髭剃りのこと
みなさんは毎日髭を剃っていますか?
私は家を出なくなってからほとんど髭を剃らなくなりました。
誰に会うわけでもないし、外に出るときはマスクをするので隠れるな、と。
見た目は変わらないし、よく見ても気づかない(と思う)し、だったら剃らなくていいだろう、と。
だから毎朝顔を洗ったり歯を磨いたりしたときに、髭の生えた顎が目に入っても、結局「まぁいいか」と剃らずに生活を始めていました。
というのもですね、作業自体の面倒臭さより何より
私の肌はけっこう弱く、3回に2回は剃刀負けをするんです!
ちょこちょこと切っては血が出ていたんですよ!
それで、出血した箇所に軟膏を塗りながら思うんです。
必要に迫られて仕方がなくやっていることで、自分を傷つけているような気がする。。。
なので、できることならなるべく剃らずにいたかった。というのが本音です。
どうしても綺麗に剃りたいとき(面接のときとか)は念を入れて早起きして蒸しタオルで覆って、いつもより多めにシェービングフォームを使って、剃刀の刃も新品に替えて剃っていました。
もちろんその結果綺麗に剃れる確率は上がったんですが、はっきり言って「髭を剃るだけでここまでしなくちゃいけないのか」という気持ちでした。
面倒だし、時間はかかるし、替え刃だって意外と安くないし、割に合わん!
と。ものぐさすぎますかね。。。
私が不器用なだけかもしれないですし、ケチくさいだけなのかもしれません。みんな文句も言わずにやっているのかもしれないんですが、私には辛かったんです。
さらに私は髭が似合う顔立ちではないので、伸ばすわけでもいかず。
私自身が見た目について考えて試行錯誤した経緯は以前に書いた通りで↓
どんなに「他人から見て恥ずかしくない、それなりの服」を着ていても、無精髭が伸び放題(似合ってない)だったら台無しかと思いまして。。。
そういうわけで、私は伸びた髭を確認するだけでなんとなく憂鬱になり、それは
「どうして髭なんかが生えてくるのか」
↓
「髭は私の身体に必要なものだから生えてくるのか」
↓
「もしも必要なものなら、それをどうして剃らなくていけないのか」
というところに行き着きまして。
あるときは髭を剃らずにできる仕事を探すようにすらなっていました。
企業に求める条件「髭を剃っていなくてもいい」ですね、言ってみれば。
同じような気持ちになった人、けっこういるんじゃないかなと勝手に想像しているのですが、どうでしょうか。
「エチケットとして化粧はしなくてはならないからしているけれど、どうしたって肌が荒れるし、作業自体も面倒だからできるだけ化粧はしたくない」
という人と似た気持ちだろうかと思っているのですがどうでしょう。全然違うものなのかな。わからないけれど。
*
とにかく。
家から出ることがなくなって、毎朝剃らなくてもよくなった。
これは嬉しいことでした。
一応、私も「肌に優しい」という剃刀を買って使っています。そんなに高価なものではないけれど、本体ごと使い捨てみたいなものではないものです。
安い3枚刃のT字剃刀とかだと肌との摩擦がひどくて、髭どころか肌を引っ掻いているみたいになったんですね。赤い筋が何本か入っちゃう、という。
その経験から、あるとき「剃刀はそこそこするものを使おう」と決心したんですね。3年くらい前かな。替え刃も売っていたし、適時替えていけば長く使えるなと。
じゃあ電気シェーバーはどうか。剃らないタイプならかなり肌に優しいのではないかと考えたわけです。
調べてみて知ったんですが、肌に優しいそれってけっこう高いんですよね。。。
まぁ剃刀もランニングコストで見ればそんなに安くもないのですが、初期投資の額というか、インパクトみたいなもので比べると「へ、へぇ…」みたいなリアクションを心がしてしまったわけです。電気シェーバーって高いんだ、という。
どっちにしても性能からすればそれでも安い方なんだろうとは思うのですが。
それでも「やっぱり高い…と思う…」という気持ちは変わらず、電気シェーバーを買えないまま。
もうお気づきかもしれませんが、私は「仕方がなく買うもの」に対して「仕方がないな、買おう」と思うまでけっこう時間がかかるんですね。
買わずに済む方法を気が済むまで「これは大人しく買った方が良さそうだ」と納得してから買いたい。
「わかりましたよ、もう」と言ってから買いたい。
それまでは「それの無い」生活で頑張ってみたい。
だいたいそういう風に考えています。ケチくさいけど。
まぁ実際に買って使ってみると「これいい!」と手の平を返すものもけっこうあるのですが…AmazonプライムビデオとかBluetoothイヤホンとかそうですね。実際に使うまで絶対要らないと思ってたもんなぁ。
最近で言うとKindleとかもそうです。仕事で言えば革靴のお手入れセットとか。いや、そもそもスマホもMacもそんな感じだったような。
あれ、こう考えると思ったよりある気がする。。。
とにかく。
シェービングフォームも本当はあんまり好きじゃないし、アフターローションも本当は使わないでいたいんです。髭剃り自体が嫌なんだから。
でも使わないわけにはいかないから買うし、使います。人と会う仕事をしているので、髭は剃らないといけないから!
