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【マリークワント展】【中華そばコヨシ渋谷店】最期が近づく東急百貨店本店近くで、都市開発の足音と、ラーメンをすする音がする


門松でかい

渋谷の東急百貨店本店が2023年1月31日で閉店する。隣接する複合文化施設Bunkamuraはオーチャードホールを除いて、2023年4月9日から長期休業に入る。(それぞれの窓口は既存の東急関連施設に分散。参照:BunkamuraHP

スノヘッタと読みます 日本人には読みづらいネ

このShibuyaUpperWestProjectと呼ばれるこのプロジェクト計画によると、ノルウェー国立オペラ・バレエ団 の本拠地である「オスロ・オペラハウス」や、ニューヨークの「ナショナル・ セプテンバー11メモリアル&ミュージアム」のデザインを担当したスノヘッタのデザインにて改装後は地下4階、地上36階建の渋谷のランドマークとなる高層ビルになる。中にはSwire Hotels が運営する「The House Collective」のホテルが北京、香港、成都、上海に続き、世界5番目のホテルとして日本初上陸。竣工予定は2027年予定。

横に建つはず東急のビル全然建て替わってなくて笑う

実は東急の横、元ドンキホーテ跡地でも渋谷区道玄坂二丁目開発計画が進められていて、こっちはもうビルが出来ている。なんと今年2023年9月竣工予定だ。「道玄坂通り」という看板ももうついている。個人的には、このイメージ図を作成したタイミングもあると思うけど、東急とドンキ、二社のイメージ図はほぼ同じ場所なのに、どっちも相手のビルを頑なにイメージ図上に建てないのがちょっと面白い。喧嘩してんのかな。

道玄坂側への往来を促進させるらしい。

渋谷の開発は止まらない。有名人がよくパパラッチされていたクラブがあった道玄坂の新大宗ビルも昨年テナントが全て立ち退きして、取り壊しが始まった。道玄坂二丁目南地区再開発プロジェクトだ。老朽化していた新大宗ビル群を取り壊して、こちらもホテル(ノリにノッてるTRUNK HOTEL)入りの高層ビルになるらしい。ベンダーはなんとあの三菱地所が協力。そして竣工2026年。東急の新しいビルは竣工2027年、渋谷のランドマークに!って言ってるけれど、建築中にどんどん他にもランドマーク出来ちゃうけど大丈夫なのかな・・・

な〜んて、別に私なんかが心配することでもないことを考えながら、先日、東急渋谷に併設されているTHE  MUSEUMの、最後から2つ目の企画展に行ってきた。マリークワント展だ。

平日でも結構人がいる

もともとファッションにそこまで興味がない。許されるなら、スティーブ・ジョブズみたいに、いいなと思ったTシャツを1週間分くらい買い溜めしておいて、毎日同じものを着たい。(Tシャツはあまり似合わないのでワンピース)それもできるだけコスパのいいもの。ご飯にはいくらでも出せるのに、服となると、なぜか急にファストでチープな感覚になってしまう。
でも、そんな私でも、マリクワには少し思い出と思い入れがある。

10年程前、メルカリに初めて出品したアイテムが、マリークワントのポケットティッシュケースだった。多分高校の時から使ってたと思う。一度使い始めるとなかなか飽きないし、捨てない。中学の時に宇宙百貨で買った315円の合皮のパスケースを、つい3年前まで使っていたくらいだ。何年も使ったマリクワのポケットティッシュケースもめちゃくちゃ汚れていて、セカンドストリートに持ち込んだものの「汚れすぎてて買い取れません」と言われたヴィンテージ・アイテム。
仕方なく持って帰ってきて、ネットで見てダウンロードしていたメルカリに、試しに800円で出品した気がする。ものの3日ほどで売れたのだろうか、私が出品してたくせに、売れたことにとても驚いた。間違えて購入したんじゃないかと思って「こんなに汚れているのにいいんですか?」聞くと、購入者の方はマリー・クワントが好きすぎてコレクションしている人らしく「使う用と保管用で2つずつ集めているんです、お写真拝見する限り、気にせず使えそうなくらい汚れていて嬉しいくらいです」とお返事をもらった。この時から、私にとって、不思議な思い出と思い入れのあるブランドである。

