乃木坂28th「君に叱られた」について

乃木坂46の28枚目シングル表題曲「君に叱られた」のMVが公開されたので感想を書きます。

背負うものは大きい作品

既に主力として定着済みの賀喜遥香さんを満を持してセンターに迎えたのはもちろん、彼女への当て書きというのは言い過ぎですが彼女の描くアイドルの姿を重ねやすい楽曲となっています。
パンデミックと共に作り手が迷走し、大物作曲家やら深い歌詞やらかっこいいスポーツカーやらと次々と話題を放り込んだだけの「Route 246」、26th、27thの時代も終焉を迎えたようで、作り手の心意気が伝わってきます。極めて順当な選抜メンバーもそれを物語っていると思います。

MVについて

かなり作り込まれている点に好印象を受けました。
賀喜さんが送り届けるガラスの靴は「乃木坂らしさ」「乃木坂の魂」「乃木坂としての自覚」の象徴でしょう。
齋藤飛鳥さん(7代目センター)・与田祐希さん(9代目)・遠藤さくらさん(10代目)・山下美月さん(11代目)が映画祭の主要人物としてシンデレラの賀喜さん(12代目)を迎え、全員センター経験済みという19th以来の最強のフロントが完成します。生田絵梨花さん(5代目)もピアニストとしてステージ上にいるという徹底ぶり。フォーメーションをここまで映像世界に落とし込むのは見事です。
そして作家デビューもした高山一実さんをストーリーテラーに起用し最後は登場人物(メンバー)に後を託すという演出もしっかりしています。
一つ惜しかったのは「飛べないなら走れ」と言われた割には一瞬翼を生やしている場面。考えすぎかもしませんが「あ、やっぱり要らないわ」までの葛藤を描いたのでしょうか。

曲について

歌詞は説教臭かった26thの影響が見られますが、こちらはきちんと共感できる内容となっています。「怒られる」ではなく「叱られる」。その点では26thは良い布石だったのかもしれないですね。
曲ですが初解禁時に一瞬でyouth caseと分かり(サビの「君の存在」のところとか)、賀喜さんである程度予想はしていたものの早い表題曲抜擢でしたね。しかし平凡です。
「Route 246」、26th、27thが酷すぎたので何が来てもまともに思える点を考慮して、平凡という評価にしておきます。

全体を通して

残念ながらコンセプト、MV、そしてメンバーの熱量に楽曲が負けています。凡曲に対してここまで仕事ができる乃木坂チームの有能さを感じることができたのがせめてもの救いでしょうか。
そんな一方で私としては「凡曲」と言うことができてとても嬉しいです。久しぶりの及第点なのですから。
先輩の卒業と入れ替わりで新たな主人公が誕生する繋がりで24th「夜明けまで強がらなくてもいい」とどうしても比べてしまうのも痛いです。こちらは楽曲が遥かに(賀喜さんすいません)勝っていましたね。

乃木坂46は

4期生が定着してきたのはいいですが、某ウイルスのお陰で(駄作を連発したというのは私個人の見解ですが)多くの時間が潰れてしまい、まもなく5期生が入ってきます。単純計算で1年後には5期生の誰かがお披露目でセンターを務めることになります。新4期生はただただ可哀想です。
今年はなんといっても大園桃子さんという逸材が失われたのが大きいです。1年前の今頃は白石さんもまだ在籍していたと思うと余計に、です。
「全部 夢のまま」が大園さんの卒業アンセムになっているのは私だけではないと思います。そろそろ私もオタ卒を考える時機なのでしょうか。



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