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smashing! そのひとからのきづかいも

佐久間鬼丸獣医師と喜多村千弦動物看護士が働く佐久間イヌネコ病院。そこで週1勤務をしている、大学付属動物病院の理学療法士・伊達雅宗と経理担当である税理士・雲母春己は付き合っている。そして二人と一緒に住み始めたのは伊達の後輩で恋人、設楽泰司。


昨日から俺と設楽は、千弦の実家に遊び行っちゃったあの二人に頼まれたのもあり、佐久間ん家に留守番として泊まらせて貰って。好きなだけ飲み食いしていいよの恩赦も下りている。

朝早くに色んな野鳥がベランダで騒ぐから、喜多村さんの言ってた「意外な来客」てこれじゃないんですか、って設楽は眠い目を擦りながらひまわりの種なんかをバードフィーダーに置いてやってた。なるほどね、朝ごはん食べて設楽と一緒にしばらく野鳥眺めて、俺は買い物頼まれて商店街までお遣いに。

佐久間の服借りてるから、高い確率で間違われるけど、俺もなんだか名前知られてきたみたいで「武将さん」とか言われた。くくりが雑なとこがこの辺の大将たちのいいとこ。いつものスーパーで丁度パンが焼き上がったとこで、運がいいねえ、ここのハードブレッドは一生必需品みたいなんよ、うんまいの。

ハードブレッドとあと梨やピオーネ、そんで今日は特別に赤いウィンナーも。これ、設楽がすごく好きなんだって、設楽の弟の泰良くんが教えてくれたん。俺は大昔に食べた気がするのと、雲母ハルちゃんは食べてことないか覚えてないかだと思うし、この際面白そうだから買ってみようかなと。赤いウィンナー設楽に見せたらどうするだろ。秒で炒めて食いそうだけど。喜ぶだろうか、考えただけで楽しくなってくるねえ。

帰り道、白河先生んとこに遊びに行ってるハルちゃんから電話。連休中佐久間んとこに滞在すんのって言ったら、参加できないのをすごく悔しがってた。どうしても一日一度はお声が聞きたくて。ハルちゃんはストレートで素直。辺りに人がいてもあの子は動じないから、逆に大丈夫かなって心配になるんよ。ウン俺も聞きたかったん、しばらく周囲にピンクの圧を振りまきながら話して、名残惜しげに電話を切る。

お土産は和菓子沢山だそうで、得意先の方にいっぱい貰っちゃったから、先生はそう言ってるらしいけど、ちゃんとハルちゃんの好きなものを意図的に選んでる気がする。そういうとこもハルちゃんのダディ(仮)らしい、似てるわ。

野鳥の朝ごはんのために俺らに留守番頼んだ千弦も、俺に何もさせずに家のこと先だってやっちゃう設楽も、優しいとこがダダ漏れてるよねえ皆。そんで、お声が聞きたい、なんて電話くれちゃうハルちゃん。直接的な言葉よりも何よりも、俺にくれようとする気遣い、なんてのが、最の高に嬉しいんよね。




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