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smashing! トリガーのそのありかは

佐久間鬼丸獣医師と喜多村千弦動物看護士が働く佐久間イヌネコ病院。

今週末は土日が連休。金曜の夜遅くまで配信を見ていて、頂き物の焼酎やこれまた頂き物の夏野菜を味わいつつ気づけば深酒。鬼丸は全然ケロッとしているが俺はちょっと食らったかな、的な土曜の遅い朝。

なあ今日さゆっくりしないか?鬼丸は珍しくカーテンも開けずにソファーに座っている。買っておいたハードブレッドを甘いカフェオレに浸しながら、それもいいな!冷蔵庫から持ってきたラディッシュ(まんま)に味噌マヨをつけて齧る。ああ、こういうのもいい。学生ん時みたい。この場合パンがこんないいのじゃなくてコンビニのだったりしたっけ。

友人たちは今週色々忙しく、まずここにはこないだろうと踏んでいる。来ちゃったら来ちゃったでそれはそれで嬉しいので大歓迎と話もついた。テレビも何もつけないでいると、外からは静かに雨の音。脱衣所のほうから犬のリイコもやってきたので、食パンを奮発。リイコはパンの耳やら端っこが大好きなのだ。そしてリイコは自ら外に出せと玄関に向かう。鬼丸がドアを開けてやると、小屋のそばにあるウッドデッキ的な台に悠々と寝そべる。リイコのお気に入りの場所だ。

朝風呂に入ろうかってことになり、風呂に湯を張り始める。朝っていうか昼だな。鬼丸がひょこっと顔を出して、上がったらこれ飲もうか、そう言って青い鬼のついた地ビールを見せてきた。あれだ、ウチの冷蔵庫も食料庫も、酒と野菜と肴には一生事欠かないに違いないな。

バスタブにゆったり浮かんでいたら、鬼丸が向かい側に入ってきた。湯船大きいとほんといいなあ。俺のほうに伸ばされた足の指がなんか可愛いので摘んだり引っ張ったりしても、鬼丸は別に動じなくなった。安心感が育まれたんだろうか、それかもう少し凝ったアプローチをご所望なんだろうか。あーきもちいな。見れば少し眠そうに、窓からの淡い日の光に照らされて鬼丸の目が瞬く。髪も目も色素薄くて、透明な湯に溶けてしまいそうな気がする。だけど手を伸ばせばちゃんとそこにいて、触れれば温かくて、オレンジに透ける瞳は俺を映してて。指先で顎の先を撫でれば、柔らかい髭の感触。

なんだろな、これ夜だとまさしく俺・性欲魔神化のシチュエーションだったりするんだけど、不思議と俺の股間は静かに成りを潜めていて、鬼丸と二人でぬるめの湯にこうして浸って。外からの雨の音が鼓動のようで。昼風呂てのもなかなか味わい深いな。俺の呟きでちょっとだけ首を傾げた鬼丸が、そっと腕を伸ばして俺の頬に触れてきた。途端、途端だ。鬼丸の手が俺に、と思った時はもう俺の俺が天を突いたかの如く(略)

あ、日の高いうちはそうなのか俺は、接触によるトリガーに変換されるんですねわかりみ。無理くり鬼丸に抱きついたけど、バスタブだから思い切り逃げを打たれた。ちっくしょ、大量に湯を被って咽せる俺に鶴の一声。

ちゃんとあがってからだよ千弦。

ちゃんとあがったらいいんですね、御意(違)




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