喜久井伸哉

詩人・フリーライター。https://twitter.com/ShinyaKikui

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喜久井伸哉 来歴

喜久井伸哉 (きくい しんや)  (旧筆名 喜久井ヤシン) 1987年東京都生まれ。詩人・フリーライター。 8歳からホームスクーラー(「不登校」)になり、一般的な学校教育をほとんど受けずに育つ。 日本語教育は「あ い う え お」程度しか習っていないが、趣味で古典文学や四書五経を読んだ。好きな作家は大江健三郎とエルフリーデ・イェリネク。 中学時代は人と交流する機会がなく、10年ほど「ひきこもり」を経験した。 2015年、27歳でシューレ大学修了。 一種のフリースクール

    • 【ご案内】2023年5月21日開催〈文学フリマ東京〉 参加決定

      当ページをご覧いただきありがとうございます。 《文学フリマ》出店のご案内です。 今回私は、「ひきポス」のメンバーとともに、5月21日(日)開催の《文学フリマ東京36》に参加します。   開催・出店情報 名称 文学フリマ東京36日時 2023年5月21日(日) https://bunfree.net/ 時間 12:00〜17:00(最終入場16:55) 場所 東京流通センター 第一展示場 および 第二展示場Fホール(2階) (〒143-0006 東京都大田区平和島6-1-

      • 【断想】顔の童貞(適応するために生まれてきたんじゃねえよ) ※有料公開

        ※本稿は性的な表現を含んでいます。公序良俗に対して、適切であるために書かれた作品ではありません。      関連作品 https://kikui-y.hatenablog.com/entry/2022/11/04/170000   https://kikui-y.hatenablog.com/entry/2022/10/11/170000   

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        • 【小説】家庭終身刑

          ※本稿は、公序良俗に対して適切であるために書かれた作品ではありません。  祖筋 収容所のようなところで、四人の家族が生活している。兄がたびたび泣き崩れるため、「僕」や母は迷惑していた。父が帰宅し、兄に罪状の書かれた書類を渡そうとするが、兄はうまく受け取ることもできない。   家庭終身刑  母の足元で号泣している兄が、駄々をこねる赤ちゃんみたいに見えて、僕はほほえましく感じた。昼下がりの台所だっていうのに、脱獄の計画なんてするからそんな目に合うんだよ。産まれたときから収

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          【小説】岩石を粉砕していただけるお母さん

           祖筋 毎朝「僕」の脚から生じる岩石を、「A」は削りとっていた。石はレンガのように積み上がり、家中を埋め尽くしていく。ある日「僕」は外に出られなくなることに気づくが、「A」は普段と変わらない様子でいる。    岩石を粉砕していただけるお母さん  僕の脚部には岩ができたので、Aが体の採掘をしてくれた。毎朝、僕のふとももあたりの筋肉から、土砂崩れを起こした山肌のように、足元に向かっていびつな岩石が生まれ出てしまう。小さな子供がしがみついているくらいの大きさをして、花崗岩なのか

          【小説】岩石を粉砕していただけるお母さん

          【小説】産んだ。私を。ガキが。

          ※本作は、公序良俗に対して適切であるために書かれた作品ではありません。   祖筋 住宅街の真ん中で、十代の少年が中年男性を出産する。産まれた「私」は泣き叫び、親である少年を求める。しかし少年はためらいなく立ち去り、「私」は路上に取り残される。    産んだ。私を。ガキが。 産んだ。私を。ガキが。生意気な、醜い、少年が、見下ろし。不敵な、いいや不遜な、笑みで、見下す。涙でできた血が。嗚咽の羊水が。私は産まれた、愛されていないにしても、こんな、子供から。お前の、ざらついた皮

          【小説】産んだ。私を。ガキが。

          【小説】悲鳴待機列

          祖筋  遊園地の幼児向けアトラクションとジェットコースターを合わせたようなマシンがあり、大勢の子供たちが乗車するために待機している。列に並ぶ「僕」は、周囲にいる同じ小隊の仲間たちが楽しんでいるのとは違い、大人たちのために歓喜的な悲鳴をあげる覚悟を決めかねている。   悲鳴待機列  前方のどこかにあった固形の震災は子供たちを連れ去って急速に遠のいて消滅し、鉄製の滑車が連弾して起こす混乱的なドラムと、危険な状態にある嬉々とした子たちの声は、滝みたいなけたたましい速度で僕らのい

          【小説】悲鳴待機列

          【小説】小鯨猟

           祖筋 少年たち三人が、マンションの一室でそれぞれの漁の成果である「小鯨(しょうくじら)」を見せ合う。李(リー)や圭(ケイ)は見事な「小鯨」を見せたのに対し、「僕」の取り出した「小鯨」はあきらかに異質で、他の二人を狼狽させる。   小鯨猟  あんたは知らないだろう、白い雲が霧になって都市の景色を隠すようだった、十五階の、僕にとっては家庭内の見慣れた窓も今この時は僕たち三人のもので、親密な他人を作り合う、遊びのために集った僕の家での月曜日の夕方だった。  李が終わったなら

          【小説】小鯨猟

          【散文】僕は産まれてから堕ろされた(第一回引きこもり文学大賞入賞作品)

