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自己啓発のために定期的に通いたいと思わせられた歯医者の話

患部には、少しずつ、そっと触れる。
器具を口内に入れるときは、そのたびに必ず声掛けをする。
尋ねごとがあると、小さい声ではっきり聞こえるように聞く。
これを毎回繰り返す。

頭が下がる思いだと思わせられる。
自分の仕事では、こんなに丁寧に面倒くさいかもしれないことを重ね、重要なことに時間をかけられているだろうか?

などと、答えがもう出ているような自問をしてみる。

ふと、自己啓発という言葉が浮かび、そもそもこの意味はなんだろう、と調べてみる。

より優れた、より充実した、より高い、
何かの獲得を目指すー

とあった。よりよりよりよりー

読んだだけで、軽く吐き気がした。
なんだか急かされるような、欲深しいまでに食らいついて獲るような向上心。
いや、それこそが真の自己啓発なのかも知れないーなどとぼんやり考えながら、

実感しながらゆっくりと、後で気づけば、昨日「より」何かしら良くなった、
くらいのが私には合っているな、うん、
となんとなく自分をほっとさせた午後。

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