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smashing! あまいしずくときみと

イチゴは酸っぱめのがいい。温まった酸味が、甘さの中に優しく消えていくから。二人で過ごす時に食べるのはフルーツ。今の時期は甘くて大きな柑橘もいい。

君が選んでくれた色とりどりの旬。丁寧にカットされて繊細なクリスタルプレートに並べられたそれらを、ひとつ、そしてまたひとつ。君の長くて白い指先が粒を選る。甘くて酸っぱくて香りが良くて。味わう間にも、君と触れ合う頬や唇も柔らかくそして甘く、そこに加わる酸っぱさがなんともいえずしっくりと合う。

眼鏡のシールドを外した君の目元が笑む。ソファーが汚れてしまいますね。低く笑う首筋に伝わってく一雫、その先を追って、絡めた指先をも含んで味わう。はしたない、でもそういうのがいい。

ラフなルームウェアの隙間隙間に、君の気に掛けてるソファーに伝わってく果実の滴。いつもならすぐに拭き取らなきゃなやつ、溢れるままに放っておくと、君の項とソファーの背もたれの間からも微かに香り立つ。このへん全部ハルちゃんと同じ匂い。俺の呟きをキスで返して君が囁く。僕もおんなじですよ。薄くて細いその体が撓って、長い脚が巻きつけられる。お互い顔中擦り付けるみたいに、貪って、深く浅く混じり合う。

君の内の熱とフルーツの冷。



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