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ハウスを出てから

仕事が変わってから最初の仕事は季節的にビニールでトンネルを張ることでした。ナスの写真をお借りしておりますが、小松菜など葉物を栽培していました。トンネルを張るためには支柱をひたすら挿していきました。

発芽の時

1反(いったん:300坪)の畑をトラクターで耕運してタネをまくのは機械が揃っていれば1時間くらいで出来ますが、支柱を刺すとなると腰くらいの高さのトンネルなら1mピッチで300本くらいです。

その後、ビニールを引っ張って、すそにスコップやクワで土をかけて仮止めをした後、手押しの管理機(かんりき)で土を跳ね上げてすそを埋めていきます。管理機は倒れやすいので、ハンドルを握って全身の力でまっすぐ姿勢を保ってました。

最初の数日は家に帰って泥のように眠る日々でした。腰も太腿も痛かったです。自分にこれが出来るだろうかと思いましたが、他の農家さんもやってるじゃないと思うと、なんとかスタミナが付いて慣れて行きました。

収穫の時

収穫の時は、鎌で根っこを切ってコンテナに突っ込んで、その後調整作業(下の方についてる小さい葉っぱを外して、形を揃える)をして軽量したり袋につめたりします。

鎌で刈るとき、失敗してちょっと上の方に刃が当たると、根っこがなくなって葉っぱがバラバラになってしまいます。泥に汚れると洗い落とす必要が出てきます。

虫食いがあったり、病痕があったりして、一本一本スピーディに判断して指を動かす練習をして行きました。やることは難しくないですが、あるとき、変な力が抜けたと言いますか、頭の中のイメージが手と繋がったような感じがしました。リズミカルにできることを覚えるには1ヶ月くらい繰り返したと思います。

トンネル内の温度

密閉したトンネルの内部は日中は30℃を超えていると思います。それは太陽が当たっているからですが、夜間は熱源がありません。霜の降りている時は数℃とかまで下がっていると思います。

ハウスにはボイラーがありました。トンネル内は経験したこと無いような温度差を毎日繰り返していました。これで植物は育つのか・・と疑問に思っていましたが、ちゃんと育っていました。

換気

小松菜や水菜など(まとめて非結球アブラナ科と言われます)では収穫が近づいてくると、トンネル内に風を通して外気に少しずつ慣らしておく必要がありました。トンネル内は基本的に多湿で風も吹きません。とても柔らかい組織で出来た野菜になるのですが、あまりにふにゃふにゃなのでそのまま外気に当たると30分くらいでしわくちゃになって収穫の最中にも枯れて行きます。

それを防ぐために少しずつビニールに穴を開けたり、あるいはスソの土をどけてポールに止めたりして、数日かけて外気を入れて行きます。そうすると、だんだんとパリッとした質感になって行きます。その日の天気や風を見ながら加減をして、徐々に乾燥に慣らして行きます。

ほうれん草(旧アカザ科 現在ヒユ科)は逆で、成長が遅い場合には後からビニールをかけて保温します。その場合は換気はほとんど要りませんでした。

アブラナ科は後からビニールをかけると春と間違えて真ん中から1mくらい茎が伸びてきて黄色い菜の花が咲き始めてしまいます。

覚えると言うより身につける

どの過程でも何回か失敗しました。振り向きながらクワを肩に乗せようとしたらビニールに当たって穴を開けたりしました。ひたすら繰り返してるうちに体力や身のこなしに慣れていって出来ることが増えていきました。

ここまでは寒い時期のことばかりですが、同じ作物でも夏場はやることが変わってきます。次回はそのことを書いてみようかと思います。

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