映画『映像研には手を出すな!』の感想

公開から約1週間後に観に行きました。
原作やアニメからではなく乃木坂46から入った形なので、あまり原作との細かい比較はできませんが…
ほとんどこのような映画には行かないので感想を書き綴ろうと思います。

実写化&アイドル映画
漫画の実写化にしてアイドルをフィーチャーした作品という、多方面から厳しい評価が下りやすい宿命を最初から背負っている作品ですね。企画の時点で相当な覚悟が必要だったと思います。
タイトルになっている「映像」も、ユーモアの根源でもある「しょうもないことまでいちいち細かい(笑)」テロップをはじめとした演出でも監督やスタッフの熱量を感じました。決して題材やキャストで客を釣るだけのペラペラ映画ではないでしょう。

主演3人は全員合格点。一番光ったのは梅澤美波
3人は乃木坂46の中でも多忙な人気メンバー。満を持してのコンビですね。
当然ながら演技力にはあまり期待していませんでしたが(棒読みは仕方がない)、キャスティングとしてはかなりハマっており、十分なスタートダッシュの上できちんと役作りをしているのはひしひしと伝わってきました。
主役・浅草みどり役の齋藤飛鳥さんは役のキャラが強烈なのにかなり助けられているように思えました。まず一番演じやすいのは変人と言われますよね。「乃木坂の齋藤飛鳥」という完全なる別キャラがいるということも今回の齋藤さんが注目された理由だと思います。
水崎ツバメ役の山下美月さんは他の2人と違って「〇〇節全開」という安直な手段に走ることができず、役としては一番難しいのだろうと思いました。以前の主演ドラマも観たのですが、今作でも磨けば光りそうなものは持っているような印象を受けました。
そして金森さやか役の梅澤美波さん。乃木坂メンバーの中でも評価が難しく、前述の二人には演技経験で劣るので筆者としては彼女の可能性が楽しみでした。ただ一つ言えるのは「梅澤版金森氏」がきちんとそこにあったことです。役になりきるのは俳優業の初歩ですが、適度な解釈を加えるのも俳優としてのカラーをつける第一歩です。原作からキャラが改変されていることを鑑みても、梅澤さんについては3人の中で最もこのような試みが垣間見えたように思えます。
3人ともよく頑張っていましたが個人的にはMVPは梅澤さんですかね。

原作ファン・乃木坂ファンでなくともそこそこ楽しめる映画
日本語、そして日本映画はとても「間」を大事にします。
しかし残念ながら「間」で存分に表現できる日本人俳優はごく限られており、大抵の場合は脚本・監督・演出の努力も空しく消化不良を起こすのが邦画のお約束です。この映画も所々感動路線を試みて「間」で伝えるシーンを幾つか挿入していますが軒並み無残なことになっています。
(映画では基本的に眠くならない筆者が眠くなっていたから思いました)
あまり期待しすぎると後悔するかもしれませんが、温かく見守るというスタンスで行けばきっとそこそこ満足できる体験なのではないでしょうか。

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