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婦人科検診の帰り道のサンパウロ散歩〜パウリスタ大通りにて〜

 先週末の眼科検診に続いて、婦人科系のチェックアップを受けて来ました。

 夫の元職場の忘年会の時に私の隣に座っておられたのは夫の上司の奥様で、私の産婦人科の主治医でした。ふたりの子供たちをこの世に誕生させて下さった恩人でもあります。その時の世間話の合間に、先生がパーティー用のレトロでなんとも素敵なバッグ(義姉様の形見とお聞きしました)から取り出されたのは、検査の処方のための用紙。あれよあれよという間に、マンモグラフィーやら各種超音波、血液検査などの検査項目をサラサラと書かれ、用紙を私に手渡されました。「検査をしてその結果が戻って来れば、診療所に来てくださいね」と。

 週明けにサクッと検査を済ませ、検査機関のプラットフォームから結果を取り出して、先生のクリスマス休暇前スレスレに診療所へと向かいました。アパートを出てすぐの急な坂をのぼり、以前住んでいたアパートの最寄り駅から地下鉄に乗れば(途中で一回乗り換えをして)五つ目が診療所の最寄り駅です。でも、一駅先まで歩いてそこからパウリスタ線に乗れば、パウリスタ大通りの上を一直線に、乗り換えをせずにその最寄駅に着きます。「なら一駅は歩こうか」。帰りはゆっくり途中休憩をしながら、アパートまで歩いてもいいなぁと。

 朝からとても暑い日でした。汗だくで地下鉄の駅に着き、ホームでどのくらいの時間電車を待っていたでしょうか。そのうちに、いくつか手前の駅で何かトラブルがあった、というアナウンスが耳に入って来ました。不測の事態に備えて早めに家を出てはいます。時間を確認すると、診察の時間まであと45分ありました。私の瞬時の判断は

「歩いてもまだ間に合う」

でした。ホームは電車を待つ人で溢れかえっていました。例え電車が来たとしても、車内はぎゅうぎゅうで出発することが目に見えています。夫に借りたメトロカードで切符代は払っていましたが、そのまま階段を上がって外に出ました。それから先はもう時間を気にしない。必ず間に合うに決まっているから、ただただ前進するのみです。余計な焦りは禁物です。

 でも、急いでいる時に信号に引っかかってしまうと、こちら側の待ち時間の方が長く感じられるのは何故なのでしょう。。信号が開くと、その時間を取り戻すかのように自然に小走りになってしまいました。

 サンパウロの目抜き通りであるパウリスタ大通り(Av.Paulista)には、これまでの約30年に渡る在伯生活の思い出がたくさん詰まっています。前に進む度に目に飛び込んでくる光景にいちいち気を取られながらも、立ち止まりたい気持ちをグッと抑えていました。写真を撮るなら帰りに、と肝に銘じながら。

 結局、主治医の診療所に到着出来たのは、予約時間ぴったりの11時でした。(走ってギリギリ。)ちょうど前の患者さんが出られたところでグッドタイミング。肝心の検査の結果は、イメージの方はなんら問題はありませんでした。血液検査は、加齢と日頃の不摂生が如実に表れていたようです。血液は正直。加えて、女性ホルモンの力は絶大。笑 ビタミンDのサプリ摂取をサボっていたこともバレバレです。診察と年末の挨拶が終わって、先生と受付けのマルガレッチさんに贈り物を手渡しギュッとハグ。来月には娘が伺います、とお伝えして診療所をあとにしました。

 診療所のある細い通りからパウリスタ大通りに戻ってきました。街はどちらかと言えばビジネス街なのですが、夏のバカンスの軽装で歩く方たちも多く、とても華やいでいました。この辺りは私が来た方向からすれば、パウリスタ大通りのほぼ終わりに位置します。ここからほど近くにあるのは、私の伯国生活で最大のイベントがあったこの場所。

1994年6月に結婚式を挙げたカトリック教会

 少し開いていた扉から中を覗くとPadre(神父様)がミサをされている最中でした。今日のところは心の中でお祈り、この一年、無事に過ごせた感謝の気持ちを伝えながらもと来た道を戻ります。

 次に見えてきたのはBlue Note São Paulo。サンタさんの真下がそのお店です。

後ろに見える、大きな、昔ながらのアパートも圧巻

 何年か前の結婚記念日にジャズを聴きに来たのですが、夜のお店の外観はブルーのライトに照らされてこんなに素敵なのですよ。


 

 
 いつか私が聴きたいジャズライブをここで聴くことが出来たら良いのだけれど。。


 MASP(サンパウロ美術館)に差し掛かる辺りであることに気づきました。年末のこの時期だから余計になのか、物乞いをする方たちがとても多いのです。大通りのあちこちで道に座り込んで、通りがかりのビジネスマンや観光客に声をかけます。日本ではあまり見られない光景だと思いますが、子供連れで、家族総出で。。高床式建築のサンパウロ美術館の下には、小さなテントやダンボールで住居を構えている方たちも大勢いました。

 まだ五つにもならないような幼子が、缶のコカ・コーラを飲み歩きする女性に「それ、ちょうだい!」と言い寄る姿には胸が痛みました。何か力にとは思いますが、実際にはなかなか難しいものです。数メートルおきにこういう方たちに出会うわけだし、時折させて頂く寄附もこういう方たちのところにまで回っているのかも疑わしいものです。ベネズエラから来たという、小さな女の子を連れた若きお父さんの訴えもすごく切なかったです。言葉はスペイン語だったので、まだ来て間もないのではないでしょうか。。

お祭りの準備が刻々と


 こういう時は治安が悪化していることは間違いないので、気を付けながら先を急ぎます。時計を見ると、もうとうにお昼時間は過ぎていました。年末に行われるお祭りの準備が始まり、通りの途中から車は通行止めとなっていて、車両は迂回を余儀なくされていました。後から娘が言ったように、行きにUberやバスを利用していたら、予約時間までにたどり着けたかどうか。。歩いて正解でした!

