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心地よく過ごすための二拠点居住 ──2019年6月

先日、初めてインタビューを受けた。二拠点生活をしながらリモートで仕事をしているケースが珍しいと思うので、とライターを紹介するサイトからの依頼。そして別の文脈で、友だちから「二拠点生活をしてみたい」との相談を受けた。

東京から滋賀県長浜市に引っ越して、10ヶ月以上。東京に一度も行かなかったのは1ヶ月だけで、他は月に1〜2回、東京と滋賀を往復している。

思ったよりも「二拠点居住って実際どんな感じなのか気になる」と言われるので、今回は6月の二拠点暮らしの様子をご紹介。参考に……なるかはわからないけれど、足りなかったら質問箱でどうぞ。

よく聞かれる二拠点居住の話

■ なんで二拠点居住しているの?

私が引っ越した理由は、仕事のためではなく「暮らしたいから」。引っ越し当時も今でも、仕事のクライアントさんのほとんどは東京の会社だ。

だから東京で働いている人が首都圏にある家に帰るのと同じ感覚で、滋賀に帰るだけなんだと思う。一番帰りたい場所に帰る。側から見ると意味のない移動に見えても、私にとっての理由ははっきりしているから移動は苦ではない。

本当にありがたいことにクライアントさんも私の生活スタイルにご理解くださっていて、むしろ東京にいた頃と違って「誰にお願いしてもいい、替えが効く仕事」の依頼がなくなったから、健康的に仕事できているように思う。

とはいえ、無色透明の匿名な存在になれる東京にいることで安心できる瞬間もあるし、行きたい場所や会いたい人、触れたいトレンドも東京に詰まっている。首都圏で23年間過ごしてきたからか、1ヶ月だけずっと滋賀にいたときはなんとなくバランスがとれなくなる感覚があった。

人によって心地よい暮らしのバランスや優先順位が違うだろうけれど、私はこの月1東京通いの二拠点居住が今のところちょうどいいみたい。

■ どれくらいの期間、東京滞在にしているの?

6月は、4泊5日。実は翌週にもう一度東京に行ったのだけれど、日帰りで滋賀に戻ってきた。基本的にすぐに滋賀に戻るようにしているので、今回の滞在期間はかなり長いほうで、日帰りからせいぜい3泊4日のことが多い。

私はスケジュールを考えることがとても苦手で、結果的に東京にいる間は仕事優先で予定を詰め込んですぐに滋賀に戻るので、「会いましょう」と言いながら会えていない人がたくさんいる。

プライベートで東京にいることが楽しいなら、もう少し長く東京に滞在する二拠点のスタイルが良いんじゃないかな。

■ どんなスケジュールで動いているの?

東京にいる間は、スケジュールを詰めこみがちだ。

今回都心にいた3日間は、いつもに増してバタバタだった。所属していながら一度もオフィスに行けていなかったインクワイアのミートアップ、ずっと行きたかったスターバックスリザーブドロースタリー、元弊社がオープンした新しい店舗、会議、お仕事をご一緒しているみなさんとのランチ、美容院、友だちとのお茶。

今回都心にいるときに泊まらせてもらったのは、ほぼ日の塾同期のくりこさんのおうち。長期滞在のための大荷物を抱えたままの移動でくたくただったけれど、くりこさんのおかげで本当にリラックスできた。お話もできて楽しかったな。

こうやって、会いたい人と会うついでにお泊まりさせてもらったり、翌朝の予定の場所とそこまでのルート(満員電車を避けたすぎ)を勘案したりしながら滞在場所を決めている。何人か「泊まっていいよ!」と言ってくださる方がいて、本当にありがたい。

そして都心で1日以上予定がない日があれば、東京から滋賀の新幹線での移動時間と同じ時間をかけて奥多摩に引っ込むようにしている。今回は奥多摩を案内してほしいと言う友だちと一緒に、日曜日に奥多摩でのんびりした。

