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【エッセイ】大阪・関西万博効果??(600)

心理学用語の「コンコルド効果」。

イギリスとフランスで共同開発された超音速旅客機「コンコルド」が由来である。

コンコルドは巨額の予算を注ぎ込まれた両政府の肝入りの事業であった。しかし、かなり早い段階から収益が見込めないことがわかっていたにも関わらず、その注ぎ込んだ開発費が惜しくて後に引けなくなってしまった。実用化されるもその収益性は低く、墜落事故、ソニックブームによる騒音問題、原料の高騰などが原因でわずか30年足らずの短期間で廃止された。運行期間中、搭乗できたのは富裕層だけだったそうだ。

このことから「多大な犠牲を払った事柄は損をすることが明らかでも見切る機会を見失ってしまう」という心理状態を説明する用語として不名誉な形でその名が残ってしまった。コンコルドにカワイソーだと思ったのか「サンクコスト効果」とも呼ばれる。

さて。先日とある財団法人の大会に出席した。その会の半分の時間が「大阪・関西万博」のプレゼンに使用された。仕事ができそうな自信満々の演説のうまい大阪府職員。

「報道にあるようには工事は全く遅れておりません。必ず間に合います。2820万人が来場見込みです。企業出展枠も空きがあります。それもすぐ埋まります。ぜひご検討ください。」

白ける会場。

翌日ネットニュース。

「大阪・関西万博パビリオンの遅れ深刻。会期中も工事ずれ込みか?」

かつて英仏間を結び大空を滑空していた夢の超音速旅客機を思い出したのだった。

#創作大賞2024 #エッセイ部門

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