 通りはもちろん、クリスマスの飾りやイルミネーションで華やかでした。夜に来ればより一層きれいなのでしょうが。。

パネトーネのBauduccoのクリスマスツリー
I❤︎Christmas
娘が先日参加したクリスマスクッキー作りのワークショップはこちら化粧品会社の主催
結婚式後のパーティーを行ったクラブ
オフィスビルとアパートが立ち並ぶ

 この辺りでもう脚が限界、お腹も空いて来たので、やっとたどり着いたスタバで休憩することにしました。何か美味しいものは無いかな。。

ターキーハムとモッツアレラチーズのトースト

 スタバではカプチーノなどの温かいコーヒーをオーダーするのが習慣ですが、この日の暑さでは流石に無理でした。かといって、モコモコの冷たい飲み物も好みではないので、(そう言えば遥か昔からシェイクも苦手でした。吸引力が。。)コーヒーショップでオレンジジュース。サンドイッチは冷たいのがいくつかあったように記憶していたのに、その日はこれだけ。ありがたくいただきましたが、フォークを突き刺してかぶりつけということなのかなぁ。。ランチタイム後で、Wi-Fiを使ってゆっくりすることは出来ました。そして再び歩きます。

パネトーネのオブジェ
贈り物の紙袋か、検査結果を持って歩いている方が多い時期
子供たちを出産したカトリック系の病院併設のCapela(チャペル)
左側が病院 今は産院はないそうです
病院の壁画 
ここで石段に派手に蹴躓く(大丈夫でした)
日本の建築家、隈研吾氏がその建築に携わったジャパンハウスサンパウロ
坂本龍一さんもイナギュレーションでご訪問されました
右のビルの壁画は、ブラジルの建築家、オスカー・ニーマイヤー(エドゥアルド・コブラ作)


 ここがパウリスタ大通りのほぼ始まりです。ここから地下鉄の駅を三つ通過して家まで徒歩で帰りました。結局16000歩ほど歩いて良い運動になりました。



 クリスマスのこの週は、うちの二人の若者たちも大切な人と贈り物を前もって交換、イブやクリスマス当日(本日)は家族とゆっくり過ごしています。

イブの晩餐の準備。来客がないのでターキーは無し
息子が焼いた肉(ピカンヤ)
夫は刺身担当。
ポテサラ、飲み物は娘が担当
伯国産の日本酒がベースのカクテル
アイスキューブにいろいろ入っています


2023年のクリスマスケーキ♡東洋人街で調達
禁断の、深夜のデザートタイム
カウントダウンほどではないけれど、昨晩は花火が上がっていました(シャッターを切るタイミングが難しかったです。大輪の花もあったのですが。)
Feliz Natal☆との雄叫びがあちこちから聞こえて来ました


 結局今年のクリスマス料理には何一つ手出しはしませんでした。というか出来なかったのです。朝の買い出しには行きましたが、その後洗濯機くんの不調発覚。今回は破損ではなく故障のようです。(排水が出来ません。)また、ガブリエル大天使を呼ばなくてはなりません。上手くいくかどうか。。あと何日この日々が続くのやら。それにしても洗濯機くんまでクリスマス休暇とは参りました。

 本日(25日)の早朝に、見事な朝焼けを夫と見ました。どこかのアパートからは賑やかな笑い声が。一晩中おしゃべりしていたのでしょうか。今日は殆どの店が閉まっているので、皆静かに家で過ごすことになります。

 「いろいろあっても皆が健康で幸せに過ごすことが出来て良かった」と昨晩寝る前に夫がぽつっと言っていました。まさにその通り。それは決して当たり前ではなく、何よりの幸福でした。

子供たちが赤ん坊の頃から毎年アップデート

 今年もお世話になりありがとうございました♡皆様も良い年末年始をお過ごしになれますように。

(お題、クリスマスの過ごし方には間に合いませんでした。。)

【宣伝】

 ジャズピアニストの大江千里さんが、トリオのメンバーを引き連れて凱旋帰国中です。ツアーのトップ、クリスマスイブのSapporo City Jazzでのパフォーマンスが大好評だったようです。続く東京のブルーノート、コットンクラブでの演奏にも期待が高まります。(コットンクラブではカウントダウンも。)年明けからはソロで日本各地を回られます。詳しくはこちらから。



 私の好きな動画の一つ。パンデミックで残念ながら閉館となった、ブルーノート名古屋でのワンシーンです。名古屋に行かれたお客様、ノリノリ!この時参加された千ともさんもたくさんいらっしゃいました。ライブに参加された方々だけが味わえる、醍醐味、臨場感と連帯感が羨ましい〜。。私もいつの日か必ず‼︎

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