取材を通して奥多摩にまた会いたいと思う方が増えて、すごく「自分」のままでいられる「帰れる」場所になり、普段忘れていることを考えるきっかけをくれるから。

あとは滋賀に引っ越して、お金を使うなら顔の見える人たちの役に立つ使い方をしたいと思うようになったのも、奥多摩に行きたい理由の一つ。

嬉しいことに、以前取材させていただいたまちおこし団体・Ogouchi Banban Company(OBC)のお二人が取材後も会ってくださって、今回は山奥に咲くコアジサイがちょうどシーズンだったのでご家族と一緒に案内してくださった。

初めて見たコアジサイが急斜面で凛と咲き誇っている光景はとんでもなく美しくて、とてつもなくしあわせな時間だったな……。

ちなみに、いつも泊まらせてもらっているのは旧ひぐらし荘。ついに、知り合いでなくても泊まれるようになったみたい。大学生の頃からお世話になっている2人の管理人に見守られながらのびのび過ごし、一日中奥多摩湖を見ながら仕事する日もある。

■ 移動のコスパ、悪くない……?

ついこの前までは毎回夜行バスで移動していて、名古屋から東京のバスだと安ければ2,000円を下回るから、名古屋までの電車賃も入れて往復10,000円程度。これまでは自腹にしていたけれど、最近だと交通費を出していただけるケースもあるので、ありがたく新幹線を使うことも少し増えた。

東京に行くことにお金がかかるからこそ、以前のように「いつでも行けるからいいや」ではなく、東京での時間の使い方にすごく意識的になった。できるだけお仕事を入れよう、東京でしかできない体験をしようという気持ちにもなるので、あまり高いとは感じていない。

二拠点や地域での暮らしが気になったら

こんな感じで参考になるのか……はよくわからないけれど、こういう生活スタイルもあるんだな、と生き方の選択肢になったらうれしい。とりあえず「帰りたい」と思う地域に偶然出会えたことは奇跡、ということだけは確か。

元同居人のみさきさんがあげている写真を見ていただきながら、もし私がいるこの町に興味があったらこっそりご連絡ください。遊びに行きたい、も含めてこれもご縁だと思うので、お気軽にどうぞ。

私も引っ越しのきっかけはこのツイート。今あらためて見返したらよくこれで引っ越したなあと笑ってしまった(このときと家賃の事情が大きく変わっているのでお値段は異なりますが、滞在日数によって応相談です)。

冒頭の二拠点生活について相談してくれた女の子も、駅を降り立ってすぐに「ここに住んでみたいです〜」と言い始めて、「じゃあうちに住めば?」と言ったら帰り際にはほとんど住むことを決めていた。この町に流れる空気を気に入ってくれて、試しに二拠点してみることになりそうで、楽しみ。


そうだよね。あなたが選んだことに「意味」も「理由」も求める必要なんて、ないよね。流れゆく無数のきっかけの一つを、自分の手でつかめばいい。そうやって勇気をにぎりしめながら踏み出した誰かの一歩目を、祝福できる私でいたい。

そう思わせてくれたのは、私を受け入れてくれたこの町なんだと思う。この町に流れるやさしい風を感じながら、ここで過ごす心地よい時間をこれからも大切に積み重ねていこっと。

2019年6月のお仕事


定期でご一緒しているREADYFORnoteから同日公開で2本。

CEOの米良さんとずっとタッグを組んできたCOOの樋浦さんにインタビューし、これまでの歴史を振り返って今後の組織づくりを考える記事と、REAFYFORが全社員に導入している研修の記事の2本を書きました。

この記事のおかげで気づいたのだけれど、大学時代のアルバイトとインターン、そして新卒で入社した会社がすべてベンチャーで、30人、50人、100人サイズはどれも経験済み。しかもアルバイト先で社内研修に関わったり求人記事を書いたりしていたので、ベンチャーの組織制度にも関心あり。

