感覚がもつ、「調和」という質です。
より「本質的」な幸せとは、大きな視野で考えるなら、ただ個人がいっときの快を覚える、というだけのできごとにはとどまらないものだと考えるからです。

わたしも、他者も、社会も、地球も、同時に幸福になれるようなチョイス。それが、より本質的で、純度の高い幸福ではないでしょうか。
すべてが同時に、生命力を高めることができ、喜びをますことができるような、そんなチョイスが。

それは、頭で考えると、めちゃくちゃ難しいものになりがちです。ロジックだけで考えると、あちらを立てればこちらが立たず、が無限に続いてしまうから。
でもそれがもし、左脳が勝手に作り出した分離のせいで、ややこしくなっているだけだとしたら?
すべてが調和して幸福になるチョイスは、右脳の感覚によってしか理解できなくて、左脳のロジックではそもそも認知しづらいのだとしたら?

論理のつじつまを合わせるのではなく、認識のモードを変えるだけで、わたしたちはいつも、最善の解決やチョイスを受け取ることが可能なのだと、わたしは思っています。

地球規模の調和を包含するような質の、より本質的な幸せへとつながる答えの可能性は、右脳にいつもある。
自他の分離が存在せず、わたしもあなたもすべてが融けあい、すべてがありのままで美しく、調和し、自由と輝くような喜びに満ちている世界、ただあるがままで、このうえなくいつも幸せである世界を、右脳はいつでも認知し、感じている、つまり「ほんとうに知っている」から。

幸福の味を、はっきりと、そして永遠に知っている場所が、わたしたちのなかにあるのだとしたら、自分にすでに内蔵されているそのモードへの切り替えを覚えることは、欠かせない鍵だろうと思っています。


そんな「幸福知」のキー概念のひとつ、右脳世界。
ネドじゅんさんのワークで、そのほんの端緒でもつかんで、細胞のどこかでその振動を覚えて、もってかえってくださったら嬉しいなと思って、お忙しいネドじゅんさんにおいでいただくことにしました。

ご興味のある方、ぜひご参加ください。お待ちしております。



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