見出し画像

【詩】千代田区近辺

鉄の街で
靴擦れから血を流す僕
頭上には同じ色の光がかがやく
通りすぎるワイシャツを着た人の
さわやかな香りに
劣等感を覚える

遅くて低くて醜いものに
居場所はまだない

ここには誰の目もないはず でも
高層ビルに挟まれた街は
僕を試すような雰囲気をしている
あっ という間に
息がつまろうとしている
夜はいっそう孤独になろうとする

笑ってしまうくらい高いビルを前にする
積み上げたと思っていたものが
さらりと見えなくなっていく
タクシーと電車が
消えていく音も聞こえさせない

ここでは弱さは
弱さのままであるようだ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?