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#05 超高齢化の幸せな暮らしの土台って、どんなカタチ?|ガチで社会を変えたいなら、〇〇を考えよう。

前回のふりかえり

前回は、「人口減少」をテーマに考えてみました。大量消費・生産・廃棄の経済でいうと、ついなんとなく「ジンコウゲンショウハ、シャカイモンダイ」と、言ってしまいがちな私たちがいるかもしれません。

しかし、よく考えてみると、必ずしも負の側面だけではないことが見えてきました。そのために、前回大切にしたのは、具体的かつ主観的に語ってみること。

人口減少が進むと、どのような人が、どんな顔で、嬉しかったり、嬉しくなかったりするのでしょうか。それが進んだとしても、ずっと大切にしたい暮らし方はどのようなものでしょうか。

そんな問いに基づいて、前回聞こえてきた声をもとに、そのイメージを一枚にまとめてみました。

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2050年、札幌でどんな風に暮らしてる?

前回の盛り上がり方を思うと、ここに載っていない「札幌ってこんなところがいいよね」「もっとこれも大切」という声もあったと思います。

こちらは、意志を持って声を上げてくれた人たちの声(マックスニーフ の考え方でいう「サティスファイアー」)を集めて、これからも大切なことを話し続けるための材料として作ったものであることをお含みおきください。

今回のテーマ「超高齢化」

さて、その調子で引き続き、今回は、「超高齢化」について考えみます。

超高齢化が進んだとしても、大切なことを大切にできる暮らし。例えば、上記で書いたような暮らし/Lifeの質感を支えてくれるような「仕組み」とは、どんなものかについて、話し始めます。

次のような問いについて、グループに分かれて話し合いました。前回と同じく、「実際、高齢化したらどうなるんだろう」を、具体的かつ主観的に考えてみるための時間です。

これからも、していきたい暮らし方をいくつか具体的に想像してみてください。あなたや周りの人が高齢化したときそれはどういう風にもっと楽しくなりそうですか?どんなふうに難しさがでてくるでしょうか」

こんな声が聞こえてきました。

・自然の豊かさは残っていて欲しい。
・歳をとっても山登りをしたい!足腰が弱くなってできなくなるかもと不安だけれど、技術でどうにか登れるようになっていて欲しいな。
・親が介護になっても、『うち、介護なの~』『あ、うちもよ~』明るく自慢できるようにいえる暮らしができたら、楽しいかも。
・高齢になっても気軽に参加出来るコミュニティがあったら、楽しい暮らしができると思いました
・高齢化は親の問題が深刻で、暗くなりがち。でも避けられないのなら、できるだけ楽しくなる仕組みを用意したい。
・今はまだ想像できない…若いから?
・体が動かなくなる不安はある。
・実は高齢化=大変は、「そう思わなきゃいけない」と思っているだけかもと思ったり。

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キーワードは「仕組みを考えること」

そして、ここからが今日の本題です。

人口が減って超高齢化する札幌。私たちが望むLifeの質感を感じ続けながら100年暮らせるまちでいるために、どんな経済や社会や自然のしくみがあるといいだろうか。

こんな声が聞こえてきました。

・自分でお節を作る、自分で漬物をつけるなど、ゆっくり、ていねいな暮らし方。
・物がありふれている今、ひとつの物を大切に使う昔のような気持ち
・高齢の方の知恵を生かしていく暮らし
・高齢になった時に、お世話になるだけじゃの存在じゃなくて、役に立つ存在でありたい。自分にできること、自分の役割があること
・学生時代の友達のような「つながり」(純粋で利害関係のない)を年をとっても持っていることが理想ですね。
・古いものを大切に、分かち合える経済と顔の見えるコミュニティがいい
・具体的仕組みまでは思いつかないですが、互助が作用するメカニズムが有用と感じます。
・Silver share house!一方的にケアされたくない。
・人々のつながり。銭湯に行って、「あの人今日は来ないねえ」と、心配してくれる/心配したくなる人がいる。
・オンラインのつながりもあってもいいのではないかと、思いました。このスラックのように色んなグループがあったら、楽しいとおもいます。
・オンラインツールを使おうとしても使えない高齢者はどのように参加の機会を確保したらいいんだろう。そういう人も取り残されない空間になるといいな。

そのあと、そのやりとりを振り返る札幌市4人のお話がありました。

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サスティナブルプロダクトを当たり前にするために

まちづくりの話も続きますが、今回から「サスティナブルプロダクト」についての話も始めました。

その取っ掛かりとして、今回は、運営チームメンバーの一人でもある、みかさんのモヤモヤを聞きました。その話には、普段なら「言ってもしょうがないこと」が含まれているかもしれません。

しかし、そこで語ることを諦めてしまうと、次の可能性はほんとうにゼロになってしまいます。そこで、今は答えがないことでも、皆でより良い道を行く可能性が開かれることを信じて、彼女のモヤモヤを聞きました。

私は自然がめっちゃ好きです。なんでみんな地球を壊すものを使っているんだろうかとモヤモヤしています。サスティナブル・プロダクトを使うことを「あたりまえ」にしたい。でもどうしたらいいんだろう。答えはないけれども、みんなで考え始めませんか?

