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白い尾を引いて つかまえたと思ったら手からすり抜ける いくつかの美しさ ただ 足りないもの…
私にとって、詩の執筆と写真の撮影は質的に似ている。写真は特定の瞬間におけるモノを記録し、…
腹いっぱいのご飯 夕方いっぱいの昼寝 適度なマラソン あたたかい湯舟 肌触りの良いシャツ …
まっすぐなアクアラインに沿ってわれわれは 物の掃き溜め 東京にこそこそと帰る。 高速バス…
「きょうの原稿だ」 ジャーナリストが俺に渡してきたのは 日本が戦争を始めたことを知らせるニ…
鉄の街で 靴擦れから血を流す僕 頭上には同じ色の光がかがやく 通りすぎるワイシャツを着た人…
3時15分 名前のついていない時間 金曜日の日暮里 コーヒー屋にはビジネスマンが多い 3時15分 「ときわ台団地」行きのバスが出る時間 小学校の帰りの会 教室の僕はいつも時間を気にしていた 3時15分 夕飯にはまだ早い時間 安いぱさぱさのクッキーを買って アイスコーヒーを口に含んだまま放り込む 3時15分 人生の凪のような時間 働く人びとが街を埋める 後ろめたさで 買ったばかりの花の図鑑を開いた 誰もが 名前を持った時間の中で片付けられる その隙間で 祭りと祭りの間で
きみはいつだって 水平線の向こうに目を見張って 何かが現れるのを 待っているね 青い帆にほ…
「今日だけだよ」 仕方なさそうに呟いて ポケットに準備しておいた100円玉を取り出す 動かな…
日が沈むほうに見える山の稜線 ひとつだけ 四角い建物が突き出ている 橙色をした寂しさのカ…
後期青年期 感傷に 慣れてばかりは いられない 愛されたいとは 言わないぜ 文学青年 特…
一人暮らしの猫は 季節と会話できるようになった。 そりゃあ初めは 「人生のもっとも美しい時…
消えた 愛が消えた もともとそこになかったのかもしれない 愛が消えて 座席が空いて そこへ流…
Nardis 森の中を小舟で進んでいる感じ 船には二人の人間 見上げると、光が落ちてくる森の内側 木漏れ日は、どこか森の外の存在をほのめかす その緊張感を浴びながら、ふたりは小舟の上で会話を続ける まるで、窓がない小さな部屋を建てるように *** ビル・エヴァンスの姿勢 目を閉じているビル・エヴァンス ビル・エヴァンスの世界はピアノを中心に回っている ピアノが軸になり 世界が解釈される ピアノが鳴っている間は、彼は完璧に世界と調和する だが、ピアノがないと、世界はひど