          小説的散文作品『僕は産まれてから堕(お)ろされた』を、有料記事として公開します。 本作は「第一回引きこもり文学大賞」の入賞作で、『詩集 ぼくはまなざしで自分を研いだ』(2020年・紙版)に収録しています。 (noteで販売中のデジタル版には掲載されておりません。) 母子関係を中心とした「ひきこもり」の心境が、フィクションとしてつづられています。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー    僕は産まれてから堕ろされた  母さん! 僕はあなたを幸せにさせてあ

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          【散文】僕は産まれてから堕ろされた(第一回引きこもり文学大賞入賞作品)

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          2020年 喜久井ヤシン 活動まとめ

             喜久井ヤシン (きくい やしん)プロフィール 1987年東京都生まれ。詩人・ライター。 “ひきこもり当事者の声を届けるポスト”『ひきポス』メンバー。 “不登校・ひきこもりの専門誌”『不登校新聞』記者。 ”地方に住むローカル・セクシャルマイノリティのための雑誌”『薔薇族』編集協力者。   2020年の刊行物  ●詩集『ぼくはまなざしで自分を研いだ』(著書) https://note.com/kikuiyashin/n/n49d751172533 ●『冊子版 ひきポス

          2020年 喜久井ヤシン 活動まとめ

          NHK「ひきこもり文学」朗読作品のご案内

          2020年12月5日 23時放送の、NHK「ETV特集 ひきこもり文学」に出演いたしました。 この番組はNHKオンデマンドでの配信、NHK+での同時・見逃し配信・再放送の予定があります。 ▼再放送 12/10(木)午前00:00~01:00 Eテレ ▼NHKオンデマンド 配信開始:2020年12月6日 18:00~ ※販売開始まで無料 販売開始:2020年12月13日 販売終了:2021年12月2日 公開終了:2021年12月5日 ▼NHK+ ・放送と同時に配信 ・

          NHK「ひきこもり文学」朗読作品のご案内

          詩集『ぼくはまなざしで自分を研いだ』ご案内

          詩集『ぼくはまなざしで自分を研いだ』を発表しました。    書籍情報 題名:ぼくはまなざしで自分を研いだ(ぼくはまなざしでじぶんをといだ) 著者:喜久井ヤシン(きくいやしん) 制作:子ども若者表現応援基金(https://hyogen.thyme.jp/) ページ数:132p サイズ: 12.8 × 18.2 × 1.0 ㎝ ※本書は「子ども若者表現応援基金」の助成により制作されました。通常の書店でのお取り扱いはありません。    著者  喜久井ヤシン(きくい やしん)…

          詩集『ぼくはまなざしで自分を研いだ』ご案内

          詩集『ぼくはまなざしで自分を研いだ』第1章

          詩集『ぼくはまなざしで自分を研いだ』の第1章です。 サポート(購入)をしていただいた方のみ閲覧ができます。   概要 『ぼくはまなざしで自分を研いだ』第1章 章題 生まれてくる前からぼくの顔があった 作品数 24編 原著 6~61ページ   収録作品 ・逆上がりのように ・まなざし ・に ・怪獣 ・時ははやくすぎる 光る星は消える ぼくにもういちど顔を投げろ ・ヒーローああああの栄光 ・ぼくたちごっこ ・プール開き ・昼 ・ほんとうは ・児童のうた ・「いぬ」って知って

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          詩集『ぼくはまなざしで自分を研いだ』第2章

          詩集『ぼくはまなざしで自分を研いだ』の第2章です。 サポート(購入)をしていただいた方のみ閲覧ができます。  概要 『ぼくはまなざしで自分を研いだ』第2章 章題 短文集 原著 62~81ページ ※この章は通常の詩ではなく、言葉の断片・警句などの短文が収録されています。   収録作品からの抜粋 子供であったという喪はまだあけていない。    ♦ 学校 僕は毎日ゆっくりとした落雷に打たれていた。    ♦ 僕は僕に顔向けができない。    ♦ 僕に何も教えなか

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          詩集『ぼくはまなざしで自分を研いだ』第2章

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          詩集『ぼくはまなざしで自分を研いだ』第3章

          詩集『ぼくはまなざしで自分を研いだ』の第3章です。 サポート(購入)をしていただいた方のみ閲覧ができます。   概要 『ぼくはまなざしで自分を研いだ』第3章 章題 ぼくはまなざしで自分を研いだ 作品数 13編 原著 82~116ページ ※「後記」(131~132ページ)が付いています。   収録作品 ・〈十年〉のトリプティークⅠ ・〈十年〉のトリプティークⅡ ・〈十年〉のトリプティークⅢ ・ふつうじゃない人が「ふつう」って言っている時のふつうをどうして僕のふつうにしない

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          詩集『ぼくはまなざしで自分を研いだ』第3章

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          【歌詞のリミックス】中村佳穂『きっとね!』

          今回は、中村佳穂さんの代表作「きっとね!」の歌詞のリミックスをおこなう。 「きっとね!」(作詞:中村佳穂 作曲:中村佳穂 荒木正比呂)公式MV Kaho Nakamura - Kittone! [Official Music Video] 中村佳穂さん自身がインタビューで語っているように、歌詞に決まった意味があるわけではなく、こまごま考えるよりも音に身をまかせた方がよほど良い。 ただそれはそれとして、普段詩を書いている私はどうしても歌詞が気になってしまう。 なので試みとし

          【歌詞のリミックス】中村佳穂『きっとね!』