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【詩】夕方の手前

3時15分
名前のついていない時間
金曜日の日暮里
コーヒー屋にはビジネスマンが多い

3時15分
「ときわ台団地」行きのバスが出る時間
小学校の帰りの会
教室の僕はいつも時間を気にしていた

3時15分
夕飯にはまだ早い時間
安いぱさぱさのクッキーを買って
アイスコーヒーを口に含んだまま放り込む

3時15分
人生の凪のような時間
働く人びとが街を埋める
後ろめたさで 買ったばかりの花の図鑑を開いた

誰もが
名前を持った時間の中で片付けられる
その隙間で
祭りと祭りの間で
人はやすらぎを求め
みずからの巣に座る

ちいさくて冷たい
床のタイルを手で撫でる時間
それは名前がついていない時間
けれどそれは
あなたの時間
あなただけの時間

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