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妊娠後期 〜夫婦二人三脚の妊娠生活〜

いよいよお腹も大きくなってきて、わが子を待ちわびる気持ちが高まってくる頃ですが、一方でいざ産まれてくることに対する不安が現れたり、不自由な妊娠生活へのストレスも溜まってきたり、妊婦さんには大きくなったお腹だけではない体の変化も。お互いの心境や体調を共有しながら、残り数ヶ月、2人の時間を大切に。

子どもに歌を聞かせよう

夫:私たちは、付き合って3ヶ月で婚約、そしてそれとほぼ同時期に妊娠、というくらいせっかちなのだが(笑)、子供に関してもせっかちが講じたのか、妊娠がわかって早々に名前はどうしようか〜なんて話をしていた。最初は男の子か女の子かわからないので、暫定的に「わこ」と名付けた(”わがこ”のわこ)。お腹に話しかける時もわこちゃん、わこちゃん、と話しかけていると、とっても愛着が湧いてしまうのだった。性別が男の子とわかり、生まれる3ヶ月前には「風太(ふうた)」と名付けた。名前をそんなに早く決めないまでも、胎児に愛称をつけるのはとてもよかった。親族や友人と話す時も、「わこちゃんどう?」なんて会話から始まったりして、もうこの世に存在しているかのようだった。

妻:「胎教」という言葉があるように、胎児の時に話しかけたり、絵本を読み聞かせたり、クラシックを聞いたりと、お腹の中にいるときからコミュニケーションを図ることがある。わが家ではオリジナルの歌を作って聞かせていた。お腹の中で聞いた歌で、赤ちゃんが泣き止むなんて話を聞いた。わこちゃんが生まれてから、この歌を聞いて泣き止んでくれたりしたら、なんて感動的なんだと思いながら、日々お腹に向かって歌を歌うのだった。
これはただの親の自己満というか、ただ夫婦で楽しんでいるだけなのだけど、このお陰でより夫の赤ちゃんへの意識も向くだろうし、夫婦間のコミュニケーションも盛んになった。

マッサージは日課にしよう

妻:お腹が大きくなるにつれて、足のむくみが激しくなってきた。圧着靴下を履いたり対策はしていたのだけど、マッサージをしない日の夜は血の流れが悪く寝つきが悪くなる。そしてまたこの靴下を履くのが一苦労なのだ。お腹が大きくて届きにくいし、履く体制で力が入れられない。とうとう1人で履けなくなってしまい夫に毎晩履かせてもらう事になる。
靴下の前に足を揉んでもらうのが日課になった。やっぱりこちらから頼むのは気がひけるので、夫からマッサージをしてくれるのはありがたかった。ただ、体力に余裕がある時は妻からも夫の肩や腰をマッサージをすすんでしよう。

夫:どこだかの育児本で、妊婦さんは肩こり、腰痛、足のむくみに悩まされるので夫はぜひマッサージを!なんてことが書かれていたので、寝る前にはマッサージをすることにした。すると妻は大変に喜んでくれた。身体への負担は蓄積されているし、お腹も出ているので自分でもマッサージが難しいのだ。小さなこともで、喜んでくれることは継続してやろう。

胎動を一緒に感じる

妻:胎動を始めて感じたのは14週。この時はまだ小さくグニュンと違和感を感じる程度なのだけど、数週間経つとしゃっくりしているのも感じるようになり、胎動が愛おしくなる。(のちに、夜中にもしゃっくりをするようになり、寝れなくてストレスになるのだけど、しばらくするとまた慣れて愛おしさに戻ってくる)。
後期になると目に見えて皮膚が動いているのがわかる。これは自分だけで楽しむのはもったいないため、動くたびに夫にも「今動いたよ!」とお腹をさわってもらった。大抵、夫が触ると赤ちゃんは動くのをやめてしまうので(シャイなのか、天邪鬼なのか)、夫が胎動を感じれるようになったのは妊娠後期の後半になってからだった。
このやりとりが、より妊娠中に夫にも子供が生まれる事の実感を感じてもらえるステップになると思う。よく、子供が生まれてからや育児を始めてから自分が親になる実感を得た人の話を聞くが、妊娠10ヶ月の間に徐々に覚悟ができる妻とのギャップはできるだけ少ない方が良い。

夫:妻のお腹で胎動を感じたときは神秘だな〜と感動した。妊娠16週くらいになると、手で触れると動いているのがわかるようになった。その時の感動といったらない。ほんとにいるんだな、自分の子なんだなと、じんわり感じるのであった。もう少し経つとぐにゅんぐにゅんと、感じるなんてレベルではなく、”見える”レベルで動いている。胎動を感じられるのは今しかないし、動いている期間を愛おしく感じるようにしたい。そしてそれは夫もお腹の子に関心をもっているということのわかりやすい意思表示でもあるのだと思う。

