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仕事は仕組み!無印の復活に仕組みあり。

 個人事業主の届けを出し、晴れてひとりビジネスを開始して4ケ月。私はこういうもので、こんなことをしていますという自己紹介をする場面が多くなった。会社員時代には、会社名や会社の実績で多くを語らずとも良かったが、個人事業主として、人の心に残る自己紹介を短い言葉でまとめるって、本当に難しいと感じる。

 私は、これまで製造業の海外展開や海外への販売に携わってきた。最も長いキャリアは部品の海外営業だ。アメリカ生活で培った語学力+英語でのコミュニケーション能力+サバイバル精神が買われ、営業経験ゼロ、技術知識ゼロだったが、中小メーカーの海外営業として採用された。

 前任者はすでに退職済、引継ぎ資料無し、海外営業は課にもなっておらず私一人。海外事業の本部長直属で、顧客からの問い合わせがある度に指示を仰ぎ、言われた通りに仕事をする日々。国内の営業マンは、技術部や製造現場などでの研修を経て営業へ配属されるが、私の研修は、座学+生産工場への見学(1週間程度)のみ。すぐに、アメリカ各地の顧客を訪問したり、生産工場を訪れる海外顧客のアテンドを始めた。当然、私が売っている製品がどうやって作られるのか、どんな働きをするのか、よくわからない。だから、商談に行っても、顧客と話ができない。2年目くらいまでは、商談が恐怖だった。とりあえず、前情報で予習。設計者に聞かれそうなことや、こちらの言いたいことを徹底レクチャーしてもらう。文系頭には日本語で聞いても入ってこない。設計部に行く度に恐縮していたが、デザイナー達は嫌な顔ひとつせず丁寧に教えてくれた(涙)。。。

 彼らのおかげで、入社当時一桁台だった海外販売比率を、3年後には30%までアップさせる貢献ができた。会社がずっと取引したかった大手の海外拠点から採用いただいたり、英語のコミュニケーションが悪くて失注しかけていたアメリカの会社とも、関係修復ができて、その後多くのビジネスを採用いただいた。

 事業が拡大し、一人でやるには多すぎる仕事を前に途方に暮れる残業の夜が多くなってきた。そのころ、泉正人さんの「仕組み仕事術」という本に出会った。これを読んで、自分の仕事に仕組みを作り始めた。顧客からの問い合わせ内容はほぼパターン化していたので、Q&A集を作って、次に同じ質問をされた時に迷わずに回答できるようにした。顧客に提示した価格の履歴、商談の履歴など、大手にお勤めの方は信じられないと思うが、つい10年まで紙管理だった。これを、データで保存、顧客管理システムもないので、部内共有のサーバーに誰でも見れるように保管した。小さなステップだったが、仕事がサクサク進むようになり、仕組みのすごさを身をもって感じた。

 私が立ちあげた事業は、私と同じような環境で海外業務を行っている小規模の事業所向けの業務支援サービスだ。地方の中小企業の人手不足は深刻で、海外人材となると数年に一度しか応募が来ないなんてざらにある。とにかく、英語で仕事ができる人はそういないのだ。しかし、グローバルニッチと呼ばれる海外販売比率が50%を超え、その業界での世界シェアを独占しているような中小企業が地方にはたくさんある。すべてではないが、海外展開で成功を収めていても、その日暮らしのギリギリの社内体制で仕事を回している会社がある。仕事が人に付いてしまっている属人化が進んでいる会社だ。今は優秀なグローバル社員が仕事を回してくれているが、その社員がいなくなったら他に代わりがいない、誰も海外業務のやり方を知らないという状態にある海外事業部だ。このような組織では、新人が苦労し、人が定着しない、つまり人が育たない。経営者としてもこのような状況で海外事業の展望を描くことは難しいと思う。

 私は、海外担当に外国語(英語)能力は必須ではないと思っている。海外との取引なのに、英語もできない人じゃ仕事にならないでしょ、という経営者さんの声が聞こえてきそうだが、それは違う。逆に、英語しかできない人じゃ仕事にならないのだ。優秀な人材が採用できない現実はおそらくこれからも続くだろう。では誰がやるのか、語学力、経験、ともに十分に持ち合わせていない人が業務にあたることになる。でも、心配はいらない。今は素晴らしい時代になった。ビジネス上の言葉の壁はほぼ無い。自分自身が外国語を喋れなくても、機械(自動翻訳ツール)や専門家(翻訳・通訳者)がやってくれるのだ。

 言葉のできる人を探すより重要なのは、訳の分からない海外業務を可視化し、誰にでもできる仕事のやり方に落とし込むことなのだ。これまでの社員の経験や取引で得たノウハウを他の社員向けに活用するために、蓄積&標準化する仕組みにする。この仕組みがあれば、例えば今3人のバイリンガル社員が必要な仕事が1人で済んでしまう。業務の大半を占めるノンコア業務は標準化することで国内の担当者に移管できるので、貴重なバイリンガルは、バイリンガルしかできない仕事に専念できるのだ。

 長文に嫌気がさしてきた方もいると思う。前述のとおり、自分のことを短く説明することが苦手である。ここで、結論。

 私が言いたいことを短く、誰にでも分かりやすく説明するためのキーワード探しに、仕組みに関する本やサイトを読み漁った。この本が一番シンプルに、誰にでもイメージしやすく仕組みを説明している。仕組みがもたらすメリット、逆に仕組みがないとと考えると怖くなる、この本が私のひとりビジネスのバイブルの一つになると思う。

「基本がなければ応用が無いのと同じ。会社の仕組みがなければ、知恵も売上も生まれない。」


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