最近は私の中でも、少し“ファッションブランド”に対する印象が変わってきた気がする。相変わらずロゴが大きくプリントされたマフラーとかカバンは持つことがないけれど(多分私のアイデンティティが喰われる)、人が多すぎる東京では、関係値を深める相手をふるいにかける時、何をどのように身に付けているかで判断する人が、実は結構多いことに気がついた。そして、そういう判断軸を持っている人が、何かしらの決定権や決裁権を握っていることがある。

仕事をしていると、AでもBでもそんなに変わらない、という選択のタイミングが増える。そんな時の選び方って、もう、サイコロを振るみたいな選び方をすると思う。そういう時の祈りの具現化がブランド品を身につけることにつながるような感覚。

会社に所属する一人ではなく、個人として社会に降り立った時、半ば必要に迫られて状況でファッションについて学び始めた気がする。リアル・クローズ、そしてAmazon PrimeとかNetflixでブランド創始者たちのストーリーを見ることである程度ブランドと言うもののアイデンティティーがわかるようになってきた。その活動と一環とも言っていいし、単に美術館巡りだとも言ってもいいし、なんならブランドのストーリーや歴史を調べること自体が楽しくなってきたのかもしれない。これまで、個をブランドで語る無個性な感じに違和感を感じていたのだけれど、ブランドにも歴史とストーリー、そして人がたくさん裏にいる。


吹き抜けで空が楽しめるドゥ・マゴ・パリ(上から撮影)

Bunkamuraでの展示のの面白いところは、レストランとコラボのメニューを出すところだった。1FのLES DEUX  MAGOTS PARIS(ドゥ・マゴ・パリ)でも、2FのLOBBY LOUNGE(ロビー・ラウンジ)でもマリクワをモチーフにしたメニューを出していた。オーチャードホールは休館中も運営され、THE MUSEUMは休館中拠点を別に移して、2027年以降また帰ってくる予定だが、吹き抜けになっていて空も植物も外の空気も楽しめるドゥ・マゴ・パリと、壁がなく、フロアを行き来する人と、廊下の向こうの展示フロアまで楽しめる造りになっているロビー・ラウンジは、2023年4月で営業を終了することになっている。本当に終わりなのだ。せっかくなので、展示が終わったらどちらかで何か食べようと思った。

ロビーラウンジ


マリークワントと言えば、ロゴマークである「デイジーの花」の印象が強い。もともとBAZZARという、手作りの服を販売していたお店が大人気になった後、ロゴマークを商標登録し、ライセンス販売に販路を変更したあたりがビジネスの手腕を伺わせる。単純に可愛らしい、女性っぽいブランドのイメージがあったのだけれども、その印象はマリー・クワントが考える女性ならではの表現し得る“強み”であり、マリー・クワント自身の考え方や生き方とはしっかりと切り離されたものなのだなと感じた。

1900年代前半のイギリス、まだ伝統がものを言う時代に軍人の服、銀行員の服を借りて、それをドレスに仕立てる、型破りでメッセージ性のある新しい風を巻き起こす。その功績とバイタリティーは、世代も、国も超えて届いているのだから、近くにいたらものすごい・・・振り回されそう(爆)そして私自身はこういうのを見た時に自分が感じる気持ちが「こうなりたい」ではなくて「こういう人を応援したい」だなあ、と改めて感じることができた。そう、きっと、いつの時代だって、私みたいなのが喜んで振り回されにいくのだ。

ただ、今回販促がメインの目的だったのか、あまり暗い部分や失敗にフォーカスが当たっていなかったように思う。世間の流れに逆らうということは、きっとかなりの苦労もしたと思うので、苦労についてもどこかで聞いてみたいと思った。めちゃくちゃすごそうだけど。

館内は撮影禁止だったので一覧を

驚いたのは、マリー・クワントブランドで、男性用のメイクセットを1970年代に発売していた事だ。今でこそメンズコスメという棚がロフトにも出来ているけれど、50年も前にそれを出していたというのには驚いた。この辺りにも、デイジーのロゴマークからだけでは想像できない、ファッションに対する思い入れが伺える。

