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なぜ靴屋を選んだか

こんにちは。吉靴房の野島です。

このnoteには細かな心の揺れなんかも書いていければと思っていますが、前回の自己紹介に続き、なぜこの仕事を選んだかを書き留めようと思います。

これから何かをしたいと考えている方のごく一部にでもお届けできれば幸いです。

20歳前後の頃にファッションに興味を持ちましたが、革靴が好きで好きでたまらなかったという靴マニアな感じではありませんでした。ただ、靴がファッションの要素として重要な役割であるということは気づいていました。

高校生の頃にJリーグが発足したのですが、子供の頃から剣道ばかりやっていて世間知らずだった僕にとって、まず社会に出る云々よりも剣道にプロがないということの方がショックが大きく、初めて将来を気にしたタイミングはここでした。

何をしたいかを考え始めたときにまず頭に浮かんだことは生涯かけて追及できることはどういったことなのかということです。

そこで「ものづくり」「長く使える」「健康に関わる」「商売としてシンプルである」「歴史」「所作」をキーワードとして興味のあることを選出して「ファッションデザイナー」「スーツの仕立て屋」「家具屋」「靴屋」がしっくりきたのでその中から仕事にしたいことは何かを考えることにしました。

次に苦手なことを思い浮かべた時、ファッションデザイナーは当時〇〇コレクションという大きな展示イベントで有名デザイナーが出すアイデアが奇抜すぎるように思え、現実感がなかったこと。

そしてこれはスーツの仕立て屋にも言えることですが、あくまで洋服であり、西洋の歴史を汲んでいることがどうも引っ掛かりました。

家具屋はとても魅力的なのですが、喘息持ちの僕にとっては作業環境が過酷なのではとある工房に見学に行ったときにまず思いました。

そう考えた時に、靴屋は日本をテーマに活動するデザイナーがほとんどいなかったこと。スニーカーと違い所作の美しさを引き出す道具であること。お直しを含めると顧客と近い場所で長く付き合えること。

というような前向きなイメージが多く持つことができ、決心し行動することで描いた未来に近づけるのではと思い、革靴生産の6割ほどを請け負っている浅草にすぐ引っ越しをしました。

それが23歳の春のことでした。




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