見た目だけじゃない体の変化

夫:マイナートラブル」という言葉がある。妊婦さんや赤ちゃんにとって命にかかわるような問題ではないけれども、妊婦さんにとってはつらい、妊娠中に起こる不快な症状のこと。これが結構いろいろあって、つわり後の妊娠中期から後期まで苦しまされたようだ。正直これは他人からみたらほとんどわからない変化だ。けれど、小さな変化も積み重なれば大きな変化。人によってどんな体や心の変化が起こるかはそれぞれだけれども、何かしら変化はあるものだと思う。妊婦さんとしては、わざわざ言うには気が引けてしまうかもしれないけど、言わないことには伝わらないのでぜひ話してほしい夫は、そんなことわざわざ言ってきてどうしてもらいたいの?と結論を求めるのではなく、そういう状態なのだということをまずは知っておくことが大事。

妻:お腹が顕著に大きくなってきた。つまりは仰向けで寝ると大静脈が圧迫され苦しくて寝れない。更に膀胱も圧迫され夜中は何度もトイレで起きるなど、ぐっすり寝れない日々を過ごした。血の巡りが悪くなるので、朝起きると手のむくみが半端なく、包丁ももてないくらいぱんぱん。午後になると治ってくるのだが、一晩経つとまたむくんでいるという繰り返し。消化機能が低下しているため、食後は余計に呼吸が難しくなり、胃酸の逆流に苦しんだ。
つわり、情緒不安定だけでなく、妊娠後期までも身体的な試練があるのかと、この過程を乗り越えている世の中のお母さんたちをとことん尊敬する(個人差はあるものの苦労していない人はいないはずだ)。
これらの症状は見た目からでは想像がつかない。知っていると知らないでは対応が全く違うので妻から夫にちゃんと伝える必要がある。

よくわからないけど涙が止まらない

妻:とにかく情緒不安定になり、ちょっとのことでもネガティブになり涙が出てくる妊娠生活。臨月に入ってから見えない不安に追われているような、この情緒不安定な感情に拍車がかかった。
基礎体温が上がったことで異常なほどに暑がりになった。真夏の夜はクーラーをかけてても汗だくになって目を覚ますのだが、赤ちゃんがいるお腹は冷えてしまっていてますます不安になる。
そんなある日の夜中、嫌な目覚め方をした。暑い、、暑くて寝れない。でもお腹は冷えている。扇風機をつけようともぞもぞしていると夫が起きてきた。「どうしたの?」と、夫。「暑すぎて寝れないの。でもお腹が冷えてるからクーラーは消したいから扇風機つけるの。」その時の私の言動は支離滅裂だったと思う。クーラー消したら尚更暑くて寝れなくなるだろうし、扇風機だけでは涼しくならない。
「はぁ、、」夫のため息が聞こえた。夫ももうどうしたら良いのかわからず、勘弁してよという対応。その瞬間に今まで出たことがないくらいの涙と嗚咽に襲われるのだった。夜だから静かにしなきゃという気持ちで呼吸がうまくできず過呼吸になる。「できることなら変わって欲しい」と何度も思った。寝れない日々が続いて疲れていた。毎日隣でぐっすり寝ている夫を何度も羨ましいと思っていたのが爆発した。この日はそのまま眠れなかった。

夫:こんなに人が泣くのを見続けたことはない。妊娠生活で私が一番つらかったことは妻の涙だった。とにかく情緒不安定。なにかを思いつめ急に泣き出すことや、ネットの記事をみて不安になり泣くこと。そんなときはただただ横にいて頭を撫でてやることくらいしかできない。それはまだこちらとしては、俺がついてるんだから大丈夫だ!と、どんと構えて甘えてもらえばいいのだが、精神的につらいのは自分が泣かせてしまった時だ。
自分の軽率な一言や態度が、妻の胸にぐさっと刺さってしまった時の瞬間、言った後の後悔と自責。ごめんしか言えないのだけど、妻もこんなに泣いてしまってごめん、と負のループ。
正直、気遣いすぎると夫側のストレスも相当にたまってしまう。あんまり泣かれると、こっちだって泣きたいわ!と思ってしまったことは何度かある。けれど、妻だって泣きたくて泣いているわけではないのである。これがすごく重要。だから、夫もあまり思いつめすぎずに、とにかく妻が涙するときは黙って寄り添うのみだと思った。

夫も甘える時は甘えたらいい

妻:眠れなかった日の朝、ずっと気が張っていた夫の気持ちがそろそろ限界であることを感じた。つらいのは自分だけだと思ってしまっていたけど、苦しそうな妻の姿を身近でみているのは余計につらいだろう。変われるわけでもなく、何かできるわけでもない。お互いわからない事だらけで手探り状態だったのだから、甘えるのも妻だけでなく夫にも甘えてもらうのが筋というものだ。
「自分の気持ちばかり押し付けごめん。」夫にも気持ちをちゃんと吐き出してもらいたいと思った。自分がしっかりしなきゃと堪えていた夫の気持ちが涙と一緒に溢れてきた。