最初は買わないつもりだったのよ

グッズも大変に可愛くて色々と買ってしまった。左上はマリクワの前身となったBAZZARのショッパーの柄。中には紅茶が入っている。上のTシャツは2800円だった。Tシャツ2800円って安くない?と思って買ってしまった。これが3800円だったら1着も買ってないかもしれない。でも多分マグカップは5000円でも買ってた気がする。そういう感覚。

バンダナをテトに巻いてみたらブチギレられた

さあ全部見終わっておみやげも買って、どちらの企画コラボメニューを食べようかなと思案していたのだが、鑑賞中、その思考をチラチラと邪魔するお店があることに気が付く。いや、ずっと気付いていた。見て見ぬふりをしていただけ。こんなに文化的な体験をした後にそれはないだろう、展示を見れば気持ちも変わるだろう、なんて思っていたのに、恋焦がれる気持ちはさっきより大きくなっている。

立地がずるいのよ

Bunkamuraから歩いて3分位のところにある、松濤文化ストリート沿いにある中華そばコヨシ。松濤文化ストリートは結構好きで散策しているので、お店自体は繰り返しインプット済みである。結構人気なのだ。ちなみに横のコーヒーシャルマンもなかなかイケてるので純喫茶好きはぜひ。

いや〜コヨシ、これはずるくない?マキシマムこいたまご。100円。濃厚な溶きたまごに麺が絡むまろやかなコク。黄身が濃いたまご好きすぎる。これは中華風カルボナーラ。

メニューも魅力的。でも実は関西人の私からすると、写真のスープの色がちょっと濃く見えるのよ。店前でじっと看板を眺めていたら、店員の女性の方が「よかったら中でメニューご覧になってください」と声をかけてくれた。中に入ったらそれはもう、注文するしか道は残っていないのだ。でも、声かけてくれるのを待っていた気もする。そうです、私は、声かけられたから、マリークワント展見た後にラーメン屋に入ったんですよ皆さん。

刮目せよ。これがマキシマムこいたまご

せっかくなのでマキシマムこいたまごを存分に、めいいっぱい楽しみたい。「あの、店頭に貼ってあるアレに合うラーメンはどれですか」と聞いてみた。私を店内に誘った女性の店員さんが「どれも合いますけど、混ぜそば美味しいとおもいますよ」と教えてくれる。うんうん、ちょっとスープは育ちが違うから口に合わない可能性ありそうだなと思っていたけど、混ぜそばならその心配はないかも。というわけでまぜそばとマキシマムこいたまご。多分、このたまご、家で買おうと思えば買えるんだけど、違うんだよ。お店に出てくるラーメンにたまごを合わせるのが良いんだよ。

まぜそばが出てくるのを待ちながら、そっと食べログを確認してみた。

Bunkamura シアターコクーン「ザ・ウェルキン」をモニター募集で当たり観覧してきた。目がパチパチするシーンが無かったので目をつぶることがなかったが、物語が一向に明るくならない。演技のすばらしさを感じていたが、他に考えることは「渋谷 ラーメン」で検索したいことも考えていた。
事前にGoogleで調べていたのが、文化村から近い中華バル池湖と高評価の中華そばコヨシだった。劇場入る前にお店の前を通ったら「中華バル池湖」はまだオープンしてなく、中華そばコヨシは営業中だった。文化村前にある野菜炒めの店「ベジ郎 渋谷総本店」も気になった。たまに行くクラフトビールの店「Goodbeer faucets」は目の前、「THE ALDGATE British Pub」も歩いて近いが新店に訪問したい。

食べログ見たら同じ属性の人いて笑った。いやほんとこの立地のラーメン、鑑賞中に脳内にサブリミナルっぽく差し挟まれるから、鑑賞終わる頃にはより食べたいが増していてずるい。

にぼし系のラーメン

まぁ、私もそういう人間なのよね、と思いながら、まぜそばとマキシマムこいたまごを食した。


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