それに呼応して、参加された人からも、多くの「モヤモヤ」が聞かれました。

・企業側が、サスティナブルを謳っている商品は買いたくなるけど、それを悪用されてる場合もあると知って、新たなもやもやが生まれました...
・企業への呼びかけとか間接的な何かはできるかも。具体的にはわからない。大きな問題すぎて、何がモヤモヤしているのかがわからない、言語化できない。ずっと、モヤモヤしている

・プロダクツを生産する限り、完全に(環境負荷、co2排出等)をゼロにはできないという話が出ました。環境にいいと謳っているものでも、消費する以上、そういう側面があるということを頭の隅に置いておくことが大事だなぁと思いました。

・「商品の在り方がめっちゃかっこいいと思った」にピンときた。かっこいい、かわいいはみんなが好きな感覚。環境負荷など否定的に伝えると"意識高いね"で終わってしまうから、それなら広がりやすいのでは??


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ガチで変えたいなら、仕組みを変えざるを得ない。

繰り返しになりますが、「仕組みを考える」というのが今回のキーワードの会でした。

なぜそんなにも「仕組み」が大切なのでしょうか?

まず、私たちが個人でできる事はどんどん勝手にやればいいですよね。このことを「Act indivisually:個人ではたらく」と、このゼミでは言っています。

しかし、みかさんが呼びかけた「サステナブルプロダクトを社会の当たり前にする」というのは、あきらかに、一人では難しいことです

もちろん、度々このゼミで出てきている「脱炭素」などは、気候変動の解決策として科学的には正しいことには、もう決着がついています。だから、サスティナブルプロダクトを使用することが正しいのも、とっくにわかっています。

正しいのはわかった。しかし、問題はこうです。

実際に、それをどのように現実の中で達成していけばいいのでしょうか。

こうなると話は一気に複雑なものとなっていきます。たとえば、「脱炭素しよう!」と言っても、もしあなたの友人が石油産業に従事していて、家族を養っていたとします。あるいは、あなたが冬場に自宅で暖をとるために、大量の石油を消費していたとします。そこに「気候変動対策をしろ」「脱炭素」という、正しいことを叫んだところで、現実は本当に変わるでしょうか。

ここまで来ると、「SDGsには17個の目標があって・・・」と正しいことを言っているのが、懐かしく思えてしまうかもしれません。

そう、ガチで現実を変えていくためには、複雑な現実と向き合う必要があり、そこから未来へと進んでいくための道筋には「一直線で進めるような、唯一のただしいやり方」はありません。だからこそ、多様な視点を持ち寄り、対話しながら共に試行錯誤をして、欲しい仕組みをつくる・続ける/いらない仕組みをやめることが必要になってきます。

・・・

ということで今回は、ガチで変えたいなら、みんなで仕組みを変えざるを得ない。そんなことにに直面し始めた時間だったようです。

その「みんなで、仕組みを変えるためにはたらくこと」を、このゼミではAct locallyという言葉で示しています。より賢くアクトローカリーしていくために、引き続き、ガチで学びを進めていきましょう。

【ご案内】参加者募集中です!

自由で多様な学びの機会たっぷりの「みんなの気候変動SDGsゼミ・ワークショップ」は、引き続き、参加者募集中です。開催期間は、2020年9月~2021年2月、18時30分から21時00分。

お申し込みの方は、各回のご案内をメールにてお届けします。
➡︎こちらからお申し込みください。
https://forms.gle/9pDvPskPTWqY82RS9

【リソース】

① Facebookページ
https://www.facebook.com/ourclimatechange.semi/
②これまでどんなことをしてきたの? (2019開催レポート)
https://note.com/kikohendo/m/m9a74a087ec5d
③参加者の声でふりかえる「ゼミTV」
https://note.com/kikohendo/n/nd2e06b28d4dd
④聞いて学ぶ。ゼミワークショップのアーカイブ・ラジオ版
https://soundcloud.com/ezzxkuhber1r/sets/sdgs
③ワークショップについてのお問い合わせ
https://www.city.sapporo.jp/kankyo/sdgs/workshop/2020.html
主催:札幌市 環境局 環境都市推進部 環境政策課

【第5回目】人は減るけど、幸せが増えるまちってどんなまち?(2020.10.28)
グラフィックハーベスター 絹村亜佐子、グロス梯愛依子
エディター 反町恭一郎


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