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smashing! とくべつのかんかくを

佐久間鬼丸獣医師と喜多村千弦動物看護士が働く佐久間イヌネコ病院。そこで週1勤務をしている、大学付属動物病院の理学療法士・伊達雅宗と経理担当である税理士・雲母春己は付き合っている。そして伊達は後輩の設楽泰司とも恋人同士。


お彼岸は実家に滞在。よくある話だが、ばあちゃんの畑作業手伝ってて、畝の隙間に足取られて捻挫。あっ、と思ったらもう遅かった。丁度兄ちゃんとこのチワワのパズーがいたから、ジャレついてきたのを受け止めようとした、そんな理由だった。

今日は日曜だし自分で診て処置して、一週間くらいかなと踏んで勤務先にも連絡入れた。伊達さんと雲母さんは今日ペントハウスの方なので一応メッセージと画像。足首の。そしたら伊達さんが大笑いしながら電話してきた。ハルちゃん送ったらあとでそっち行くわ。どうやら雲母さんに急な仕事が入ったらしい。何そのわけわかんないタイミングは。

夕方近くに伊達さんの車が駐車場に入ってきた。玄関先で片足立ちのオレをちらっと見て、伊達さんは少し目元を細めた。ジムニーで雲母さん送ってくるとかスーツだろうに正気ですか。ハルちゃんああいう狭いやつけっこう楽しいらしいよ?さーさー中入ろっかお入りくださいありがとうー。伊達さんは勝手に家ん中入って帰り支度の兄ちゃんと話してる。足元にパズーが来てすまなさそうに鼻を鳴らすけど、これは全然お前が悪いんじゃないんだ、小さな声で話しかけてやる。

お供え、ハルちゃんと俺から梨持ってきたんよ。そういえば去年梨狩り行くってそこ休みで結局行けてませんね、また三人で行けばいいよ、伊達さんが仏壇に手を合わせた。兄ちゃんが玄関でまたなーと叫んでいる。そういえばもう帰るんだって言ってたな。二人で玄関に向かい、兄ちゃんとパズーを見送る。パズーがうろうろしながらオレと伊達さんに頭を擦り付け、車の方に走って行った。

伊達さんと二人きり。だけど、実家ってのはなんだか落ち着かないもんだな。伊達さんが買ってきてくれたコンビニのおにぎりとかを有り難く貰って、二人で食べる。怪我してるんだから何もしなくていいんよ。珍しく酒も入れずに伊達さんが身の回りを世話してくれている。風呂は軽くシャワーで済ませて、実家誰が来るか読めないし二階行きましょうか、オレが器用に片足で階段登るのをすっげえ、とか言って笑ってる。狭い階段てのは両手あれば後は膝でいけるんだ。

いつものオレの部屋。片付いてはいるけど伊達さんとこや雲母さんとこに比べたら狭い。狭小。ベッドの上しかスペースがない。セミダブルだからまあいいか。伊達さんにチューハイ、オレはなんかジュース(これしかなかった)を手に、ベッドの上でタブレットの画面を眺める。配信いいのありませんね。伊達さんは部屋のドアについてる簡単な鍵(要するにフックのやつね)をかけて、ベッドに戻ってきた。

オレの投げ出された足に添うようにそっと撫でて、肩越しに首伸ばして軽く唇を啄む。二、三日触れ合ってなかったってだけなのに、これだけの刺激でオレのオノレは既にこんなだ。トクベツにサービスよ、そっとオレの体を倒しながら、ジャージをずらして。伊達さんの頬にぺちっとはしたない音を立て屹立するそれを、薄く色づく唇がそっと開いて受け入れていく。

喉のその奥の、滅多に入れさせてくれないところをこんな、あっさりと空け渡す伊達さんの中の熱は、何度感じてもその都度蒸発するように消え失せてしまうのはきっと。感じた通り、無限のパターンで俺を翻弄する、あれだ、エンカウントシステムなんだろうかと、足の疼痛も忘れてただ流れに身を任せてみる。イニシアチブを久しぶりに放棄する。背を駆け巡る快感をじっくりと愉しみながら。

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