夫:妻が嗚咽するように涙した夜中、自分も抱えていたストレスが爆発し、過呼吸になっていた。自分が妻を泣かせてしまったことに対する自責と、イライラする自分に嫌悪感、横で嗚咽する妻。(そのときは、頼むから泣き止んでくれ・・しか考えられなかった・・)。どうしようもなくなり、精神的にガタがきていた
翌朝、夜のことを思い出しかなりブルーになっていた自分。そんな自分をみて妻は暖かく抱擁してくれた。今度はこっちが大泣きしてしまった。今まで抱えて押さえ込めていたストレスや不安が一気に吐き出るように、ひたすら泣いた。思い返しても情けないなと思うけれど、それでかなりスッキリした。
妊娠して大変なのはもちろん妻だが、生活を共にする夫だって一緒だ。自分がしっかりしなくちゃ、と抱え込んでしまってはよくない。辛いときは一緒に乗り越える、そのためにも、お互いに甘えるときは甘えたらいい。そう思った。

★ 2人の時間を大切に!

妻:わが家は付き合って半年、婚約して2ヶ月で妊娠が発覚したため新婚ほやほやであった。まだまだしばらくは2人で過ごすのだろうと思っていた矢先に嬉しいニュースが入ったので、とにかく生まれるまでの時間を大切にしようと思った。
よく、妻は子供が生まれると夫への愛情が薄れるとか言われるが、命がけでわが子を生むのだから優先順位が変わるのは当たり前の事だ。ただ、妻と夫で出産を機に変化する気持ちのギャップが激しい事で産後クライシスにつながってしまうのだ。
子供が生まれてしまうと妻も夫にかまっていられないし、ゆっくり話す時間をとるのが難しくなる。クライシスを乗り越えるためにも、妊娠中から2人の時間を大切にして、話し合いや、夫にそういう事があり得ると知ってもらう時間にするのが大事だ。妊娠期間中の2人の時間の使い方でお互いの信頼感も変わると思う。
妊娠後期になり、コロナの緊急事態宣言も落ち着いたころから、夜は夫と散歩にでかけるのが日課になった。この時間になんでもない話や、これからの話し、子供の心配事などを話したことでお互いの考えの隔たりを埋めたり、家族としての考えを共有することができたのだ。

夫:「残り少ない2人の時間を大切に」ということをよく言われた。新しい家族を迎える楽しみも大きいのだが、夫婦生活のカウントダウンとも言えるのだ。特にわが家は新婚だったので、その言葉は響いた。休日家で過ごす日々もかけがえのない日だったし、たまに都内のホテルへショートトリップなんかもした。妊娠中後期には夜に散歩をした。将来のこと、仕事のこと、子供のこと、くだらないこと、いろんな話をした。お互いの考え方や思ったことを共有することで、むっとする時もあったけど、どうしたらいいのかもなんとなくわかってきた気がする。
まだまだ分からないこともたくさんあるし、子供ができたら変わってしまうかもしれないし、どうなるのかは全く分からない。でも、これから訪れるいろんな困難や珍事にも、乗り越えられる気がする。そんな夫婦の絆を深めるとっても素敵な期間だったと今は思う




(オマケ)私たちはこれをみて知った

妻:とにかくわからない事だらけの妊娠。少しお腹に違和感があるだけで不安になるので、なんでこういう症状が起きるのか知っておいた方が少しでも精神的負担もやわらぐと思う。そんな妊娠生活でお世話になったYoutuberは、こちら。

「【12人目妊娠中】 助産師HISAKOの子育て学校」
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「アミプラ!助産師YouTuber Midwife Amigo Planet」
助産師という仕事が大好きな熱い2人



夫:基礎的な妊娠の教科書的な本(はじめての妊娠、みたいなやつ)ももちろん読んだ上で、なのだが、先輩パパに紹介された本でとてもよかった2冊があるので紹介したい。自分は出産直前に知り読んだのだが、妊娠がわかった時点で読んでおけばよかったと思った。

一冊目は、
「嫁ハンをいたわってやりたい ダンナのための妊娠/荻田 和秀 」
著者は、漫画「コウノドリ」のモデルと言われる産婦人科医師の荻田先生。よくある妊娠に関する本は、妊婦さんの症状や時期による変化、準備すべきもの、などが書かれているのだが、この本は特に”妻と夫の距離感”について多く書かれていた。まさに自分たちがこの文章で伝えたいことにも近く、共感したりなるほどと気づかされる点が多かった。しかもテキストも読みやすく数時間で読み切れるので、周産期のできるだけ早い時期に読んでおくことをおすすめしたい。

二冊目は、
「きみは赤ちゃん/川上 未映子」
小説家である筆者の出産、子育てのエッセイ本。妊娠中、出産後の妻の心情がリアルに、そして少しおかしく描かれていて、くすっと笑いながらもぐううぅとしみじみ感じる一冊。妻がどう感じ、考えているのかを、想像できる一冊。


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