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刺身しか買わない女

住まいから徒歩5分圏内に
鮮魚店があります。

刺身や切り身、魚を使った加工品など
ところ狭しと
様々な品揃えがあり
いつも賑わっている人気店です。

根暗な引きこもりで普段誰とも話さない上
元々声が低い人間なので
威勢よく
「いらっしゃいませ~!」とか
「どんなものをお探しですか~!」とか
声を掛けられたら

感じよく反応できるかしら・・・
失礼な対応になってしまったら嫌だな・・・と

引っ越し後最初の数か月は入店を躊躇していたものの
一度入ってしまえばなんてこともなく買い物は済み
まったくの杞憂に終わりました。

あ~お夕飯に
ねぎとろ丼食べたいな♡
新鮮な白身のお刺身食べたいな♡

なんて時は
超出不精の私がのそのそと着替え
鮮魚店を目指して
昼間から外に出ます。
太陽の下
わずか数分のウォーキングで
「私、今、健康的な生活してる・・・」と
高揚感に包まれ
恍惚の表情をマスクの下に浮かべている
気持ち悪い人間です。

道すがら擦れ違う方々
子供達やママ達、ご老人に学生さん、郵便局員さん

皆さん今日もお疲れ様です!
久しぶりに娑婆に出ました、きこです
皆ずっとずっと元気でいてね

と挨拶したい気持ちをぐっと心の奥底に潜ませ
勝手に目に涙まで浮かべます。

鮮魚店に通い始めた当初

「今日は金目がいいの入ってるの!煮つけどう?」

とか

「タラの身がぷりぷりな上価格が安いからお鍋にいいよ!」

とか

毎度店主さんが親切におススメをしてくれていたのですが

「私・・・なにも調理したくないんです」
「今夜は・・・さぼりたいんです」

などと言い続けるうちに

「この客は調理がしたくない時にこの店にやってくるらしい」

ということを覚えて下さったみたいで

その後は
私が入店すると
店頭にどんな刺身の盛り合わせが残っているのか素早く確認して
在庫があるのに補充していないものを
奥の大きな冷蔵庫からササッといくつか並べて下さるようになりました。

刺身しか買わない女

爆誕です。

こちらの鮮魚店は毎朝店主が市場から仕入れてくる新鮮な魚を
店内で切り身にしたり刺身にしたりしているので
魚特有の臭みがほとんどなく、美味しいのです。
値段的にはそこまでお手頃ではないので
毎日食べるわけにはいきませんが

お魚食べたい+調理さぼりたい+外出する気力がある(これが一番ハードル高い)

という3条件揃った時は
お世話になることにしています。

さて、
この鮮魚店で刺身しか買わない私ですが
このお店についつい惹きつけられてしまう大きな理由が
実は他にもあるんです。

店主が私を、おねえさん、って呼ぶこと。

これ読んで
キモって感覚になる方もいますよね(笑)
以下、キモ話しかないので、ここで読むのはストップしておいて下さい(笑)


おねえさん!今日は金目がいいの入ってるの!煮つけどう?」

おねえさん!タラの身がぷりぷりな上価格が安いからお鍋にいいよ!」

てな具合なのです。

アラフォーという年齢上
世間一般的には「おばさん」な年齢なもので
「おねえさん」って呼ばれた時に

・・・え(照)

みたくなり。

まあ、でも
落ち着いて考えてみてください
客に対して「おばさん!」って声掛ける店主がいるはずはないのですよ。
誰でもかれでも
基本的に女性客なら
「おねえさん!」なわけです。

それはわかっている!わかっているんだ!!
それでも私は「おねえさん」って言われると

・・・はいはい、私はおねえさんですが、何か?

と気持ちが上がるんです←


60代と思われる店主よりも
明らかに年上のおねえさまのお客様もいらっしゃるわけで

そういう方に「おねえさん」と呼ぶのは逆に馬鹿にしてるみたいで失礼?
どう呼ぶんだろう?

と観察していたら

「ママ!」

って言ってました。

皆さん
まんざらでもない顔して
店主と仲良く話していたので
「ママ」が嬉しいんでしょうね。
「誰があんたのママじゃい!」なんて怒り狂う人はいない模様。

女性客は皆
「おねえさん」か「ママ」で
皆ハッピー(多分)

はたして私は
新鮮なお刺身目当てで鮮魚店に行くのでしょうか
「おねえさん」と呼ばれたくて鮮魚店に行くのでしょうか

どちらが欠けても
駄目な気がしています。


まだ20代前半の時
知り合い数名と山登りに行ったことがあり
その中にいた保育園に通う5歳の男の子が
「おねえちゃん 抱っこ!」
「おねえちゃん 手を繋いで!」
などとキラキラした目で言ってずっと甘えてきて
母性が疼いて仕方なかったんですよね。。。

「おねえさん」って呼ばれると
瞬間的にあの子のこと思い出してるのかも・・・
もうあのボクちゃんも25歳位になってるのか・・・(遠い目)

ってなんだか話がどんどん気持ち悪くなるので
今日はここらへんで。


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