このへんの経験を元にしたベンチャーの組織づくりについて今後も書けたらおもしろそうだなと思いました。


さて6月の一大事といえば、この『TURNS』の発売でございます。紙媒体での初めての執筆にして、巻頭特集8ページ分を担当させていただきました。

インタビューを受けてくださったのは、和歌山県海南市で名産品の柑橘類を使ったオリジナル商品の開発やカフェを手がけているブランド「FROM FARM」の大谷幸司さん。

今回の取材で初めて和歌山に行ったのですが、事前にFROM FARMのことを調べていたら、近所でお米を作っている農家さん杜氏さんが大谷さんに会いに和歌山に行ったことがあると判明。尊敬しているお二人にご連絡したら事前情報をいただけて、とても心強かったです。

そんなお二人が私たちの地域を引っ張ってくださっているなんてやっぱり最高だと思ったし、滋賀で過ごす時間があるから他の地域を取材することができるんだな、とあらためて実感しました。本文冒頭のローカルプレイヤーも彼らのことです。

強く強く心に残る取材と執筆になったのですが、「できうる限りのぜんぶを注ぎ込めた」と言える記事を書くことができたのは、ここに書ききれないくらい本当にたくさんの方々のあたたかいご協力あってこそです。

今回の機会をくださって、和歌山にもご一緒し、そして深夜にお電話したり校了ギリギリまで私とやりとりしてくださったりと本当にお世話になったミネさん

編集部会議で関西のライターを探している話が出たときに私を推薦してくれた、ほぼ日の塾同期のゆかさん。同じくミネさんに私を推薦してくださって、かつてのアシスタントをベルリンから応援してくれたことが心強かった小松崎さん

そして。取材の際は一日中お付き合いくださって、すごくまっすぐに向き合ってくださり、原稿も通常より多い回数のチェックをしてくださった大谷さん。大谷さんとこのタイミングでお会いできて、じっくりお話をうかがえて記事を書かせていただけて、本当に感謝しています。

5月後半から6月頭にかけて、エネルギーのほとんどをこの記事に注いだかもしれません。一人じゃ闘いきれなかったけれど、たくさんの方のおかげで無事に世に出て手にとっていただけるものになって、幸せです。今までのインタビューの集大成のような、大切な記事になりました。ありがとうございました。

ネットからも買えるので、ご興味が合えばぜひ手にとってみていただけるとうれしいです。地域で生きていようとどこで生きていようと、大谷さんの言葉と生き方が背中を押してくれるんじゃないかな。


月末にもう1本、READYFORnoteの記事を執筆しました。テーマはオンラインプラットフォームのルールについて。

メルカリやWantedly、クラウドファンディングを日常的に使っていながら、そのルールについて考えたことがなかったので、CLOの草原さんにうかがったお話が自分の生活に直結すると知れておもしろかったです。


この他、引き続き IDENTITY名古屋の編集 や CX Clip の執筆にも関わらせていただいています。ついこの前まで毎月定期のお仕事がなかったのに、今はある程度安定的に仕事できるようになって、それもこれもインクワイアのおかげなのですごい組織だなあとしみじみ。


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6月はこのnoteにたくさんの反応をいただけて、ただただ手探りで進めているプロジェクトに興味を持っていただけたことがうれしかったです。

フリーランスになってからは自分の時間をどう使うか、今あるお仕事を進めるだけでなく未来につなげていくためにはどんなステップが必要か、常に頭を悩ませながら模索している毎日。

その中で、彼らと時間をともに過ごすことを自分の未来においてどういう位置付けにできるか。そういう思考のプロセスや彼らとの議論も書いていこうかなと思っています。住んでいる場所に関係なく何かのヒントになればいいな。


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7月が終わったら一ついいことをご報告できるように、頑張ります。ではでは、7月もどうぞよろしくお願いします!


アイキャッチ/Ogouchi Banban Company

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