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smashing! オレのオノレのじせいしん

佐久間鬼丸獣医師と喜多村千弦動物看護士が働く佐久間イヌネコ病院。そこで週1勤務をしている、大学付属動物病院の理学療法士・伊達雅宗と経理担当である税理士・雲母春己は付き合っている。そして二人と一緒に住み始めたのは伊達の後輩で恋人、設楽泰司。


昨日はオレと雲母さんが留守だったからか、佐久間さんとこに泊まって帰ってきて早々。遊び行きたい、遊び行きたい言うから、オレの知ってる限りの「大人の遊び場」を伊達さんに提案。ボウリング、サウナ、スーパー銭湯(被った)、釣り、キャンプ、カラオケ、あと…。

どれも楽しそうだから設楽決めてよ。御意。そう言うたかてこっちもそんな手持ちカードおまへんで、まあそれでもオレの独断でドライブに決定。どこでも寄れるから。ボウリングの方がよかったですか?そう言ったら、どれでもい。投げやりな口調の割にちょっと嬉しそうにしている。伊達さんもオレも、予定立てずのアバウトなお出かけが好きなんだ。

いつものオレのハマーだと大きすぎてあれなので、伊達さんのジムニーで。ちっさいしイス固いしで一見ドライブ不向きに思えるけど、小回り利くのとあの粋な形状だな。サバイバルぽくてワクワクする。午前中から出て、その辺の道の駅やらPA、SAを巡る。名所旧跡も魅力的だけど、オレらはとにかく「味」が目的。旨いもの探して食って買って、そんな流れで先に進む。

何箇所目かのSAで足湯発見。伊達さんと並んで座って足伸ばして。結構今日涼しいからこういうのいいねえ。いつのまにか買ってきてた限定ソフトクリーム(カップ)を食べながら、伊達さんが足で波紋を描く。バタ足やめて下さい湯掛かるから。オレらしかいなくてよかった。ここの湯気持ちいから風呂入ってこ。御意。確かにこの湯はなかなかいいな、と思ってたし。

併設されてた銭湯?温泉?に入ることに。何でもかんでもレンタルできるし売ってたりするの助かる。手ぶらで来れる気安さが最高。平日なせいかあまり人もいなくて、大浴場にゆったり浸かれる。伊達さんと並んで浴槽に浸かって。普通に風呂入るのもすごい久しぶり。オレらには「風呂」イコール、その一連の流れにカウントされてるから。

軽くサウナにも入って、遅い昼ごはん。伊達さんはウニとイクラが大量に載っかった丼。オレが唐揚げが鬼のように載っかった丼。ちょっと食べさせてもらったらめっさ旨い。オレのも伊達さんの丼に載せたら、旨い!ってご機嫌。それでも二人でほぼ数分で完食。よかった日頃から大食漢の鍛錬してて(?)。いやあ美味かったあ。伊達さんのお腹が珍しくぽこん、と出てる。うっわオレは伊達さんがこの先ハラ出ちゃっても愛せる自信しかない。

少し休んで帰りますか。広々した休憩所で、オレらは広めのカップルシートみたいなとこで並んで横になる。目の前は窓越しに日本庭園風の中庭と滝が見えて、他のシートの客とは目線が合わないようになっている。そっと、伊達さんの手に触れると、すぐにその手のひらがきゅっとオレの手を握る。伊達さんの手が温かい。ちょっと寝てこうか。眠そうな声が途切れたかと思うと、横から伊達さんの寝息が響く。昼間っからこんな気持ちい温泉入って、腹一杯飯食って、こうして並んで手なんか繋いじゃって。これはあれか、リア充てやつか。考えたこともなかったけど。

つられて眠りに落ち掛けたオレの意識の奥底で、あとでなんとかその辺で伊達さんと、そんな欲も浮かんできたり。考えただけでオレのオノレがそうなっちゃわないよう、自制しながらのお昼寝となるわけだ。



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