見出し画像

smashing! オレのはつじょうきスタンス

大学付属動物病院獣医師・設楽泰司。週一で佐久間イヌネコ病院に出向している理学療法士・伊達雅宗は彼の先輩で恋人だ。

数年に一回くらいに頻度で、オレの脳内がソーハッピーブルーミング満開モードになる。意味わかんないですよねすいません。つまりは好きな相手がいる場合、プリズム的フィルターがかかって通常の数億倍魅力マシマシに変換されてしまう。って時期。自分の中では発情期みたいなもんかと思ってたんだけど、いまその周期で、しかも恋人がいる。伊達雅宗先輩さんだ。

「…おまなんでそんな目ウルウルしてんの、花粉症?」
「これが通常なんで」
「うそだわ痒そうだって。ほら、ハルちのお医者さんセットん中に目薬あったから」

口調とは反対にちょっと心配気味で手早く目薬を差そうとしてくる伊達さん。あ、その眉毛いいわあ下がってんのに眉間がちょっとキュッてしてて。キビシめのとこも実にいいわあ。

「なあんか変よねえ…」
「問題ないです」
「…てかなんでそんな寄ってくんの」

これまでの人生、この「ソーハッピーブルーミング満開モード」時に相手がいなかった。セフレも持たなかったし。しかしながら現在進行形で目の前のこのタレ目ちゃんがオレの恋人でダーリンでベターハーフだ。何億年前のフレーズだ。何言ってんのかわかんなくなってきたのは、雲母さん秘蔵の泡波が殊の外旨かったからに他ならない。

「疲れで酔いの回りが早いんかもねえ」
「てか伊達さん、オレなんだか熱っぽくて」
「ウン、首まで赤いもんねえ…もう布団いったほうがいいかもね」
「御意」

んなんでええええええ!!いきなり伊達さんを担いで自室に大股で運んでいくオレ。ベッドに放り投げて、ゆるTの裾から顔突っ込んで。困ったような、それでも少し蠱惑的なその表情に、オレの全身が瞬時に取り込まれて。伊達さんの指先が、その腕が、オレの上を好き放題に動き回るのを欲して。

「設楽はほんと、わかんないんよねえ」

わかんないのかわかってんのか、いわばお互い様なのか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?