社会人ってやつは余計なこと(と私は思っていること)にお金がかかる!
だからその支出はなるべく安く抑えたい。
「髭剃り」にあんまりお金を使いたくない。
1万円出してめちゃくちゃ高性能なシェーバーを買うくらいなら、そのお金をもっと別のものに使いたい。。。。スマートウールのインナー とかさ。世界はほしいものにあふれてるんだから。
そう思っておろそかにしていたのが髭剃りの世界なんです。めちゃくちゃ正直に書くと。
*
ところが髭を剃らない日々をしばらく過ごしてから思ったのですが。
休業中もいつもと変わらず6時半に起きて、朝からなんやかやと活動していたのですが、いまいちパッとしない。ような気がするんです。
コーヒー豆をゴリゴリ挽いていても、なんとなく気もそぞろ。淹れたてのコーヒーもおいしんだけど、心なしかいつもより感動が薄い。気がするんです。
そして顎を触ると今までになく髭が伸びている。
あれ、もしかして集中力が低下している…?
いつもよりシャッキっとしていないような気がする…?
これってまさか、と。顎をジョリジョリしながら思ったのですが。
私は(嫌々とはいえ)毎朝していたことだったので、気がつかなかったのですが。
私の中にある『スイッチ』みたいなものを「on」に切り替えていたものは、どうやら『髭剃り』らしい。。。
と。
髭剃りをしているから毎朝シャッキっと仕事に向かう気持ちになれたのか。
毎朝髭剃りをしてから仕事に向かっていたからいつの間にかスイッチになったのか。
あるいはその両方、いや「髭剃り自体」に単独で意味がある…?
よくわからないのですが、どうやら私にとっての「髭剃り」には「ただ髭を剃ったということ以上」の効果があるらしいのです。
そして私の思考はさらにアクセルを踏みます。景気良くギアを上げて。
私は自分のことを「家でできることがいっぱいあるから、長い間外に出なくても割と平気なタイプ」と思っていました。
そしてそれは「外に出ることが生きがい」の人と比べれば間違いではないと思います。
だから「髪も切りに行けていないし、髭だって長い間剃ってないけど、まぁ大丈夫だろう」「家にいたっていつも通り、なんにも変わらないや」と思っていました。
髪を切りに行きたい。綺麗な服を着たい。
それらは「今は家にいるのに絶対に必要なのか」と聞かれたら首を縦には振りにくいことかもしれませんが。
髪を切ったあと、綺麗な服を着た瞬間、抱いている気持ちが全然違っているのではないか。いい気分になっているのではないか。
という、まぁ当たり前のことにようやく気がつきました。
「人に見られても恥ずかしくない身なり」とはまた別に、「自分のために」髪を切ったり綺麗な服を着たり髭を剃ったりすることだってあるのではないか、と。
それってめちゃくちゃ大事なことなんじゃないか、と。
普段当たり前にできていたことだから、それができなくなってから「これってもしかして…」と気がついたわけです。おっそいけど。おっそいけどたしかな実感が湧いてきています。
私は今朝久しぶりに剃ったツルツルした顎を(血が出なかった!)触りながら、そんなことを思ったわけです。
今の状況だと、髪を切りに行ったり綺麗な服(白シャツくらいしか持ってないけどさ)を着て出掛けることは難しいと思っています。やっぱり私にできることは家にいることだと思っていますし。
なので、とりあえず今日から毎朝髭を剃って、お気に入りの服を着て(アウトドアウェア!インドア生活だけど!)楽しく家で過ごそうと思います。
それだけでけっこう楽しいってことは今たしかに感じていますから。
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