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smashing! ひみつのたわむれをあなたと
佐久間鬼丸獣医師と喜多村千弦動物看護士が働く佐久間イヌネコ病院。そこで週1勤務をしている、大学付属動物病院の理学療法士・伊達雅宗と経理担当である税理士・雲母春己は付き合っている。そして伊達は後輩の設楽泰司とも恋人同士である。
伊達さんはお蕎麦が大好き。そばつゆも自作。甘み少なめだけどしょっぱすぎず、滑らかで優しい口当たり。何度も見せて貰って覚えた筈なんですが、僕が作る物は彼のとは全くの別物。全然おいしいよ!伊達さんはそう言ってくれるんですが、僕はまだまだ納得ができない。
今日は伊達さんの平屋で、朝から二人でお蕎麦を仕込みます。今日はお昼過ぎから鬼丸くんと千弦くんがやってくるので、お蕎麦をご馳走しましょうということになって。お蕎麦を打つのもまだまだなので、伊達さんの作り方を見て勉強です。手捌きも粉の合わせ方も、全く迷いなく流れるように見事。あっと言う間に菊から円錐のようにまとまって、丁寧に伸ばされて手早く切られ、細く美しい麺に。
さて一休みね。一旦冷蔵庫へ仕舞って、あの二人の到着を待つことに。冷蔵庫で冷やしてあったシードル、あと梅のゼリーを居間に。大の字になっていた伊達さんが一気に跳ね起きて嬉しそうです。この梅のゼリー、鬼丸くんにいただいた梅シロップを使っています。で、ゼリーにシードル入れちゃうんですよ。
爽やかなリンゴの泡と、甘くて冷たい梅のコラボ。けっこういけますよね。伊達さんがあーん、とお口を開けるので、そっとスプーンで一口滑り込ませて。僕の膝を枕に、伊達さんはご機嫌です。美味しいもの何でも作ってしまえて、お仕事の姿なんてもう眩しくて正視できませんし(体感)それなのに一旦スイッチがオフになると途端にこう。甘えておられる、といえばそのまんまですけど、こう、全身全霊を僕に委ねてくださってるような。
遠くから響く車の音。そろそろいらっしゃったみたいですよ?立ち上がろうとする僕を軽く制して、頸に滑り込ませたその手は熱くて。だいじょぶ。あれ向かいの軽トラの音よ。小さく笑って僕を有無を言わせず引き寄せる。
じゃあもうちょっとだけ、あなたとこうして戯れていましょうか。
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