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佐久間イヌネコ病院 luv.63 ひび つつがなく

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病院が休みの時も、佐久間と喜多村は大抵一緒に行動する。諸々の家事やら買い出しやらに出かけ、二人だといっぺんに終わるなあ言いながら、そして今日も二人して荷物を下げて歩く。喜多村は人目なんて気にせず手を繋いで歩きたいタイプ。それどころか腰抱き合ってくっついてぐねぐね歩きたい、そんで綺麗な飛行機雲だなあ、えどこどこ、なーんてどさくさでチューしたりもしたい。むしろ積極的なウェルカム仕様だ。そんなアツいラブパッションを佐久間は努めてさらりと受け流す。水面下では焦りと照れが大渋滞してたりするのだが、もういいかげん慣れていかないとしんどいと悟った。

そう、佐久間の実家は寺。僧侶にとっての最終奥義(?)すなわち悟り。悟りさえすれば大体のことでは動じなくなるもんだ(兄・達丸談)。動揺することなく凪いだ心で順応できるようになるのだ。恐らくはきっと。

「鬼丸が考えてること、当てようか」
「…えなんだろ」
「鬼丸は、俺のことが大好きだな」
「はいはい」
「鬼丸は」

それでいいんだ。

訝しげな佐久間の背を、喜多村の大きな手のひらがそっと添えられた。鈍いとこも、繊細なとこも。そんでお前は嫌がるけど「乙女」なとこが実にいいぞ。喜多村がニカッと笑いかけた。真っ直ぐで揺るぎないその目に、ますます佐久間の「いたたまれない感」が増してしまう。

恥ずかしい、照れ臭い、そんなものとっくに超えて。まさに穴があったら入りたい。昔の人はよく形容したもんだなあ。いい大人が、成人が、ヒイイイとか叫びながら走り去れたら楽なのに!なんて大真面目に考えてたりするのだ。

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/喜多村千弦(魔神先生)
 佐久間鬼丸(院長)

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佐久間イヌネコ病院
中の人 連続投稿700日カウント
ウチのお話は350話を越えました
色々な方に楽しんで頂けて
嬉しいの一言です
俺たちは毎日つつがなく
こっちの世界で暮らしてます

これからも楽しんでいただけるよう
千弦と一緒に頑張ります ネタを

(院長)


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